喫茶店の奥にて

 「ある喫茶店にて」のシリーズものとして、萩原視点の話を一つ書きたいと思いながら書いたもの。

 この話で書きたかったのは、萩原からワタルへの信頼の厚さである。萩原とワタルの出会いとなった事件は、多分2500字に収めることは不可能である。よって匿名コン中にその事件について書く事はできなかった。だから「喫茶店の奥にて」は必要だった。

 萩原とワタルの出会いは、別に短編で書く予定でいる。今回の短編集には載せない。字数のバランスを考えた上での判断である。


   ◇


 萩原には野生の勘とでもいうべきものが優れている設定がある。萩原の「なんとなく」は割と当たる。ワタルに聞きに行くのは、その勘を後押しする何かが欲しいってだけの理由だったりする。ワタルの能力と人柄は信用している。だがワタルの「見た」ものが自分の勘とずれていた時、萩原はどちらを重んじるか。それはその時にならないとわからないだろう。


   ◇


 今回依頼人の肩を持って別れさせようとしていたらどうなっていたか。裏設定では「心中&発狂エンド」である。数日後、海に身を投げた夫と愛人の遺体があがり、依頼人は発狂し入院。依頼料は結局貰えずじまいになる。今回依頼人に肩入れしなかったことにより、実は最悪の事態を免れているのである(依頼人が簡単に引き下がるとは思えないので、このバッドエンドは時間の問題かもしれない件から目をそらす)。

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