不滅の物語~Twelve Gothic Tales

全12篇(初稿2000年~2001年、推敲2010年~現在)

白羊宮(アリエス)ノ章~前奏曲(プレリュード)

【改稿前】

東の空で

明けの明星ルシフェルより輝く

あの光は誰かしら


尊い命の誕生を告げる

輪廻の塔から届いた

希望の鐘



      

【改稿後】

東の遠天に

明星ルシフェルよりも煌めく

光が現われたなら

それは降誕の御徴みしるし


輪廻の塔を

千年振りの音階がめぐりだす

さぁ『祝福のカンタータ』を!


オペラ座の少年たちは

朝と夜のみぎわを目指し始めた

一刻も早く 銀のこえを取り戻さなくては

沈む直前に月がみせる 甘く柔らかな落涙で

錆びついてしまった声帯を潤さなくては


御徴みしるしが現われてから

二度の星嵐が過ぎたころ

少年たちの紡ぐ「凛!」と澄んだ響によって

うすい風の五線譜に

がくぬいとりが施された


その風を流しながらガブリエルは

嫣然として告げるのだった

「ようこそ、聖都へ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


改稿前は、なんたる短さ。

いざ手直しを始めたら、イメェジが膨らむ膨らむ、止まらない。

20年前と較べ、それだけ情報量・妄想域が増えたということか。

この壮大な幕開けを絵画にするなら、ぜひとも、きたのじゅんこ氏で(厚顔)。

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