第7話 約束

 翌週月曜日。

 午後からの会議を3時頃に終えて二課のオフィスに戻ろうとすると、後ろから肩を掴まれた。

 私の肩を掴む者なんて他にいないから、このデカイ手が誰のものかなんて振り返らなくてもわかる。


「門倉課長ー、そんなに強く掴まれると痛いんですけど」

「おまえ背中に目でもあんの?」


 振り返ると門倉が不思議そうな顔をしていた。


「見なくてもわかりますー。それでなんの用?」

「タバコくれ。今朝通勤中に買ってくるの忘れた」

「あげるからコーヒーおごって」

「おー。じゃあコーヒー買って喫煙室行こう」


 自販機のそばまで来た時、飲料メーカーの台車が置いてあることに気付いた。

 もしかしなくてもこれは……。


「門倉……私やっぱりコーヒーはいいかな……」


 思わず後退あとずさりしかけた私の腕を門倉が掴んだ。


「また逃げるのかよ」

「だって……」

「どっちにしたってここ通らないと喫煙室にも行けないし、自分の課にも戻れないだろ。自分の会社なんだから堂々としてろ。コーヒーくらい普通に買いに行けばいいんだよ」


 門倉の言いたいことはわかるけど、この間の別れ際のことを思い出すと、やっぱり気まずくて足が前に進まない。


「俺がいるから心配すんな。なんかあったら助けてやる」


 元はと言えば私を光と会わせたのは門倉だって言うのに、今そんなイケメンみたいなことを言われても……!

 有無を言わさず腕を掴まれたまま引きずられるようにして自販機の前に連れていかれた。

 自販機の扉を閉めて光が振り返る。


「あっ……瑞希……と、門倉さん……」


 光の視線が門倉に掴まれている私の手に注がれていることに気付き、思わず腕を振り払った。

 門倉は当たり前のように光に話し掛ける。


「こんにちは。もう自販機使える?」

「大丈夫ですよ。どうぞ」


 顔を上げることもできないで立ち尽くしている私に光が一歩近付いた。


「瑞希……この間は急にごめん」

「……うん」

「また会って話したいんだけど……」

「……」


 もう話すことなんてないから会わないと言いたいのに、喉の奥がギュッと詰まったようになって、声も出せない。


「今夜、仕事の後で会えないかな」


 何も言えないままうつむいている私に、門倉がコーヒーの入ったカップを差し出した。


「ほれ篠宮、おまえの分」

「あ……ありがとう……」


 カップを受け取った手が微かに震えていた。


「勝山さん、悪いけど篠宮は今夜、俺と先約があるんだ。前から行こうって言ってた店、やっと予約できたんだよね」


 私は門倉と約束なんてしていない。それにいつも行くのは居酒屋だし、予約が必要な店になんて行ったことないのに。

 光はきっと私と門倉がただの同期じゃなくて付き合っているんじゃないかとか誤解しているだろう。


「あ……そうなんですね。じゃあ別の日に」

「篠宮には俺が責任持って必ず連絡させますから」

「はい……」

「それじゃ今日のところはそういうことで。篠宮、行くぞ」

「あ……うん……」


 門倉の後を追ってその場から離れた。背中に感じる光の視線が痛かった。


 喫煙室で門倉と一緒にタバコを吸いながらコーヒーを飲んだ。手の震えは止まっている。

 何も言わなくても私のコーヒーは砂糖無しのミルク入りだった。


「……嘘つき。約束なんてしてないし、予約が必要な店になんて行ったことないのに」

「あー……なんだ、そういう店に連れてって欲しいのか?」

「違うわ!!門倉とは居酒屋でじゅうぶんでしょ」

「なんだそれ。俺って居酒屋止まりの男?」


 わけがわからん。居酒屋止まりの男ってなんなんだ。

 門倉が手を出して2本目のタバコを無言で要求した。ホントにムカつく男だ。


「そりゃまぁ今日のところは助かったけどさ……『俺が責任持って連絡させます』ってなんなの?私は会いたいなんて一言も言ってないのに!」


 タバコをケースごと投げつけると、門倉はそれをキャッチしておかしそうに笑った。


「なんだよ。あいつにもそんな風にハッキリ話せばいいじゃん。『私は復縁するつもりはないよ』って」

「復縁しようなんて言われてないから。門倉だって受付嬢に誘われた時は言葉濁してたじゃない。『おまえみたいな小娘なんざ興味ねぇよ』ってハッキリ言えば!」


 門倉はケースからタバコを取り出してオイルライターで火をつけた。


「おまえね。あのおしゃべりな小娘にそんなことしたら大変なことになるぞ?次の日には社内に俺の悪評が知れ渡るだろ」

「ふーん。いいこと聞いた」


 私が短くなったタバコを灰皿に投げ入れてニヤッと笑うと、門倉は少し慌てた様子でタバコケースを私に投げつけた。


「バカ、やめろよ。余計なこと言うな」

「どうしようかな……」


 門倉はトマトが大好きだから駅前に新しくできたイタリアンレストランに誘えとか、フレッシュトマトとモッツァレラチーズのパスタが大好物だとか、受付嬢に言ってやろうかしら。

 苦痛に顔を歪めて冷や汗をかきながらトマト料理を頬張る門倉の姿が目に浮かぶ。これはこれで面白いかも。


「口止め料に今夜は晩飯おごってやるから」

「予約が必要な店?」

「あーもう、わかったよ。そこはなんとかするから今日は早めに仕事終わらせろよ」


 コーヒーを飲み干して握りつぶしたカップをゴミ箱の中に投げ入れた。


「そうと決まればさっさと戻ってチャチャッと仕事片付けようっと。ほら、仕事仕事」

「篠宮ってホントいい根性してるよな……」


 門倉はコーヒーを飲み干してため息をつき、少し呆れた様子で呟いた。


「ほら、早く」


 私が立ち上がってオフィスに戻ろうと促すと、門倉は右手を前に出した。


「……何?」

「立ち上がる気力がなくなった。引っ張って」

「はぁ?何甘えたことを……」

「いいから早く引っ張れ」

「しょうがないなぁ……」


 右腕を掴んで引っ張ると、門倉は思っていた以上に勢いよく立ち上がった。その勢いに押され倒れそうになる私の体を、門倉の左腕が咄嗟に支えた。

 不意に抱きしめられたような格好になり、至近距離に門倉の顔があることにドキッとした。


「あぶねぇな、大丈夫か?」

「だ……大丈夫だから」


 門倉の手が私の体から離れた。それなのに抱き止められた時の大きな手の感触だけは私の体にしばらく残った。

 門倉もやっぱり男なんだな。あんなに軽々と私の体を抱き止めるんだから。

 もし強引に抱きしめられりしたら、いくら逃れようとしてもきっと私の力なんかじゃ敵わないんだろう。

 ……って……。

 いや、ないない。

 門倉相手にそんなことがあるわけない。


 近頃やけに門倉が私に触れる機会が多いから、ありもしないような妙なことを考えてしまうのか。

 まさか私、欲求不満とかじゃないよね?

 たしかに光と別れてから誰とも付き合ってないし、別れる前もずいぶん長い間、夫婦生活はほぼなかった。だからって門倉相手にドキドキするとか有り得ない。

 私、このままじゃ女としてまずいな。枯れきってしまえばなんとも思わないのかも知れないけれど、私の中にはまだかろうじて女の部分が残っているらしい。

 私もやっぱり門倉の言う通り、光とのことは何もかもハッキリ終わらせて新しい恋にでも踏み出すべきなのかも知れない。

 そうすればまた純粋に誰かを想うことができるだろうか?



 7時前。

 いつもより早めに仕事を終わらせ門倉と一緒に会社を出た。いつも行く居酒屋とは真逆の方向に向かって歩く。


「それで今日はどこに行くの?」

「前の取引先の課長から教えてもらった創作フレンチの店があってな。その課長の友達がやってるんだってさ。俺も初めて行くけどうまいって評判らしい」

「へぇ、楽しみ」


 会社から15分ほど歩いたところにその店はあった。評判通り月曜日だと言うのにディナーを楽しむ客で賑わっている。

 きっと若い女子の好きそうなオシャレで洗練された外観と、明るくて暖かみのある和やかな雰囲気の店内。こんな素敵なお店ならもっと若くて可愛い女子を連れてくればいいのに。

 ……あ、そうか。若くて可愛い女子は門倉のタイプじゃなかったな。


「いらっしゃいませ」


 ギャルソンらしき男性が美しい所作でお辞儀をした。


岡見おかみさんに紹介していただきました門倉です」

「門倉様ですね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ」


 奥の方のテーブルに案内され、ギャルソンにエスコートされて席についた。

 やっぱりいつもの居酒屋とは違うな。

 こんなお店に来るの、仕事の付き合い以外ではいつ以来だろう?3度目の結婚記念日に光と二人でフレンチレストランに行った時以来?


「あれっ、もしかしてシノ?」


 ……シノ?そんな懐かしい呼び方をされるのは何年ぶりだっけ?

 一体誰だろうと顔を上げてよく見ると、そのギャルソンは大学時代に同じサークルで仲の良かった小塚こづかだった。


「……小塚?」

「やっぱりシノだ!久しぶりだな、元気だったか?」

「うん、元気だよ。ホント久しぶりだね。もしかしてここ、小塚のお店?」

「そう。親父の店を継いだ」

「ってことは門倉の知り合いの岡見って……」

「そう、あの岡見だよ」


 門倉は向かいの席で私と小塚を交互に眺めている。それに気付いたのか小塚は門倉に向かって頭を下げた。


「あっ、申し訳ありません門倉様。あんまり懐かしくてつい……」

「いえ、大丈夫ですよ。お知り合いですか?」

「大学時代、同じサークルだったんです」


 小塚は上品に微笑みながら門倉にメニューを手渡した。

 大学時代は人一倍ヤンチャだった小塚も、こんな笑い方ができるようになったのか!!当たり前だけど、みんなそれなりに大人になってるんだな。


 それから門倉は、シェフオススメの『季節の野菜をふんだんに使った彩りフルコース』というやつを注文した。私も門倉もあまりこういう店には来ないので、料理もワインも勧められるがままオススメに乗っかることにした。

 小塚が席から離れると、門倉と二人して苦笑いした。


「やっぱこういう上品な店はあんまり俺ら向きじゃねぇな」

「いつもの居酒屋とはわけが違うもんね」


 私が冗談で言ったことを真に受けて連れてきてくれたのかな?よほど受付嬢の情報発信力を恐れているとか?


「こういう上品な店でスマートにエスコートできる男は、やっぱりカッコいいもんね。本命の彼女を連れて来て恥かく前に、私で練習できて良かったじゃない」


 私が店内を見回してそう言うと、お水を飲んでいた門倉が眉間にシワを寄せてため息をついた。


「はぁ?何わけのわからんことを……。おまえホントにバカだね。連れてくるんじゃなかったわ」

「なんで?私も居酒屋止まりってこと?」


 確かに私と門倉は、こんな店で改まって食事するような関係じゃないもんな。居酒屋で枝豆食べながらビール飲んでる方が合ってる。


「もういいよ。バカは黙って水でも飲め」

「何よもう……人のことをバカバカって……」


 最近門倉が私をやたらとバカ呼ばわりするのがムカつく。喉は渇いてるから水は飲むけど。


「そういや岡見さんも小塚さんも大学時代に同じサークルだったって?」

「そう。レクリエーションサークルって、キャンプとかボウリングとかカラオケとか飲み会とか……。ただみんなで遊びを楽しむだけのサークルだったけど、たまに本気でスポーツなんかもやったりしてね」


 サークルのみんなと遊ぶのが楽しくて、活動費のためにバイトしたな。


「それって元旦那と知り合ったってサークルか?」

「そう。岡見も小塚も光とは特に仲が良かった」


 だからよく一緒に遊びに行った。卒業前の夏にサークルの活動とは別で特に仲のいい友人とキャンプに行った時も、岡見と小塚は一緒だった。


「あのさ。そんなに仲良かったなら、元旦那が篠宮と結婚して就職してからのことも聞いたりしてないかな?」


 結婚して間もないうちは休みの日に私たちの家に遊びに来たり、一緒に遊びに行ったりもしたけれど、しばらく経って仕事が忙しくなると私は休日出勤が増えて会わなくなった。

 私が仕事をしている間、光が誰と何をしていたのかなんてよく知らない。


「どうかな?結婚してから何度かは私も一緒に会ってるけど……光が個人的に会って話したことまでは知らないから」

「いい機会だから聞いてみれば?本人が篠宮に話さなかったこと知ってるかも」


 気にならないと言えば嘘になる。気の置けない友人になら妻の私には話せなかったことも打ち明けたりしたんだろうか?


「なんか……本人のいないところでそういうの、あんまり気が進まないけどね」

「バカ、本人目の前にして話せると思うか?むしろいないから聞けるんだろ」

「そうなんだけど……」


 光のいない場所で彼らがそんな話をするかどうかはわからない。けれどもし想像もつかないような衝撃的な真実を突き付けられたら、私は立ち直れるだろうか?


「一人で聞く自信がないなら俺も付き合う」

「うん……考えとく」



 食事が済んで食後のコーヒーとデザートを堪能していると、小塚がテーブルのそばにやって来た。


「お味の方はお口に合いましたか?」

「とても美味しかったです。予約を取るのが大変なお店なのに急に無理言ってすみませんでした」

「いえいえ、ちょうどキャンセルされたお客様がいらっしゃったので、私共としましては大変有難いですよ」


 二人とも本性を隠して別人のような顔で会話している。なんだか妙なものを見た気分だ。


「なかなか予約取れない店なの?」

「小さい店だからな。スタッフも少ないし、無理して予約をたくさん入れて料理とサービスの質を落とすわけにはいかないから。今日は急に予約キャンセルの電話があって、そのあとすぐに岡見から連絡があって、タイミングが良かったよ」

「すごいラッキーだったんだ。今日来られて良かった」


 美味しい料理とワインを堪能して、おまけに懐かしい友人にも会えた。ここは素直に、門倉と岡見に感謝だな。


「小塚さん、近いうちに岡見さんと一緒に篠宮と会って、勝山さんのこと話してもらえませんか?」


 門倉から突然思わぬことを頼まれた小塚はキョトンとして私の方を見た。初対面の人間にこんなことを言われたら、誰だって驚くに決まっている。

 門倉は私とは同期でお互いに課長でバツイチ同士良き相談相手であることや、光と少し面識があることを手短に説明した。

 定休日ならなんとかなると小塚が言ったので、門倉は次の定休日に会う約束を取り付け、岡見には自分からお願いしておくと言って、今日のお礼を言って店を出た。


 それから駅までの道のりを一緒に歩いた。

 門倉はなんで私のためにそこまでするんだろう?光と私の問題なんて門倉にはまったく関係ないはずなのに。


「門倉ってさ……変わってるよね」

「俺のどこが?」

「うーん……自分には関係ないことまで首突っ込んで世話やいて……お節介なのかな」


 門倉はまた呆れたようにため息をついた。


「あのなぁ……誰にでもこんなことするわけないだろ?俺はそこまでお人好しじゃないからな」

「ふーん……そうなんだ」


 いやいや、じゅうぶんお人好しでしょ。

 だけどどうやら本人にはまったく自覚がないらしい。これが門倉の生まれ持った本質なのか、もしくはバカがつくほど重症なお人好しなのか。


「まぁ、乗り掛かった舟だしな。おまえの禊が終わるの早く見届けたいし」


 そうか、早くお役御免になりたいわけね。お人好しの門倉は私が禊を済ませて前向きにならないと、自分も安心して次の恋には踏み出せないとか、そういうことなのかも。


「そうだね、私もいい加減ヤバイかなって思い始めたし」

「……何がヤバイ?」

「ん?こっちの話」


 まだ32歳なのに、このままじゃ光が私の最初で最後の人のまま、誰にも愛されることなく枯れて行くかも……とか、いくらなんでも言えないよ。

 そんなことを思っていたら、門倉が突然立ち止まって私の腕を掴んだ。私が驚いて立ち止まり見上げると、門倉は真剣な顔をして私をじっと見た。


「あのさ、篠宮。ひとつ約束して欲しいんだ」

「なに?」


 なんだなんだ?急に改まって気持ち悪い。


「禊が終わるまでのこと、俺には隠さず話してくれるか」

「なんで?」

「なんでって……気になるからだろ」


 乗り掛かった舟ってやつか?お人好しだから他人のことまで心配でしょうがないとか?


「ふーん……よくわからないけどわかった」


 心配してくれているのはよくわかるから素直にうなずくと、門倉は私の手を離して少し目をそらした。


「それで全部終わったら……」


 突然門倉が口ごもった。

 そんなに言いにくいこと?さては何か催促しようとしてるな。


「終わったら……打ち上げでもする?散々付き合ってもらったしお礼におごるよ、パーッとね」


 広い背中をバシッと叩くと、門倉はまた残念そうにため息をついた。


「あれ?違った?」

「……もういいや。それじゃ高い店で焼肉おごれ」


 焼肉なんて一人ではなかなか行かないし、門倉となら気兼ねなくお腹いっぱい食べて飲んで楽しめそうだ。


「いいね、行こう!ビールで乾杯して美味しい焼肉!!」

「約束だからな。俺に早くうまい肉を食わせろ」

「わかったわかった」


 禊が終わったら普通に乾杯もできるし、過去を振り返って後悔とか反省するんじゃなくて、二人とも笑って楽しいお酒が飲めるのかも。


「新しい恋はそれからだね」

「えっ?!そんな相手がいるのか?」


 門倉は少し焦った様子で尋ねた。先を越されるのがそんなに悔しいのか?


「いや、今はまだいないけど門倉より先に見つかればいいなって」

「……ホントにムカつくな、おまえ」

「ムカつくのはお互い様でしょ」


 なんだかんだ言っても門倉はいいやつだし、気取ったり飾ったりせず気兼ねなく冗談を言い合える。もちろん信頼もしているから悩みを打ち明けられるし、真剣な話もできる。こんなに素の自分をさらけ出せる相手はなかなかいないと思う。

 でももしいつかお互いに新しい恋人ができたとしたら……?

 やっぱり恋人が優先になるだろうし、今みたいに一緒にはいられなくなるだろう。

 それはそれで少し寂しい気もするし、新しい恋に踏み出すにはきっと勇気がいると思うけれど、もし次に出会う誰かと恋をするならば、門倉も私も、最初の結婚の時よりも今よりも、ずっと幸せになれたらいいな。



 駅の前までたどり着いた時、私と門倉はいつものようにスーツのポケットから電車の定期を取り出して向かい合った。


「ねぇ門倉」

「なんだ」

「いつになるかはわからないけどさ……もし次があるなら、次こそは好きな人と幸せになれるといいね、お互いに」

「ああ……。幸せになりたいし、めちゃくちゃ幸せにしてやりてぇな」


 自動改札を通り『また明日』と右手をあげて別々のホームへ向かった。そして私たちはいつも通り、それぞれの帰路に就いた。




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