第26話 四本腕の怪物と火トンボとフランス人

「四本腕の怪物をボウケサーなる傭兵たちはアイアンウォーカーと呼んでいます」


 神の子がそう説明するそれは、どちらかと言えば太り気味の体型で、二本の足で歩き、四本の腕を持つ鉄の悪魔だった。頭はなく、胴体の中央部に赤くて大きいレンズのようなものがついている。間違いなく目だろう。飛び道具はないものの力も装甲もどちらかといえばありそうな奴だった。


「あんなもんスモウレスラーでいいだろ」


「では、スモウレスラーと呼称する事にします」


 スモウーレスラーの中には腕の代わりに巨大な盾状物体がついたものもいた。


「あれをボウケサー達は盾の勇者と呼んでいます」


「シールドレスラーでいいだろ」


「では、シールドレスラーと呼ぶことにします」


 金色に光輝くスモウレスラーがいた。撤退中にもかかわらずその金色のスモウレスラーを見つけるや否や多くのボウケサー達が先を争って、時に味方を傷つけてまで近づいて攻撃しようとし、結果としてスモウレスラー達に包囲殲滅陣をしかけられている。


「あれはゴールドウォーカーと呼ばれています。装甲が鉄ではなく金でできています。ご覧のようにチキュウから来た傭兵はロウソクに群がって自ら焼死する羽蟲のようにゴールドウォーカーに突撃し、犬死にしていきます」


「あれゴールドスモーでいいな。てか人間の習性わかって造ってあるだろあの金ぴかは」


 真っ白で頭頂部に三日月状の物体を取り付けたレスラーがいた。


「あれは何と呼びましょう?ターンエーレスラーが宜しいでしょうか?」


「ヒゲレスラーでいいんじゃね?てかあれを造ったのは間違いなくフランス人だな」


「それはどのような人々なのですか?」


「世界で一番デザインセンスのない連中さ」

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