私はお別れを言う!
「...」
「マルガ?いつまで落ち込んでいるの?」
「...」
「マルガー?どうしたの?」
「...」
「そろそろミツキ来るわよ?...そんな落ち込んだ顔で旅立ちをするの?」
「...」
「はぁ...まぁ当然だけど...深刻ね」
リーアが横で何か言ってるっぽいけど全然耳に入ってこない...ママが...どうしよう...こんな時に旅に出ていいのだろうか、どうしよう...
「...マルガ...?準備出来てる?...そろそろ出るよ?...」
「...ミツキ...」
「...どうしたの?...顔色悪いけど...体調悪い?...」
「...どうしよう...ママが...ママが...」
「...あぁ...マルガも聞いたの?...」
「...ミツキはどう聞いたの?...」
「..そうねぇ...もう病気で先は長くないから出来るだけマルガに心配をかけたくないって言うのと、この病気は最近かかったものだし感染症の物じゃないから皆に移る心配が無くて安心しているって事...とかかな?」
「...!...やっぱり...ママは....もう...」
「...だから落ち込んでるの?...だめだよ?ソフィア様にあんまり心配かけてしまうから...マルガは今は泣いたらだめだよ?ソフィア様と別れる時は笑顔でね?...」
「...頑張る...」
頑張りはするけど...果たして私はママの前にもう一回立った時に笑顔で入れるだろうか、ママは逆にどうして笑顔で私を送る事が出来るんだろう...分かんない...何も分かんないよ
「よし...行こう」
「...そうね...」
私達が部屋から出てお城から出ようとすると...出入り口に沢山の人が居た...私を世話してくれたメイド達...このお城で働いていた人達...皆で見送りかな?パパもいる...なんでママも居るの!?
「ママ!?」
「あらマルガちゃん、そんな声を大きくしてどうしたの?」
「なんで!?...そ、その...」
「あら?病気の事なら皆知っているわよ?」
「ならなんで....なんでここに居るの!」
「娘が旅に行くのよ?見送りはしないとね」
「パパはどうして!なんでママを!」
「ん?ソフィアがここに居たいと言ったんだ、勿論俺としては願いを叶えただけだ」
ただそういったパパは拳を強く握りながら何かを我慢しているようだった
「...うぐ...」
「そういう事よ?マルガ?旅は危険よ、出来るだけ安全に行きなさい、自分の命を大切にしながら生きていくのよ」
「...ママがどうしてそれを言うのよ」
「あら?娘の安全を願うのは親として当然よ、自分の命より大切なのだから」
「...」
「そうねぇ...ミツキのいう事はちゃんと聞くのよ?冒険としても旅としても先輩だからね」
「...」
「後街に行ったり村にしたときはちゃんと話を聞きなさい、人と話す事は大事な事よ、貴女はちょっと過保護に育ててしまったから...あんまり人と話す機会も作ってなかったし...でも学校に行ってるから大丈夫かな?」
「...そ..うだね...」
「そうねぇ...後友達は沢山作っておきなさい、貴女は愛される子だから...」
「...うん...うん...」
「...皆は他に言いたい事は無い?...」
「僕は大丈夫だよ、皆も大丈夫だ...だからマルガ...こっちおいで?最後にソフィアとちゃんと挨拶をしてくれ...」
最後だなんて...私はまた帰ってくるよ?それに皆もどうして泣いているの?...私もなんで泣くんだろう?...理由は分かり切ってるけど認めたくない...でも最後だもんね、ママがちゃんと笑顔になれるように私も笑顔で居ないと...そうだ、ミツキにも言われたもんね 笑顔で
「...ママ...ありがとう...私はちゃんと元気でいるね...行ってきます」
「えぇ...行ってらっしゃい...ちゃんと元気で...幸せでいるのよ...」
私はママの体を抱きしめる、ママはもう立つ元気も無いのか殆ど私に体重を預けながら抱きしめ返してくる 殆ど力が無い...やっぱり
「...愛し..てる...わよ...」
「私も愛してる...ママ!」
そう言った瞬間私を抱きしめているママの手から力が抜ける 崩れ落ちそうになるのを私とパパが殆ど同時に支える
「ママ!」
「...マルガ...ソフィアはもう...」
「...ママぁ...」
どうしてこの世界はこんなに理不尽なんだろう 病気とはいえママがこんなに早く死ぬんだから しかも私が旅立とうとしているときに... ただ、ただ本当に一つだけよかった事は...私の最後の言葉が聞こえたのかママの顔はとても綺麗にほほ笑んだ顔だった
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