一番手前の快楽に手が伸びるのは人として当然のこと。それが強いストレスがかかった状態なら尚更。SNSの恐さはそこにあって、便利さを理由にいつでも手の届くところに存在しています。中毒性に関しては麻薬や覚せい剤、アルコールなどの方がよっぽど強いかもしれないですが、危険な匂いを一切させない無機質な外面や敷居の低さは他の比ではなく、その広範囲に及ぶ影響力を考えたら、悪質性は群を抜いているのではないでしょうか。
この物語ではSNSの恐さや醜悪さ、気分良く笑えない滑稽さなどを鋭く刺していて、「簡単さ」が一番の麻薬なのかもしれないと、気付かせてくれます。
「簡単さ」を求めている人たちが互いに売人にも末端ユーザーにもなって相互に中毒に陥っていく姿が酷くグロテスクに見えるのは、自分自身にも、その素養があることを理解しているからかもしれません。
大変考えさせられました。面白かったです。