・・・

 私の名前は清野いちご。


 正確には、いちごの、なんだろう。感情?


 いちごが自分の体から押し出した私、みたいな。私も自分のことはよくわかってない。


 ただ、私は彼への思いが積もりに積もった結果だっていうのだけはわかってる。


 おそらく、後ろ向きな私だ。だって私、あんなに明るくないし。


 恋人が出来てしまった彼のそばにいるために、清野いちごはネガティブを遠ざけたんだろう。まさかこんなことになるなんてね。


 いちごって名前なのにかわいげのない私が、こんな不思議なことになってるなんて、私ですら信じられない。


 だからなのか、私は誰にも見えない。触れない。関われない。


 もうずっとこうして、清野いちごの行動を見守ってる。


 せめて近くにいようと健気に頑張ってる、痛々しくてかわいい、清野いちごを。

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