白と黒のねずみ


灰色の線

白いねずみと

黒いねずみ


あるくと壊れるので靴の先とかかとから線がのびてくる

白と黒のねずみがころがる、

放物線を描く3本の爪がひっかく、

方程式がころがりおちる、

白と黒の、石。


が対角線を埋めつくす、ので、目を、細め、て道、を探す、

道、はどこにでも。


はない


どこかに


奇妙な生き物が歩いていった

皮膚から水分が蒸散する、夏の夜にひとや、植物や、石からぼうぼうとわきあがる気体がおはじきにかわった、縞模様のあるガラスのおはじきが袖をころがりおち、カエルの目になって光った、電柱のそば、玉砂利の上で、自動車のライトに照らされて、蒸し暑い霧と池と森の視線を向けてあのカエルは、どの。カエルだろう


か?


何年か前にうちにくるはずだった

カエル、

とはちがう

カエル?


白と黒が舗道にならぶ

胴体の長い生き物がふっくらと長い太い尻尾をぴんとのばして

ふたり縦にならんで交差点を横切る


片側が屋根のかたちをした小さな家があるよ

家にみえる?


もう片側はまるい線で閉じられている小さな家があるよ

家の中に文字が住んでいるよ、つやつやした黄色と青で、光る。


なめたばかりのドロップみたいにつやつやしたその家の取っ手が好き


家?

家じゃない?

片側がまるい線で閉じているから、あれは庭に生える木だ


ちがう

あれは家の屋根にかかる雲だ

ちがう?


あれはカエル、あれはねずみ、あれは白、あれは黒、これは線、靴の先から、

のびた線の上をころがる白と黒の、


あれは石? あれはねずみ? あれはカエル?


白いカエルと

黒いカエル


ぴょんぴょん


跳んでいく


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