遠足、それはラブコメイベントばかり?④
「……ですか?」
「……ん?」
「大丈夫ですか?」
「あれ、なんで千雪さんがここに……てか、ここ何処!?」
「はぁ、私はてっきりあなたが私を助けてくれるために降りてきたのかと思えば、落ちてきてまず気絶、ダサすぎではありませんか?」
「嘘!?何分くらい気絶してた?」
「2分くらいですよ、でも……」
「でも?」
「全く動かないあなたが、死んでしまったのではないかと心配して、損しました」
「なんで!!」
「まあ、そういう細かいかとはどうでもいいです。ここは、井戸のあとだと思います」
「上まで4メートルってところか……」
俺は、おもむろに壁石を掴んだ。
「まさか、登る気ですか!?さっきまで落ちて気絶してたのに……」
「でも、どっちかが登って誰か呼びに行かないと……あ、スマホポケットに入ってた……」
「裕太さん……」
「はい、なんでしょうか……」
「とりあえず、そこに座ってください」
「はい……」
俺は、土の上で正座させられた。
「いいですか、私は私の周りにいる人が傷付いて欲しくないんです。あなたが今回行おうとした行為は、もはや自殺行為なんですよ!!」
「すみませんでした……」
「本当にっ、もうっ、私に心配させておいて、謝罪だけで済むなんて思ってるなんて……」
「わかった、責任を取るために何でもするっ‼」
「言ったわね、何でもするって」
「まあ、俺ができることなんて限られているから、そんな無理難題を押し付けられても無理だからな」
「まあいいわ、とりあえず、ここから出るために誰かに電話をしましょう」
「じゃあ、修に電話するか」
「あ~、あのムカつく顔をした生徒会長さんですね」
「なんか言葉が辛辣だな」
「まあ、貴方とは仲良くなりたいから、素の顔を見せてもいいかなって」
「それって、俺のことがす……」
「まだ好きではないわ。今後の貴方しだ……って何言わせてるのよっ」
「グハッ!!」
殴られた、理不尽だ……
「と、友達よっ!!友達としてってことっ!!とりあえず早く誰か呼びましょう?」
「そうだな、じゃあ、電話するぞ」
その後、俺は修に電話し先生達と協力して俺たちを助けてくれた。
助けられた後、俺は生徒会の職務である見回り活動を行っていた。
「にしても、ついてなかった……」
でも、あの表情の千雪、超可愛かったな……
「なんで俺じゃダメなんだよっ!!」
おっと、またしても俺は告白の現場に居合わせてしまったようだ。
「私は、貴方のような下心丸だしのような人、私は死んでもゴメンだわ」
「そんな……、だって、俺は……」
「話はそれだけ?なら、私は皆のところに戻るけど……」
「待てよ、ここには誰も来ないんだったよな?」
「え……」
「だったら、何してもバレないってワケだ」
「キャッ!!」
男子生徒は、女子生徒に覆いかぶさった。
「これ、やばくないか……」
「やめて、離してっ!!」
「うるさいっ!!ちょっと可愛くていい所のお嬢様だからって、調子に乗るな……」
「おっとそこまでだ、これ以上はお前が表の世界でも裏の世界でも生きていけなくなるぞ」
俺は、男子生徒の手首を掴んだ。
「はぁ?アンタ誰だよ、何俺の邪魔してくれてんだよっ!!アンタ、この学校に居れなくなるぞっ!!」
「お前、馬鹿か?この腕章を見てもそんなこと言えるのなら、お前は俺たち生徒会と龍ケ原家を舐め過ぎだ」
「ぐぬっ……、まあいい、後で後悔するんだなっ!!」
そう言うと男子生徒は去っていった。
「あの、助けていただきありがとうござい……、ゆ、裕太さん!?」
「大丈夫か、愛莉」
そう、そこにはあの日、俺を落としてみせると言っていた女の子、龍ケ原愛莉の姿があった。
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