遠足、それはラブコメイベントばかり?②

遠足、運動部にとっては地獄、一般生徒にとっては楽しいイベント、そして、生徒会は誇りを賭けた戦である。

「なあ、修。俺たちもしかして……」

「言うな、裕太……」

「いや、流石にこれはさ、俺たち早く着きすぎじゃないか!!」

「まあ、確かに俺たちは、時速40キロペースでペダルを漕いでいたが、まさか、運動部がここまで根性無しだとは思わなかった……」

「いやいや、お前のペースが早すぎるんだよ!!お前、絶対大会とか出てるだろ……」

「何を言っている、出てるに決まってるだろ?」

「お前、本当にいい性格してるよな」

「まあな」

「……」

「ま、まあともかく、俺たちの圧勝だぞ、裕太っ!!」

「全然嬉しくねぇ〜……」

こんな会話をしている間に、車が1台入ってきた。

「お、車組が来たなっ!!」

車の後部座席のドアが開き、

「あ、先輩たち、思ったよりも早かったんですね」

「あのな、思ったよりって、あんまりじゃないか?」

「何がですか?」

「質問を質問で返すな!!」

「裕太、ここは俺からビシッと言ってやろう」

「お、修も生徒会長らしいところあるんだな!!」

「当たり前だ!!」

そう言って、修は春川のもとに行き、

「は、春川っ!!今のは、先輩に対して失礼じゃないのか?ほら、俺も一緒に謝ってやるから、行くぞ」

「甘々じゃねぇかっ!!」

「い、いや、普通だろ!?」

「何でですか、先輩が優しいと、気持ち悪いですよ」

「は、春川お前っ!!俺は裕太から怒られないように優しく注意してやっているというのにっ!!」

「フフっ、先輩はすぐ表情に出ますね。だからイジり甲斐がありますね〜」

と春川はにやにやしながら言った。

「うわぁ……」

俺は、何となく察した。

『春川、あいつ修が自分のこと好きだってわかってやってるよな、絶対』

「ともかく!!お前は、目上の人に対する言葉遣いを正せ!!」

「何でですか?」

「え、何でって、お前、目上の人は、敬うべき人間だろうが!!」

「いやいや、先輩は対して敬う必要ないですよね?」

「は?」

「何ですか?女の子に手を出すんですか?」

「こ、コイツっ!!」

「まあまあまあまあ、とりま、落ち着けよ修。春川、とりあえずお前の言葉遣いは、今度再教育だな」

「そ、そんな〜……

 優しくしてくださいね?」

「嫌だ。厳しく行くぞ!!」

「そんなぁ〜……」

「修、お前には、男としての度胸がない!!とりあえず、お前も再教育だな。相手は……」

「が、学年一位の俺が再教育だと!?」

「男が足りないのなら、男にしてもらうためにも、前体育委員長でいいだろう」

「ま、待て裕太、話し合おう、話し合えばわかるはずだからよ〜」

「何言ってんだよ、自分から行って撃墜されたやつは、どこのどいつだ?」

「グヌっ……」

「とりあえず、お前は、ゴリラ先輩の再教育だな」

「嫌だー、それだけは勘弁してくれ〜」

「お前に拒否権はない!!」

「グハッ!!」

「まあ、とりあえず生徒会は俺以外再教育は確定事項として……」

「「なんでだ(ですか)!?」」

息ピッタリ

「まあ、お前らは、アホだからな。そして、なんでお前ら3人が車で来ている、特に氷雨!!」

「ダメだった?別に歩いてきても良かったんだけど、体調が優れなくてね」

「氷雨は彼女に言い付けるとして、お二人さんは?」

「私は、千雪ちゃんの付き添い。別に車で来て何が悪いのよ!!」

「そ、そうですよ!!結衣ちゃんには、私がお願いしたんです!!」

「な、なるほど、でも、なんで川添さんは、車なんだ?」

「去年入院していたのは、知ってますよね?」

「ああ」

「実は、心臓関係の手術で入院していたので、その、今回は、安全を危惧して、車の使用を許可してもらったんです……」

「そ、そうだったんだ……、川添さんすまなかった、俺、デリカシーがなかった。今後気を付ける」

「い、いや、私の方こそ、今まで言ってなくてごめんなさい。言ったら、みんな私を対等に扱ってくれないのかもしれないと思ってて……」

「そう、だったんだ……、でも、本当に辛くなった時は言ってくれよ、保健室とかまでなら、運んでやれるからさ」

「ありがとう、でも、体に触られるのはちょっと……」

「……、だ、だよなっ‼普通はそうだよな……」

「ううん、そういう心掛けは、とてもうれしいよっ‼これからもよろしくね、裕太君」

「ああ、これからもよろしくな、川添さん」

「もうっ、なんで私だけ苗字なのっ‼いい、これからは、私のことは千雪って呼んでっ‼」

「な、なんでっ⁉」

「私だって、裕太君って呼ぶんだから、等価交換よっ、等価交換‼」

「理不尽なっ‼まあ、いいけど本当にいいんだな、

「ひゃうっ⁉……不意打ちは、ズルいよ」

「ハハッ、今の表情のほうが、ズルいぞ、千雪」

「むぅっ、またバカにしてっ‼」

「いやいや、可愛いって褒めてんだよ」

「……」

「ど、どうしたんだよ、黙り込んで」

「……っさい」

「な、何?どうした?」

「うるさいって言ってるのよ、このアホっ‼」

「ひぃぃい‼ごめんなさーい」

思わず土下座してしまった。

「もう、さっさと生徒会の仕事に戻りなさいよっ‼」

「はいっ‼すみませんでしたー‼」

俺はその場から逃げるように生徒会の仕事に戻った。





「もうっ、なんであんなこと平気で言えるのかなっ‼」

私は今、ものすごく鼓動が早くなっていた。

なんでだろう

いつもなら、苦しいだけなのに、今は、少しうれしい気持ちがある。

「私、裕太君が好きなのかもしれない……」

でも、きっとこれも何かの勘違いだよ。

私は、もう、生きるという幸せを与えてもらったんだから、これ以上の幸せはいらない。

「きっと気のせいなんだよ、さて、私も集合場所にいーこおっと」

この遠足で、楽しい思い出をいっぱい作るんだからっ‼




______________________________________

(あとがき)

皆さんどもども、汐風波沙です。

最近は、本業の都合上、小説を書く時間がなく、久しぶりの更新です。

さて、これから始まる、本編を、今後ともお楽しみしていただけると幸いです。

よかったら、感想や応援をいただけると、今後のモチベーションになるので、よろしくお願いします。

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