金牛宮(タウラス)ノ章~楽園(パラディズム)

【改稿前】

悠かな日からずっと

向こう側に行きたかった

歩いても辿り着けない地図のない国


陽炎が見せる幻は

旅人の魂を喰うと云うが

それでも僕は行きたかった


そして聞こえてくるあの楽音


「オリオンの三つ星は

 ギザの三大ピラミッド

 北極星ポーラスターは ナイルの果て」


南の座のスフィンクスは

「又 来たか…」

と、呟いた




【改稿後】

はるかな日からずっと

うつつの向こうに往きたかった

目覚めてるうちは辿り着けない

未知之國テラ・インコグニタ


赤砂地せきさじ流離さすらう旅人は

夜ですら立ちのぼる陽炎にまどわされ

さかいの番人がかくし持つ

鈍色にびいろの夢篭に囚われると云う

記憶を底辺から 一層ずつ喰われるのだ


それでも僕は往きたかった

聞こえてくるのは ふるき唄


「おりおんノ 三ツ星ハ

 ぎざノ 三大ぴらみっど

 北極星ぽぉらすたぁハ ないるノ果テ」


南の座のスフィンクスは

朽ちたくちびるむすんだまま

「また来たか……」と、呟いた


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