◆そして、みんな幸せに???◆
── あれから2年が過ぎて
今日は、シンデレラとチャーミング王子の結婚式。
空は晴れ渡り、雲ひとつない青空。
まるでお天気も二人を祝福しているみたい。
お義父様は朝からソワソワ落ち着かずに、屋敷中をグルグル歩き回っているし、感激屋のお母様は、既に二枚目のハンカチをグシュグシュに濡らしていた。
そして、シンデレラは……
「お義姉様〜! アナスタシアお義姉様〜!ねぇねぇ、ちょっと見てくださる?ガラスの靴だけど、やっぱりこっちの方が良いんじゃないかしら?」
まったく我が
「はいはい、今行くわよ」
返事をしながら支度を終えたらしいシンデレラの所に行ってみると……
「わぁ!素敵!綺麗よ、シンデレラ!」
お母様じゃないけど、思わず叫んでしまった。何だかウルっときちゃって……。
キラキラ光っているティアラの豪華さ、水色の繊細で優美なデザインのドレスは、白い陶器の様な肌を引き立てている。
でも、それ以上に光に輝く金髪と青い湖のような瞳が喜びと幸せに
あたしが、あまりにもストレートに褒めすぎたせいか、シンデレラは恥ずかしそうな顔をして真っ赤になったけど、それでも尋ねてくる。
「あのね、このガラスの靴なんだけどね。デザインは絶対これだって決まってるのよ。でも、ギリギリになって、この真珠の飾りの付いたのよりも、サファイアの飾りが付いた方が、ドレスの色に合ってていいような気がして迷ってるの。ここは
真剣な顔のシンデレラ。
さすが『夢見るお伽噺集』の熱心な愛読者だけの事はあるわね。
細かいところにも手抜きなし。そりゃあ一世一代の晴れ舞台だもんね。
*
そうそう、そういえばドリゼラは、ブルーノさんのガラス工房の共同経営者として、デザイン部門を受け持つことになったばかり。
二人は仲のいい恋人同士で婚約している。
一緒に暮らしているけれど、まだ結婚はしていない。
『ガラスの靴』のヒットがあってからは、工房もかなり忙しくなって、充実しつつも慌ただしい毎日を送っているようだ。
最近では『ガラスの馬車(強化ガラスバージョン)』というのも手がけていて、美しさだけでなく、より耐久性に優れたものを目指しているとの事。
「今はこのガラス工房で
と生き生きとした表情でこの前、言っていた。
ふふふ、あんなに内気で色んなことに受け身だと思っていたドリゼラだけど、実はあたしよりも、しっかりしてるのかもしれない。
ちゃんと地に足をつけて、パートナーと夢を追いかけてる姿は素敵だし輝いて見える。
*
そして、あたし。
あれから1年目に、あたしはユーリイさんに弟子入りした。
まだまだ自分自身が未熟だからと最後まで、弟子入りを渋っていたユーリイさんだけど、ユーリイさんの魔法の師匠から、「人に教えることも、また自分自身の学びになる」と言われて思い切ったらしい。
この大師匠は、フサフサの白いお髭を生やしていて、まるでサンタクロースみたいな方。
偉大なる魔法使いなのに、ちっとも威張ってなくて、ユーリイさんもあたしも、とても尊敬している。
この大師匠とあたし達の魔法修行の話も出来たらと思うけど、それは、またいつか機会があったら。
あたし達の仲は……うーん、進んだような?進んでないような?
でも、今はそれでいいの。
魔法という奥深いものを、こうして共に学んでいけることが楽しくて仕方ないから。
*
教会の鐘が鳴り響く中、チャーミング王子とシンデレラが、お城の赤い絨毯を走り抜けて階段を降りてきた。
ドリゼラとブルーノさんの最新の硬化ガラスの馬車に乗り込む。試運転を兼ねていて、今回はちゃんと本物の馬に御者と従者(笑)
二人とも幸せそう。
今から王位を継いだ時に良い王様になる為に、国中を視察を兼ねてまわる旅に出かけるらしい。
それを新婚旅行にするつもりだって。
馬車が動き出す。
王様、お后様、お義父様、お母様、ドリゼラ、ブルーノさん、そしてあたしとユーリイさん、その他にも沢山の見送りの人達が祝福の 言葉を口々に叫んでいる。
「シンデレラ!」
あたしが声をかけると、輝くばかりの笑顔で振り向き、手を振るシンデレラ。
あたしとユーリイさんは、とっておきの魔法で、馬車の行く先に色とりどりの花を撒いていった。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
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幸せにね、あたし達の可愛い妹。
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そして、あたし達はみんな
これまでで一番最高の
── 笑顔になったのだった。
(終)
※次回はオマケのミニストーリー
ちょっと気になる、みんなのその後のお話。
◆シンデレラは(やっぱり)まだ厨二病?◆
お楽しみに。
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