遠足、それはラブコメイベントばかり?⑤
「ところで愛莉、なんでさん付けなんだ?」
「まあ、そこは気にしないでくださいよ。ところで、さっきの聴かれちゃいましたよね?」
「ああ、聞いてしまった。やっぱりお前モテるんだな」
「モテるとかじゃないですよっ‼男どもは、私の身体目当てに告白してくるんですよ‼」
「でも、一回くらい経験あるだろ?」
「ないですよ、初めては好きな人にって決めているので……」
「お、おう、そうか……」
「そ、それよりもっ‼どうですか、高校生になった私は?」
「ん~、去年の夏とあまり変わらないな」
「むぅー‼私、ちゃんと背も少し伸びたし、胸も少し大きくなったのっ‼」
「はいはい、そうだねー。だから、くっつくのやめてくれないかな?」
「あ、もしかしてドキドキしてます?」
「べっ、別にドキドキなんてしてないしっ‼というよりも俺は歳下には興味ないからっ‼」
「本当かな~?ほらほらっ」
「やめろっ、くっつくなっ‼」
あ~、もうっ‼なんでコイツは何時も何時もくっついてくるんだよっ‼今日はこんなことしているのバレたら確実に殺され……
「随分と楽しそうですね、先輩」
「冴河、私に隠れて一年と付き合ってるなんて、本当に女たらしだったのね」
「裕太さんこのお二方は?」
「いや、俺は何も聞こえないし何も見えないな~」
「へ~、そんなこと言っていいんだ。じゃあ、付き合っていた時のいろんなプレイをそこの子に教えてあげようかな?」
「やめろ‼言うほど回数してないだろ‼」
「なっ‼ばれてたか……」
「ていうよりも、存在について認めましたね?」
「あ……」
「じゃあ、詳しく話を聞かせてください」
俺は事情をすべて話した。
「なるほど、この子があの龍ケ原家のご令嬢なのね」
「あの?」
「先輩、知らないんですか?」
「うん、知らない」
「マジですか……」
「私も知らないんですが?」
「はあ、いいですか、龍ケ原家の人間にかかわると、みな不幸になるという噂があるんですよ。」
「なるほど、じゃあ、先輩方はもう不幸になっていないとおかしいですね?」
「なんで?」
「だって俺、龍ケ原十四文とは、親子の契りを交わしている」
「「なんですとっ⁉」」
「本当ですよ、ですがそれは法律とかではなく、表面上の関係ですけどね」
「それは、初耳なんですが……」
「私は知ってたけど、確かに不幸になってないのは、びっくりだね」
「じゃあ、あの一人暮らししてる部屋って……」
「ああ、龍ケ原名義で借りている」
「そ、そうなんですね〜」
「じゃあ、俺はそろそろパトロールに戻らないといけないので、さよなら〜」
俺はその場を離れるように走り去った。
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