◇シンデレラは(やっぱり)まだ厨二病?◇
「シンデレラ、そんな所で何やってるの?」
「しーっ! リリィと、かくれんぼをしてるの」
あたしは仮免を経て、魔法試験に合格し、今ではユーリイと世界を周りながら魔法の修行をしている。
魔法の修行にはキリがないけど、二人で世界中を巡り歩くのは楽しい。
久しぶりに屋敷に帰ってきてみたら、何とお城にいるはずのシンデレラが娘のリリィを連れて里帰り?してた。
今年7歳になるリリィはシンデレラとチャーミング王子のどちらにも似た愛らしい少女だ。両親と同じ金髪に青い瞳はクリクリと表情豊かに動く。
そして
「お母様にアナスタシアおばちゃま、みーつけた!」
なかなかに活発で好奇心旺盛。
それから、血は争えないというか……
「ねぇねぇ、お母様のコレクションの『夢見るお伽噺集』のバックナンバー、見てもいいでしょ?」
文章を読むのはまだ少し怪しいところもあるんだけど、描かれている絵にすっかり魅せられてしまったようなのだ。
「それからそれから、ブルーノおじちゃまとドリゼラおばちゃまのガラス工房に行って新しくできたガラス博物館も見たいなぁ。アーネストとも遊びたいし」
あれからドリゼラはブルーノさんと結婚して今ではアーネストという6歳の男の子のお母さんになっている。
「それからね、アナスタシアおばちゃま!また魔法で『着せ替え変身ごっこ』もしたいなぁ!」
「あら!あれはお誕生日だったから、特別だったのよ。そんなに、いつもいつもはできませんよ」
あたしは、伯母としての威厳を少し見せつつリリィに言い聞かせる。
「はぁーい!」
と、ちょっと残念そうにしながらも、ちゃんと聞き分けるのは、この子の素直で可愛いところ。
「じゃあ、ガラス工房に行って、アーネスト誘ってくるね!」
そういうとリリィは元気よく駆けていった。
*
「それで?」
あたしはシンデレラに尋ねた。
「今度は何のことでケンカしたの?」
「わーん!お義姉様、
「今日は私の誕生日だっていうのに、全然気がついてないみたいなの。変に目を逸らしたりして話しかけても上の空だし、きっと、きっと、もう私のこと愛してないんだわ」
そう言って泣き崩れるシンデレラ。
まったくもう!
相変わらず、思い込みが激しいんだから(笑)
チャーミング王子も不器用なところがあるから隠しきれなくて困ったんでしょうね。
クスンクスンと鼻を啜っているシンデレラの後ろから、大きな薔薇の花束を持ったチャーミング王子が近づいて来てるのが見える。
あたしは笑いを堪えながら、シンデレラに心の中で話しかけた。
(シンデレラったら、相変わらず厨二病ねぇ(笑))
晴れ渡った空に小鳥のさえずりが聞える。
そしてあたし達は──
みんな、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし•*¨*•.¸¸☆*・゚
꙳★*゚おしまい꙳★*゚
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます