見澤悠斗

※本編の『12小節目 すばらしき合奏の世界』まで読んでおくことを推奨します。


やまかおる(以下かおる)「真中まっちゅー吹奏楽部員にー?」

花岡はなおか恵里菜えりな(以下恵里菜)「15の質問」


かおる「というわけで、今回からあたしたち以外の子にインタビューをしていきます!」

恵里菜「色んな子の考え方に触れることができるのは、わたしとしても興味があるよ」

かおる「だねだね! それに、色んな子のあんなことやこんなことが分かっちゃうのもー……」

恵里菜「それ、エロオヤジの思考だよ……」

かおる「まーそんなことは置いといて!」

恵里菜「今回質問に答えてくれる部員は、こちらです」


Q.1 フルネームと学年、ある人は役職


見澤みさわ悠斗ゆうと、中学1年生です。


かおる「というわけで、吹奏楽部の黒一点! 見澤くんに来てもらいました!」

見澤悠斗(以下悠斗)「……例によって粕谷かすや先輩に拘束されて拉致されてきたんですけどね」

恵里菜「あ、ピンクのスカーフがちゃんと手首に巻かれてる」


恵里菜「……ところで見澤くん、男一人はやっぱり大変?」

悠斗「大変ですよそりゃ、どういう反応すればいいのか分からない場面に結構遭遇しますし」

かおる「下ネタだったり、セクハラだったり」

悠斗「ほんとそれです。俺に振られたことはない……いや、あるか、粕谷先輩に……」

かおる「あー、未瑠ちゃんねー……。そういえば未瑠ちゃんがこの前話してたんだけど……(以下自主規制)」


恵里菜「……うわあ」

悠斗「……………………」


恵里菜「ちなみに、見澤くんの名前のモデルはいないそうです。しかし、名前のモデルがない登場人物でも、名字に関してはとある市町村に多い名字に偏らせているそうですよ」


Q.2 担当楽器


トランペットを担当しています。


恵里菜「見澤くんがトランペットになったのは先生の勧めなんだっけ?」

悠斗「はい。何でも、高い音域を出すためには頬の筋肉が必要だと言われて」

かおる「低音とかその辺勧めるんじゃないかなって思ったら、まさかトランペットとはねー。嬉しかったけど驚いちゃった」

恵里菜「かおる的には、見澤くん、どう?」

かおる「やっぱりパワフルだよ。先生の見込み通り高い音もどんどん出せるようになってきてるし……あと2年、見澤くんの隣で吹きたかったなー」

悠斗「ありがとうございます。音色とかまだまだなので、色々探っていきたいですね」

かおる「向上心もあるし! 完璧!」

悠斗「褒めすぎですって……」


Q.3 誕生日と血液型


8月11日。O型です。


かおる「夏生まれって感じがした。イメージ通り」

悠斗「夏休み真っ最中なので友達に祝ってもらいにくいんですよね」

恵里菜「ふむ……ちょうどコンクールの時期と重なっちゃうね」

悠斗「そうなんです?」

恵里菜「だいたいその時期に地区大会があるんだよね」


Q.4 身体的特徴(身長とか髪型とか色々)


・んー……髪に際立った特徴はないです。刈り上げてない、くらい。

・身長は160cm行かないくらいです。でも、中学生男子はここからぐっと伸びるみたいなことを聞いてます。

・極端に目が細いとか、そういうのもないです。……というか、よく分からないので先輩たちにお願いしていいです?


かおる「えっとね。普通」

悠斗「……あっはい」

恵里菜「んー……普通」

悠斗「ありがとうございます……」

かおる「あっでも! 吹奏楽部の男子って時点でもう普通じゃないから安心してね!」

悠斗「山先輩それフォローになってないです!?」


恵里菜「……まあ、普通ってだけじゃあちょっと可哀想だから、もうちょっとだけ掘ってみる?」

かおる「お尻を?」

悠斗「!?」

恵里菜「わたしにそんな趣味ないから」バシッ

かおる「いたっ!? 頭叩かれた!?」

恵里菜「この変態は気にしないでいいよー。……さて、と」

悠斗「……な、なんでそんなに見つめてくるんですか」

恵里菜「そりゃあ、顔の特徴を把握するため。見澤くんとわたし、パートがパートだからあんま接点ないでしょ?」

悠斗「まあ、そうですけど、でも……」

恵里菜「だからこうやって確認しとく。見えてこなかった一面も見えてくるかもしれないし」

悠斗「……なんだか、落ち着かないです……」


恵里菜「……うん。じゃあ、わたし個人から見た見澤くんの容姿」


・目は、わりと大きめだと思う。少なくとも細くてきりっとしてるわけじゃないし、キツイ感じでもない。

・肌がすごく綺麗。触ると気持ちよさそうだなって感じはする。……さすがに異性だし触らないけど。

・あと、肌関連でいうと……だいたいかおると同じくらいの濃さ、かな。男の子だけど、そんなに焼けてないって感じ。

・多分、女装してもわりとバレない気はする。細かく見るとやっぱり男の子だなって感じがするとこはあるけどね。

・顔が整ってるか整ってないかって言われると、整ってるほうじゃないかな。


・でもまあ、無個性ではあるよね。うん。


悠斗「……照れますね、こう、細かく分析されちゃうと……でも結局無個性かあ……」


Q.5 一人称/三人称


自分の事は『俺』、だけど文章とかに書くときは『僕』です。

三人称は……基本は名字絡みです。先輩なら名字+先輩ですし、同い年なら名字呼び捨てです。

幼馴染の佐野さの心音ここねに関しては小さいときからの呼び方が残っていて、名前呼び捨てですね。というか、そうじゃないとなんだか気持ち悪いまであります。


かおる「……付き合ってる?」

悠斗「ないです!!」

恵里菜「わっ、すごく照れてる」

悠斗「花岡先輩!?」

かおる「でもなー、やっぱりどうしてもそう見えちゃうんだよねー……」

悠斗「幼馴染で親しいから、そういう風に外からは見えるんですよ」

かおる「そう男の子は言ってて、実は女の子はやきもきしてるってパターン、結構マンガとかであるよね」

悠斗「心音に関してはそれはないんじゃないかなって思いますけど」

かおる「当事者はそう言っちゃうんだよねー」

悠斗「ほんとにそうですってば……」


Q.6 自分の性格を一言で


……うーん。わりと面倒くさい性格なんじゃないかなって思います。


かおる「……そう? そんな風には見えないんだけど」

恵里菜「うん。練習にも真面目だし、普通にいい子だなって思う」

悠斗「それはそう見えてるだけです。入部届出す時も結構渋ってたんですよ」

かおる「あー、そういえば仮入部の時も心音ちゃんに『悠斗が来なさそうだから何とかできますか?』って言われて、未瑠みるちゃんに拘束してもらって連れてきてもらったことがあったっけ」

恵里菜「そんなことがあったんだ……」

悠斗「……なので俺、面倒くさい人間ですよ。あと、見栄っ張りでもあります。そんなにいい人間じゃないですよ」

恵里菜「確かに今の言葉だけ切り取ると面倒くさいね……」


Q.7 趣味/特技


最近、youtubeで吹奏楽の曲を漁るのが好きになっています。

特技は……んー……水泳、ということになるんですかね。一応小学校の時までやってました。


恵里菜「真面目だなあ……」

悠斗「違いますよ。ただ単に吹奏楽の響きが好きなだけです。それに、かっこいい曲も多いですし」

かおる「分かる。たとえばこれとか……」(スマホでyoutubeを開く)

悠斗「あ、『マゼラン』。俺も聴きましたよ。難しそうですけどすごくかっこいいですよね」

かおる「編成的な関係でウチの部はやるの難しそうだけどねー」


恵里菜「そういえば、見澤くん水泳やってたんだね」

悠斗「はい。……全然速くないですけどね」

かおる「なるほど、だから肺活量とか音量すごいんだね」


Q.8 好きなもの


子供っぽいかもしれないですけど、カレーが好きです。辛さはだいたい中辛です。

あと、最近合奏が好きになりました。


かおる「カレーは美味いぞ!!」

恵里菜「美味しいよね。わたしは甘口だけど……」

かおる「やっぱり3食カレー?」

悠斗「そこまでじゃないですよ……」


恵里菜「それはそうと、合奏が好きになったって?」

悠斗「はい。初合奏、とても楽しかったので」

かおる「隣で聴いてて、初めてなのにすごく生き生きしてるなーって思ってたもん」

恵里菜「わたしはクラリネットなんだけど、粕谷さんと見澤くんの1stトランペットコンビ、うるさかったなあ……」

悠斗「それは大変失礼いたしました……」


Q.9 嫌いなもの


コーンとか、あんことか。甘いもの全般が嫌いなわけじゃないんですけど、どうしてもこの辺のは無理です。

あと……争いごととか、何かを競い合うこととかはちょっと苦手意識があります。


恵里菜「競うのが苦手……何か、あったの?」

悠斗「……まあ、ありました」

かおる「うーん……これは、あんま聞かない方が良さげかもね」


悠斗「確か、吹奏楽部ってコンクールがあるんですよね」

かおる「あるよー。毎年夏にね。……それも苦手?」

悠斗「別に、上手くなりたいって努力するのは嫌じゃないんですよ。でも、その……優劣をつけられるのは嫌だなって」

恵里菜「分かる。すごく分かる」

かおる「あたしは別に気にしないけれど……でも、この部にはそういうの苦手な子が大多数な気がするんだよね」

悠斗「そうなんですか?」

かおる「うん。あんまり上手くないことの開き直り、って言われると残念ながら何も言い返せないんだけど……でも、上手くなること自体を嫌ってるわけじゃないってのは理解してほしいとこなんだよね」


Q.10 好きな曲


Awakenedアウェイクンドゥ Likeライク the Mornモーン。初合奏の曲です。あと、初めての本番で演奏する予定の曲でもあります。


かおる「だよねー、見澤くんならこれしかないと思ってた」

恵里菜「こういう曲って、やればやるほど、聴けば聴くほど好きになる曲だよね……」

かおる「ふむ。こういう曲が好きなら、多分これも気に入るはず……(スマホを見せる)」

悠斗「えっと……『インヴィクタ序曲』、ですか? なんかかっこよさそうな曲名ですけど――」


Q.11 特別仲がいい人


吹奏楽部の中で言えば、やっぱり、心音になるんですかね……。


かおる「ですよねー」

恵里菜「まあ、わたしとかおるみたいな関係だもんね。たぶん」

かおる「じゃあ、心音ちゃん以外で!」

悠斗「えっ!? そ、それは……」


悠斗「……やっぱりトランペットパートの皆さんですかね」

恵里菜「そりゃそうだよね」

悠斗「山先輩にはいつもよくしてもらってますし、粕谷先輩は……置いといて」

かおる「未瑠ちゃんは仕方ない」

悠斗「あと、同級生の高野たかのは……まだ、ちょっととっつきにくさはある、かも」


恵里菜「……あれ? これ、かおる以外はそんな仲いいわけじゃないのでは?」

悠斗「あ……」

かおる「まー、これからよこれから!」


Q.12 家族構成


母、父。あと、妹がいます。


かおる「妹は今小学校?」

悠斗「小学校4年生ですね。なので、少なくとも部活で一緒になることはありませんね」

かおる「会いたいなー、見澤くんの妹ちゃん……」


Q.13 座右の銘


『結果が全て』


かおる「……あれ? なんか、さっき言った『優劣をつけられるのが嫌』っていうのに矛盾している気がするんだけど……」

悠斗「……実際はそうなんですよ。どんなに頑張ろうとも、結果が出なければ何にもならない。嫌なことだけれども、それは向き合わなきゃいけないことなんです。だから、これは俺の戒めみたいなもんです」

かおる「なんか、見澤くんも色々背負ってるんだねー……」


恵里菜「向き合わなきゃ、いけないこと……」

かおる「……恵里菜? 難しい顔してどしたの?」

恵里菜「ううん、何でもないよ」


Q.14 好きなタイプ


まだ分からないですよ、そんなの……。


かおる「心音ちゃんは?」

悠斗「聞いてくると思いましたよ……んー、やっぱり、心音をそういう目で見るのはなんかちょっとまだ違うと思うんです。小さい頃から普通に友達みたいな関係ですし、それをこう、男女の関係に変えるっていうのは……なんか、変なきっかけみたいなのがないとできないと思います」

恵里菜「結構しっかりとしてる答え方だ」

かおる「もし他の男の子に取られちゃったらどうするの?」

悠斗「……それはそれで、モヤモヤしますけど」

かおる「複雑だねー……」

悠斗「山先輩みたく単純じゃないので」

恵里菜「お、かおるのことよく分かってるね」

かおる「二人してひどい!?」


Q.15 好きな人に告白してください。


悠斗「……誰得ですかこれ」

かおる「あたし得」

恵里菜「ねえ、かおる。相手役どうする?」

かおる「そりゃあこの子でしょ。という訳でカモン、心音ちゃん!」


佐野心音(以下心音)「呼ばれて飛び出て心音で……うわああっ!?」

かおる「だ、大丈夫!?」

恵里菜「派手に転んだね……」

悠斗「いや、まあ、いつも通りで安心したけど……え? 相手役心音?」

心音「よいしょっと……で。悠斗に告白されるの?」

かおる「その通り」グッ

心音「うわー、楽しみーっ!」


悠斗「いっそ先輩方が相手の方が数百倍やりやすかったかもしれない……」

かおる「後方には拘束に定評のある未瑠ちゃんも控えているから、逃げ場はないよ?」

悠斗「ですよねー……吹奏楽部恐ろしいとこ……」

恵里菜「という訳で、心音ちゃんが相手になります。何気に見澤くんを地の文以外から見るの、中々にレアですよ?」


Q.15 好きな人に告白してください。※心音視点


「帰り、遅くなっちゃったな。もう誰もいないや」


 ウチらは今日、2人で遅くまで練習をしていた。廊下の電気はもう消えていて、他の生徒たちはみんな帰ってしまっているみたい。静まり返った廊下に、悠斗の声だけが響く。


「だね。……なんか、不思議な感じ。いつもうるさい廊下が、こんなにも静かだなんて」

「だな……」


 暗がりに浮かび上がる悠斗の横顔。普段見ることのない悠斗。何か変にかっこいいとか思ってしまって、普段意識しないだけでちゃんと男の子なんだなって思ってしまう。


「なあ、心音。前向かないと転ぶぞ?」


 ……悠斗はウチのこと、どう思ってるんだろう。何とも思ってなさそうだけど……。

 なんて注意力が散漫になってしまったら、普段からよく転ぶウチはすぐにこうなるわけで。


「ひゃっ!?」


 足に何かが当たって、ウチは思い切り前のめりになる。両手はケースに入れたアルトサックスで塞がってて使えない。

 あ、転ぶ――そう思って、ウチは目をぎゅっとつぶる。


「ほら、言わんこっちゃない……!」


 でも、来ると思った衝撃は来なくて。ぐっと肩をつかまれて、引き寄せられて――。


「大丈夫……か……」

「あ……」


 近い。

 悠斗の顔が、近い。ありがとう、っていう言葉が吹っ飛ぶ。

 熱い。熱い。身体が、顔が、心が、熱い……!


「……ご、ごめん」


 そう言って、悠斗はウチの身体を離そうとする。でも、ウチは何でだか離れるのが嫌で。

 分からない。こんなにも熱くなってるのに、パンクしそうなのに、でも……今悠斗から離れると、そのまま永遠に離れたまんまになってしまいそうな、そんな不安が襲ってきて。


 ウチは、両手で持ってたケースを置いて、悠斗の肩にしがみついていた。


「……心音……?」

「嫌」

「え……」

「離さないで。お願い……」

「……ここ、ね……」


 悠斗は、ウチの身体を優しく抱きしめてくれて……段々強くウチを引き寄せて、悠斗の温かい身体に密着していって……そして、小さく耳元でささやき始める。


「…………なあ、心音」

「うん」

「もう……もう、さ。ただの幼馴染を、やめよう」

「……うん」


 ウチには、悠斗の言っていることがすぐに理解できて、そして、それが――嬉しかった。



--※--



心音「~~~っ!!」ジタバタ

恵里菜「うっわ、甘い……見てるこっちが卒倒しそう……」

かおる「ひゃーっ!! 爆発しろー! 末永く爆発しろーっ!!」

悠斗「……こんなん俺のキャラじゃないって……」


恵里菜「というかこれ見ると、むしろ佐野さんの方が見澤くんにぞっこんじゃない……?」

心音「そ、それは……悠斗はウチが悠斗を好きだってアピールしない限り告白してこないんじゃないかなって、そう思って……」

かおる「つまりさっきのは本編よりも好感度が上がってて、本編の心音ちゃんはここまで見澤くんのことを好きじゃないと」

心音「そういうことです!! だから誤解しないで!!」

悠斗「……それはそれで傷つくんだが……」


かおる「というわけで、見澤くんへの15の質問でした!」

悠斗「これ……やっぱり精神に来ますね……」

恵里菜「佐野さんも身体を張っての協力ありがとう」

心音「……次、ウチですよね?」

かおる「うん」

恵里菜「……連チャンで申し訳ないけど頑張ってね」

心音「が、頑張ります……」


悠斗「……あれ、俺もこれ相手役で駆り出されるやつじゃ」

かおる「ご名答ー。拘束もまだ解けてないしね」

悠斗「ですよねー……」

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