第60話
正直な話、本気で驚きました。
まったく想像もしていなかった質問に、虚を突かれました。
体と頭が固まって、何も考えられず、すぐに返事ができなかったです。
それでも、公爵令嬢として受けてきた教育の御陰か、ルークの姉として経験してきた事の積み重ねか、恥をかく前に何とか答えることができました。
「さて、そんな事は考えたこともありませんでした。
一度のルークに聞いてみなければけませんね。
ですがそれは、貴女の居ない場所がいいでしょう。
貴女になにか触りがあってはいけませんからね」
えぇぇぇぇと。
この娘の名前は何と言ったでしょうか?
余りの衝撃に名前が飛んでしまいました。
国は、そう国はホワイト王国で、王家もホワイ王家です。
名前は、そう!
名前はレイナでしたね。
王の娘には全員婚約者がいたので、弟の娘を養女にして、飾りの王族全権大使にして送り込んできたのでした。
ですが色々あって交代の王族が送られてくる事も帰国することもできず、城下で三年もの間、欝々とした年月を積み重ねていたのでした。
本来ならどこかに輿入れしていてもおかしくない年齢になっています。
申し訳ないことをしましたね。
どうしてあげるのがいいのでしょうか?
「貴女達には本当に申し訳ない事をしたと思っています。
もし本国から無理難題を押し付けられているのなら、責任を持って対処します。
人質をとられているのなら、必ず無事に取り返すと約束します。
婚期を逃したと言うのなら、相手を探します。
家柄を優先するのか、人柄を優先するのか、それとも容姿が大切なのか、遠慮なく言ってください」
まあ、そうは言っても、素直に本心を口にしてくれるとは限りません。
相手は王族です。
現国王の直系ではありませんが、傍流と言い切るには血が濃いです。
先代王の直系ですから、王族としては十分な位置ですね。
当然ですが、蝶よ花よと育てられた深窓の令嬢でしょう。
国王や海千山千の大臣に脅されたら、何の抵抗も出来ないでしょう。
「いえ、そのような事はございません。
決して父母や国王陛下に無理強いされたわけではないのです。
わたくし、動物や半人間にも御優しいルーク様をお慕いしているのです。
幼い頃から、動物が大好きでした。
父母に無理を言って、小さな犬や猫を貰って育てた事もあります。
ですが、大きな動物を育てる事は許してもらえませんでした。
もし、ルーク様の妻になれたら、大きな動物も育てさせてもらえるのではないか?
半人間のお世話も出来るのではないか?
そう考えて、御教え願いたいと、厚かましくも謁見を願い出たのでございます。
どうか、どうか、御教えくださいませ!」
はい?
なんですって?
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