双子宮(ジェミニ)ノ章~半神


【改稿前】

あなたは心を隠してしまってる

三日月の裏側に

白銀の湖の底に

時の螺旋のはた


ごめん

寂しかったよね

苦しかったよね


ごめん

永い間独りにした

私だけが幸せだった


今度はきっと護るから

ひとつに還ろう




【改稿後】

貴女は心をとざしてしまった

にじなみだの 轍のかげ

びた時間の 螺旋の底に

野茨の零す かをりうち


眷族けんぞくを理由にむすぼうとしなかった

貴女からの切なる――


今なら思えるの

血の繋がりが 何だというのか

愛は愛 それが哀でも


ごめん

寂しかったよね

苦しかったよね


ごめん

永い間 独りにした

気づかないふりをした

あんなに求めてくれていたのに


水晶の咲くにわで 貴女を持っている

閉じた心が ほころぶのを祈っている

ほら こうして抱きしめていても

六角柱の結晶が澄み透ったままなのは

貴女への愛が けがれではないという証


だからお願い 戻ってきて

今度はきっと受け止めるから

“ふたり”と云うひとつに還ろう


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


12作中、唯一モデルが存在、かつ20年前の創作時を鮮明に覚えている詩。

そのモデルとは、水樹和佳子さんのSF漫画『イティハーサ』。

改稿前は《透祜の夭祜への想い》がヒントになっている。

8年前の改稿時にも《双子=少女》のイメェジは拭うことができなかった。

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