私は宿に泊まる!

 「取り合えず私たちの依頼はこの門で終了ですね」

 「俺たちも共和国までの護衛だからな、ここでお別れだ」

 「『ケルベロス』さん達もお疲れ様でした..本当は二日だったのですが追加料金は本当に大丈夫ですか?」

 「ああ、結局子供の体力を想定しなかった俺たちも悪い、ルーカスさんこそ大丈夫なのか?」

 「私は特に急いでる訳でもないですからね、勿論大丈夫ですよ」


 私のせいで一日遅れてしまったけど大きな迷惑にならなかったみたいで少し安心、これで大事な取引に間に合わないとか合ったらもう良心が痛すぎて多分折れちゃうよね、完全に私のせいだし


 「ではドロシー様、私はここで失礼します、貴方達はあそこの門の所に検問所があるのであそこで入国の手続きをしてから入国できると思います」

 「ルーカスさん達もありがとうございました、また機会があったらお願いします」

 「はい、その時はまたよろしくお願いします。」


 そうしてルーカスさんは門から入って行ってしまった 最後までいい人だった 商人みたいだし見かけたら何か買った方がいいのかな?


 「じゃあ俺たちもギルドに行かないと行けないから失礼するよ」

 「カイトさん達も三日間ありがとうございました」

 「....ありがとう」

 「おう、まぁ俺たちもお金を貰って護衛していた訳だからな、次依頼をする時があったら俺たちを使ってくれ、一回だけタダで受けてやる」

 「おー..太っ腹...」

 「できれば面倒じゃない依頼だと助かるな!」

 「その一言が無かったらかっこよかったのに」


 かっこいいのに最後にかなりダサい事をいいながら『ケルベロス』達は門へと入っていった 考えてみたらカイト以外とはあんまり喋ってないから今度会う機会があったら喋ってみよう うん きっと喋れるはず


 「じゃあ私達も国に入ろうか」

 「そろそろパーカー外してもいい?」

 「うーん、どうせだし検問所で外そうか、特に何かあるわけじゃないけど」

 「はーい」

 

 ゆっくりと歩いていると衛兵らしき人が出てきた お仕事ご苦労様ですぅ


 「何のようだ」

 「入国の手続きをしにきました」

 「分かった、ではここに必要事項を記入して私に渡してくれ、国かギルドからの紹介状はあるか?」

 「一応国からなら持ってるよ」

 「ならそれも一緒に提出してくれ、この部屋を使っていい、終わったらその呼び鈴を鳴らしてくれ」


 そういいながら衛兵は私達に机と椅子を出してくれた 皆にこの対応しているなら混みそうだけどどうなんだろう?


 「ふむ?入国の理由は..まぁ学校の為でいいか、元の国は、ルクロン王国だね、..保護者は..メリーより私の方がいいか」

 「書き終わったー?」

 「マルガ様?飴玉舐めますか?」

 「舐める!」


 ドロシーが書き終わったのか呼び鈴を鳴らして衛兵に書類を渡していく そう言えば国からの紹介状って何が書いてあるのだろう 気になるけど聞いていいのかな 衛兵が何処かにいったらドロシーかメリーに聞いてみよ


 「この紹介状は..なるほど、お前らが連絡のあった者達か」

 「ライルが連絡でもしていたのかな?」

 「失礼の無いようにとだけだがな..まぁ身分も証明出来た事だし問題あるまい、ようこそ共和国へ」

 「やったっ、やっと共和国に入れる!..」

 「お嬢さんにはこれをあげよう、どうかこの国を堪能していっておくれ」


 そういって衛兵が私に飴玉をくれた 子供に飴玉を渡すのが流行っているのかな?短い間で二回も貰っちゃった 美味しいから私としてはありがたいけど!

 そう思いながら検問所を抜けて街中を見ると 一気に広がる街で目の前に出店と商店が盛っている場所がある なんかこう、違う国に来たって感じがして凄い気持ちいい


 「マルガちゃんパーカー外さないの?」

 「そっか..この国だったら別に獣人でも変じゃないのか...」


 メリーとドロシーに見られながらパーカーを外す そんなにジロジロ見られると着替えを見られているみたいで少し恥ずかしい


 「うわっ...太陽眩しい...あーっ、スッキリ~」

 「...やっぱ可愛いわね」

 「可愛いですね」

 「変な事言うな...別に普通だし」


 と思っていたんだけど思ったより周りからも見られている 視線が刺さって少し嫌だ...やっぱり変じゃないのかな


 「ああ...これはマルガちゃんが可愛いから見られているんだよ、それは慣れないといけないよ」

 「ええ..私そんな可愛くないよ?」

 「え?銀髪が背中まで伸びていて外に出てないから肌も白いでしょ?その中で目だけが紅いから目立つ上に容姿も整っている、これを可愛いと言わずになんと言うの?」

 「適当な事いうな・・・」


 私の事をからかおうとするドロシーを無視してメリーの後ろに隠れる 視線が刺さるのは割とつらい 主に恥ずかしいって意味で


 「あ、マルガちゃん逃げたね?」

 「逃げてない」

 「釣れないなぁ...じゃ取り合えず今日泊まる宿を見つけて明日から学校編入の手続きをしにいこうか」

 「分かりました、確か家自体は既にあるんでしたっけ?」

 「私が聞いた話だったらマルガの為にわざわざライルが買い与えたらしいよ?馬鹿って怖いね」 

 「ライル様を馬鹿と言うのは多分ドロシー様だけだと思いますが...」

 「さっさと行こうよっ...」


 メリーの後ろに隠れても好奇の視線が消えてくれない 早く非難しないと 


 「はいはい、行く宿はもう決めているからね、「猫の尻尾」っていう旅館よ」

 「へぇ...私お泊り初めてだから楽しみ」

 「今から直行して荷物を置いてから買い物に行くからまずは向かうわよ」

 「はーい」


 といっても遠い訳ではないのでものの5分程度で着いた 二階建ての木造建築で横に広いのは多分少しでも部屋を作るためかな?


 「はーい、いらっしゃい~」

 「お姉さん、大人二人と子供一人、いくら?」

 「うーん、銀貨4枚ですね~、子供分はただでいいですよ~」

 「食事付きだと?」

 「それなら銀貨5枚になりますね~」

 「じゃあそれでお願い」

 「どうも~、部屋は奥の部屋になります」


 部屋に入るとベッドが二つと小さい机が一つ こちらから鍵を閉めれる窓が一つとかなり殺風景な部屋だった、これくらいが当たり前なのかな 


 「ドロシー、お金ってどうやって使うの?」 

 「....そういえばマルガちゃんが箱入りお嬢様なの忘れていたわ...それも買い物に行った時に説明してあげるわ」

 「よろしくぅ...ふわぁ...疲れた」


 初めての宿で疲れが一気に出たのか私はベッドでとろける様に瞼を閉じてしまった

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