第40話
各国の全権王族大使が城下に集まった最初の頃は、どの国がどの屋敷を使いうかで少々もめました。
ですが、直ぐにもめた両国の人間をルークが疣臭豚に変化させたので、二度と全権王族大使一行がもめる事はなくなりました。
誰だって疣臭豚に変化させらるのは嫌です。
それに、ルークや私に嫌われたのでは、何の為にここに来たのか分かりません。
馬鹿は直ぐに国に強制帰国させられたようですが、今も生きているかどうか……
結局城下にやってきた国は、十九国にもなりました。
トーレス王国と国境を接する国だけではなく、間に国を挟んだ遠国からも全権王族大使がやってきました。
ですがこれは、トーレス王国には恐怖と負担でしかありません。
王族と彼らを護る護衛が大挙してやってくるのです。
他国の軍勢が国を通過するのです。
ですが今のトーレス王国には、それを拒む事はできません。
経済的な国力も戦闘力も激減しているからです。
ローガン王にできるのは、ルークと私に縋る事だけでした。
ルークは面倒臭いと嫌がりましたが、私は民が可哀想になりました。
自国に力がない状態で、他国の王族と兵士が侵入してくるのです。
どのような無理無体を強制されるか分かりません。
私はルークを説き伏せて、国境の関所や港で各国の全権王族大使に、我が国に入るための条件を付けました。
我が国に入る時に人数と武装に応じて税を払うのは当然ですが、同額をトーレス王国にも払う条件です。
最初は各国渋っていましたが、私に頼まれて嫌々来ていたルークが、長引く交渉に癇癪を起こして、人のいない所に次々と巨大な雷を落したので、恐怖した各国が支払いを認めました。
莫大な入国税が更に倍になったので、各国の入国は遅れましたが、その分サービスしなければいけないと、思ってしまったのです。
ルークはそのような事に頓着しませんが、私は気にしてしまうのです。
だから各国の全権王族大使が面会願を出してきたら、無碍に断れません。
それに、美しい音楽を聴きながら、美味しい料理を食べるのは好きなのです。
半人間が作ってくれる料理は、素材は良質で新鮮なのですが、単純に塩で焼くか煮るだけなのです。
各国の宮廷料理が並ぶ晩餐会は、正直とても愉しみなのです。
堅苦しい作法が苦手なルークには悪いのですが、説得して毎日一食は大使館に行かせてもらっています。
それに、ルークの事を全ての国の全権王族大使によく理解してもらわないといけません。
行儀作法が守れないルークと一緒に暮らしていける人でないと、ルークの妻にはなれないのです。
そうです。
私は本気でルークの妻になれる人を探しているのです。
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