私はお話をする!②

 「ありがとう、マルガちゃん楽しかったわ、今日私達の部屋に来る?」

 「そうだよ、俺たちはいつ来てもらっても構わないよ」

 「....ありがとうございます、でも今日は大丈夫です」

 「そうかい..分かったよ、また明日ねマルガ」


 いきなり来た家族の時間に私は戸惑いながらもどうにか食事の時間を終える事が出来た 正直何を話して何を食べたか全く記憶に無い 私はちゃんと娘を演じることが出来たいたのだろうか


 「マルガ様お疲れ様です、今日は部屋でゆっくりしましょうか」

 「....ねぇメリー..私変じゃなかった?」

 「...取り合えず今日はもう寝ましょう」


 どうやら変だったみたいだ メリーでも分かるって事はママやパパでも分かったのだろうか それとも付き合いの長いメリーだから分かったのだろうか 私にはまったく分からないや


 「今日は一緒に寝ましょうか?..ドロシー様は多分既にベッドで寝ていると思いますけど」

 「..今日は一人で寝る」



             ◆◇◆◇


 「メリー?そっちから見て僕たちは変だった?」

 「いいえ?ライル様達は普通でしたよ?」

 「ならどうしてマルガはあんなによそよそしい感じだったんだい?」

 「それは..私の意見でよろしいなら壁を作っていたのはマルガ様だと思います、でもそれも仕方ないかと。マルガ様が生まれて3年、殆どその時間を親子で過ごしていませんから、マルガ様からだと親という繋がりを持ってるが故に逆に関わりにくい存在なのかもしれません」

 「なるほどね...時間が解決するしかないのかな..」

 「案外マルガ様が吹っ切れてくれるかもしれませんね」

 「本当に私たちが今まで構ってやれなかったのが一番悪いんだけどね...」


             ◆◇◆◇


 「...頭痛い...何もしたくないぃ...」

 「マルガ様ー?ドロシー様?起きてくださーい」

 「..なんでドロシー居るの?私一人で寝たはず...」

 「気にしたら負けだと思うよ」

 「体調悪いのですか?今日は勉強おやすみしますか?」

 「...やる...休まない」

 「....失礼します...わっ、凄い熱じゃないですか!今日はお休みにします!」

 「えー?マルガちゃんお熱?じゃあ今日は一緒に寝ようかー..」

 「..大丈夫だし...授業も受けるし一人で寝れる...!」

 「だめですからね?熱ならライル様とソフィア様にもお伝えしますね?」

 「絶対だめ!..伝えちゃだめ..心配かける...」


 心配をかける事はだめなのだ これから仲良くしないといけないのに最初から迷惑をかけるなんて絶対にだめだ


 「マルガちゃん?どうしてお母さんとお父さんに遠慮するんだい?」

 「ドロシー様?」

 「...」

 「マルガちゃんの年ならお母さんに甘える事も普通の事だしお父さんに頼る事も自然な事だよ?確かに3年間開けていたかもしれないけどマルガちゃんにとっては唯一の親だろう?」

 「.....」

 「もし甘え方が分からないなら試行錯誤すればいいじゃないか、頭のいいマルガちゃんなら出来るだろう?」

 「.....ない」

 「?」

 「甘え方なんて知らない...私が甘えられる訳がない...」

 「どうしてだい?」

 「だって!私がもし獣人じゃなかったら..!私がもし普通の人だったら...メリー以外のメイドも構ってくれて..ちゃんとした友達が作れて...外にも出れて...ママにもパパにも最初から構ってもらえた!...だけど私は獣人だから...ママもパパも忙しくて...それで...」

 「マルガちゃんは..お母さんの事とかお父さんの事嫌い?」

 「.....嫌いじゃない...」

 「じゃあ自分の事は?」

 「......嫌いかもしれない...分からない...」


 昔からそうだ 前世の時から 自分の事に自信が持てなくて だから自分の事が好きじゃなくて でも嫌いでもなかった 


 「マルガちゃんは3歳だよ?知っているかい?3歳は何しても許される年の範疇だよ?まだ子供なんだよ、マルガちゃんは」

 「....何してもいい?」

 「ああ、マルガちゃんが傷つく事以外なら何でもしていいさ」

 「...甘えてもいいの?」

 「メリーちゃんでも私でも、勿論お母さんでもお父さんでも」

 「わがままでもいいの?」

 「もちろん、子供の特権だからね」


 本当にいいのだろうか 私は二回目の人生だ 子供というにはちょっと違う気がするけど、精神的には体に引っ張られて子供っぽくなってるのは正直否めないけど 


 「マルガちゃん!?熱出てるって聞いたけど大丈夫!?」

 「マルガ?大丈夫かい?」

 「おやおや、ライルにソフィア様、どうしたんですか?」

 「メリーが呼んでくれたんだよ」

 「ドロシー!そこをどきなさい!そこはお母さんポジションよ!」


 気づいたらドロシーに抱き着きながら頭を擦りつけていた 恥ずかしい


 「はいはい、お母さんに譲りますよ」

 「マルガちゃん熱大丈夫?辛くない?食欲ある?」

 「だい..大丈夫だからっ..だから抱きしめないでっ..一人で大丈夫だからっ..」

 「今日は離さないわよ、娘が病気なのに心配しない親が居てたまるものですかっ」

 「あうううぅ...」

 「今日は大人しく寝る、そして私と一緒に居る、いい?」

 「..分かりました....」

 「敬語も禁止!親子で敬語なんて変じゃない!」

 「わか..わかった」


 私よりママの方がわがままを言って私に色んな事を要求してくる でも全部本当なら私が自然にできることをしないもんだからママが要求しているだけだ 

 私はまだ3歳 どんどん時間をかけて仲を育んでもいいんじゃないか?

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