第35話 単なる農作業の描写

「じゃあ今日はこの畑で働いてもらいましょうか」


 アイザワ達は川沿いにある農園に案内された。すると突然農園関係者以外の者が現れた!


「くくく!下等で愚かな異世界人どもめっ!お前達にいいこと教えてやろう!この畑にウンコをばら撒くのだっ!!そうすれば農作物の実りがよくなるぞっ!!」


「ウンコ?そんなものまかなくても作物は育ちますよ?」


 神の子は言った。


「ないいいい!!馬鹿な!!!?はっ!そうか!農作物が育つよう魔力で土地にエネルギーを与えるチートをしているんだな?きっとそうに違いない!!」


「いえ。年に一回くらい洪水が起こるんですが。まぁ洪水なんて川のある地域ならどこの国でも起こると思いますが。このシャルティエでは洪水が起こると上流から豊富な栄養分を持つ黒土が水と共に運ばれてくるんです。だから肥料は不要なんです」


「そんな!肥料は不要だななんてええええええそんなばかやあああ!!!!!」


 ばたり、その場で倒れてしまった。


「大変だ!ケンザ・マーゴが死んでしまった!!」


「御安心なさい!わたくしの神の力によって生き返らせて差し上げますわ!!」


「おお!貴方様は偉大なる神!奉納金としてケンザ・マーゴの全財産の半分を差し上げます!!!」


「別にいりませんわ」


「いえ。気持ちですので」


「そういえばケンザ・マーゴは自分はレベル99の世界で9999なんだと普段から吹聴していたな」


「じゃあその半分でよろしくてよ」


「では、4555枚の金貨を奉納させて頂きます」


 ケンザ・マーゴの仲間たちは去って行った。


「じゃあ私達は畑仕事に戻りましょうか」


「俺達はここで何をすればいいんだ。神の子?」


「ここで造ってるのは厳密には食べ物じゃないですよ。まあその気になれば食べれますが。パピルスという紙の原料です」


「へぇ。パピルスか」


「木の皮を剥ぎ、川の水を入れた容器に入れて二日間ほど尽けて置きます。その後上下を木の板で挟み込み、上から棒で叩き、密着させ、置石をして水分を抜いたら完成です」


「じゃあ木の皮を剥ぐのとひたすら棒で叩く作業すればいいんだな。任せておけ」


 アイザワ達はパピルス造りを手伝った。その日の帰り。

 街の市場で大量の紙の束を道の通りでばら撒いてケンザ・マーゴ死んでいた。


「どうしたんだこいつ?」


「おお!美しき神とその共の者達!!実はケンザ・マーゴが死んでしまったのです!!」


「この街で紙が安く流通していると聞いた次の瞬間何故かケンザ・マーゴは死んでしまいました!そしてさらに周囲には大量の紙が散乱したのです!!」


「御安心なさい!宇宙一美しいわたくしが生き返らせてさしあげましょう!!」


「おお!偉大なる神よっ!!ケンザ・マーゴの持っている金貨のうち4555枚を貴方様に差し上げますっ!!」


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