遠足、それはラブコメイベントばかり?③
俺たちが到着してから10分後、最初の1団が到着した。
まあ、時間帯的にバレー部かサッカー部だろう……
その予想は、覆されるのだが……
「な、なんで映研部が1位なんだよ!?」
「だって、我々映像写真研究部は遠足の写真撮影を行う部なのだよ、冴河氏!!」
「小田くんそうなの!?」
「そうだぞ、裕太。映研部ことヲタ部は、存在する代わりに我々の依頼を拒否する権利を破棄すると契約してくれたからな!!」
「このクズ生徒会長がそうしないと部費を7割削減するぞって脅してきたんですよぉ……」
「ほぉ、先輩そんなことしてたんですね……」
「おい春川、なんでそんな不気味な笑みを浮かべているんだ?」
「え、そう見えますか?」
「うん、とても怒っているような気がするんだ……けど?」
「大丈夫ですよ、ちゃんと向こうの陰になっているところで、一撃で終わらせるので……」
「待ってぇ~、許してぇ~、助けて裕太ぁぁぁぁ‼」
「春川、殺すなよ‼」
「わかってますよ~、一発しか殴りませんから」
「待って、助けてくれないの⁉」
「じゃあ、ごゆっくり~」
「いやだぁ~、痛いのは嫌だぁ~」
そのまま修は春川に連れていかれ、
「制裁‼」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
修の断末魔が聞こえたところで、春川が戻ってきた。
「おかえり、修は?」
「今、ゲロってます」
「お前どこ殴ったんだよ、そして、その言葉使いはやめなさいよ、女の子なんだから」
「鳩尾ですが、何か問題でも?私としては、男の象徴を踏みにじってやりたいと思っていたんですが……」
「そこは絶対に踏むなよ……」
今とてもヒュンヒュンしてる。
「ともかく、一発だけしか殴らなかったのはえらいぞっ‼」
俺は春川の頭を撫でた。
「えへへ、って公衆の面前でそんなことしないでください‼」
「そんなこと言って、うれしいくせにっ‼」
「あ、バレました?」
「顔に出てるからな」
「えっ⁉」
そのまま両手で顔を覆い隠した。
控えめに言って可愛い。
妹にしたい
「じゃ、じゃあ、そろそろ他の運動部が来るから、迎える準備をしましょうか‼」
「だな、じゃあ次はどの部が来るか予想しようぜ」
「そうですね、私は、陸上部に、自販機に売ってあったハーゲンダッツ一つ」
「お、じゃあ、俺はサッカー部の顧問の平良矢先生にモンスター一本で」
「いいですよ、どうせ勝つのはわた……」
「その賭け、どうやら冴河の勝ちのようだな」
「お、さすがっすね、平良矢先生」
「当たり前だ、毎年俺を置いて自転車で行きやがって、お前ら生徒会役員共はよっ‼」
「だって、アンタのペースで行ったら俺たちは開始5分でくたばるに決まってるだろがっ‼」
「何を言っている、毎年なにかと言い訳つけて俺を置き去りにするのは、テンプレートになっているのか生徒会の中では‼」
「きっと先生が無理難題を言いつけるからですよ‼」
毎年15分以内に目的地に走っていくなんて無茶を言うからである。
「ところで、先生は今年何分で来たんですか?」
「ああ、今年はニューレコードの13分だ」
「あんたはバケモンだな。身体は歳取らねぇのか?」
「俺は、160歳まで生きる予定だからな」
「やっぱり掲げている目標もバケモンだな……」
「ハッハッハ~、だが、わがサッカー部もまだまだ貧弱だな‼」
「アンタの扱きに耐えているのか、そいつら……」
「さあ、どうだろうな、わからん‼」
「ええ……」
「まあともかく、賭けはお前の勝ちだぞ、冴河」
「私は、認めないですよ、そんな勝利っ‼」
「そんなこと関係ないな、奢れよ、春川」
「むぅ……、まあ、いいですよっ‼」
「よっしゃー、今日はカフェインを自分の金を使用しなくていいのは、ありがたい」
「欲が丸聞こえなんですよ、先輩」
「まあ、気にするな」
そんな感じで雑談している間に、続々と野球部、サッカー部、陸上部、一般生徒と続々と目的地に到着してきた。
「なあ、裕太。川添さんがいないような気がするんだが……」
なんだって!?
「ちょっと待て、俺、探してくる‼」
俺は、千雪と別れた後に向かった先がどこかはある程度察している。
「千雪さ~ん、いるなら返事してく……うぉぁ⁉」
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