第40話 遠足、それはラブコメイベントばかり?①

時は戻ること、4月9日 百日草学園一学期始業式の今日、俺はあることに気がついてしまった。

「な、なんで今年もお前らと一緒なんだよっ!!」

「知らないわよ、高校が決めたのなら仕方ないじゃん」

「そうだよ、文句ばっかり言ってると他のクラスメイトに……」

「チッ、今年も冴河組かよ」「またモテない青春が始まるー」「まあ、お前がモテねぇのは、自己責任だべ」「ああっ!!何だやんのかコラッ!!」「よぉし、体育館裏までつら貸せや‼」

安定でバカコンビとも一緒か……

「あ、何だ、私もあんたらと今年も同じじゃん」

「やあ、委員長。今年もするの?」」

「おはよう、藍澤くん。朝人にあったらする挨拶はおはようかおはようございますでしょ?」

「そうだぞ、氷雨。おはよう委員長」

「おはようございます、冴河くん。こんなところでぼーっとしている暇があるのなら、生徒会室に向かったほうがいいんじゃないの?柊木くんが探していたわよ?」「うわっ、マジかよっ‼じゃあ、先教室行っといてくれ」

「裕太は?」

「あとから必ず行く、じゃあ、また後で‼」

「うん、じゃ、じゃあまた後で〜っていないし」

「フフっ」

「どうかしたの?」

「皆さんやっぱり仲いいな〜って」

「そう?でも、だてに6年間の付き合いじゃないからね。」

「僕の場合は14年だけどね」

「あんたら裏で付き合ってないの?」

「さすがの僕も、男は恋愛対象外かな」

「だよなぁ〜、私は、今でも諦めてないけどね」

「えっ、それって……」

「あ、委員長は知らないんだっけ。私と冴河、中学の時だけど、付き合ってたんだよ?」

「そ、そうだったんですか!?」

「まあ、知ってる人は少ないし、知ってても最近色々ありすぎて忘れてる人がほとんどだと思う」

「そうだったんですね……私も負けてられないな」

「委員長なにか言った?」

「い、いえ、な、何も言ってないですよ?」

「何焦ってんのよ、ほら、早く行かないと遅刻になっちゃうよ‼」

「そ、そうですよねっ‼」

私達は、三年生の教室に向かった。





















8:35、この時間までに教室に入っていないものは、遅刻になるのだが、生徒会や、その他の用事でどうしても教室の外にいないといけない生徒は、それから除外されるのが、この百日草学園のルールである。

「で、なんで俺は、こんなに焦ってるんだ?」

「そんなの、僕がうっかり祝辞を家に忘れてしまったから、祝辞を書いてくれた君にもう一度書くようにお願いしたからだろ?」

「冷静な分析ありがとなっ‼っと、よしっできたっ‼」

「本当に悪いとは思っているさ。僕だってお前と二人きりになりたくてわざと忘れたわけじゃないんだ」

「どうせそんなんだろうと思った。で、春川に告るのか?」

「いや、ぼ、僕は春川にそんな……」

「顔、真っ赤だぞ」

「なっ⁉」

やはり、こいつはわかりやすいな。

「……お前、やっぱり性格悪くなっただろ?」

「俺は元々いい性格してるんだよ」

「だなっ」

俺たちはいつも通り笑いあった。

「ところで、今日から去年の三年生が復学するらしいぞ」

「へぇ、確かに去年の卒業生一人少ないような気がしてたが、休学していたのか」

「ちなみに、クラスはお前のところだ。力になってやれよ」

「まあ、向こうが困っていたら、俺はいつでも手を差し伸べるだけだ」

「そうか、やはり、お前はいいやつだな」

「いっただろ、俺はいい性格してるんだって。じゃあ、できたから、目を通しておいてくれよ。じゃあ、俺はクラス戻るからな」

「ああ、またあとでな裕太」

「じゃあ、始業式でっ」

俺は、生徒会室を後にし、クラスに向かうことにした。












クラスに行くと、もうすでにそれぞれがグループになった話していた。

「あ、戻ってきた。裕太~、こっちに来てくれ‼」

「ああ、どうしたんだ氷雨」

俺は、氷雨たちが集まってるところに向かった。

「……えっ、千雪ちゆきちゃんって一つ上なの⁉」

「はい、今年度から復学したので」

そこには、雪のように透き通った肌、肩の上で切りそろえられた黒髪、目は、少し茶色の強いダークブラウン、少し色白だがきれいな顔立ち、そして、少しやせ気味の華奢な体、でも、声には何か懐かしさを感じる。

「お、やっと戻ってきた。冴河あんた、また生徒会室で会長とイチャイチャしてたでしょ?」

「なに腐ってんだよ、結衣」

「別に私腐ってないもんっ‼」

「朝から見せつけてくれますね、お二人とも……」

「さすが、夫婦だねっ‼」

「「ふ、夫婦じゃない(から)っ‼」」

「……」

「やっぱお前ら結婚すりゃあいいのに」

「「ふざけるな‼」」

「本当に、ふざけるのはその辺にしてください、藍澤君。あなたの彼女さんにあなたがクズだって言いつけますよ」

「ねぇねぇ、それはひどいよ委員長。クズの内緒にしてるのに……」

「委員長、どうせなら、最高股数教えてやれよ」

「そうよ、そうよ‼」

「藍澤さん、何股してたんですか?」

川添かわぞえさんも、聞きたいんですか?まあ、クズの毒牙に引っかかる前に……」

「ちょっと、タンマッ‼俺、君のこと聞いてないんだが」

俺は、彼女を指さした。

「私に、話しかけられたら迷惑ですよね……」

「違うっ‼何も紹介受けてないから、呼び方がわからないんだよっ‼」

「あ、そういえばそうだった。えっと、こちら一つ上の歳の川添 千雪さん。俺らの新しい友達だ。以上」

「川添 千雪です。よろしくお願いします、冴河 裕太さん」

「こちらこそ、よろしく、千雪。俺のことは、裕太で構わない」

「わかりました、裕太さん」

「よしっ、じゃあ委員長、教えてあげていいぜ」

「話変わってたのに、裕太は、本当に容赦がないな。」

「当たり前だろ、親友だからな」

こうして、俺は、川添 千雪と出会うことが出来た。




ということで、長い長い回想が終了。

それでは金曜日‼

本日は、新入生歓迎遠足っていう名目の30㎞ランニング‼

って言っても俺たち生徒会は先回りして誰よりも早く現地につかなければならないので、走るよりも自転車で行くことになっている。

だが、奴らは俺たちよりも早く着こうとする、運動部バカ共がいることが問題なのである。

「いいか、生徒会の奴らに負けてみろ、お前ら全員、今日のメニュー6倍だからなっ‼」

「「「「「「「「「なんて卑劣なっ‼」」」」」」」」」

まあ、原因はこのバカ顧問たちなんだよな。

「裕太、今年の自転車は、これだっ‼」

「こ、これはっ⁉」

そのスリムなボディー、無駄のないフォルム、軽いのにデザインに富んだ色彩

「ってこれどう見てもロードバイクだろっ‼どうしたんだよ、どこにそんな金があったんだよっ‼」

「案ずるな、これは俺の私物だ。壊してくれてもかまわないぞっ‼グッ」

「グッじゃねぇよ、お前、校内に私物の持ち込みは原則禁止なんじゃ……あ、そういうことか」

「気が付いたか、そうだ、俺ともなれば、用意は周到なんだよっ」

修は、そういいながら、許可証を見せつけてきた。

「まったく、生徒会長ともある人が、自分のために権力を使用するとは、この学校のトップも落ちぶれたものですね。」

「なんだ春川、ならお前は走って来いよ。文句を言うなら、お前には貸さない」

「いいですよ、別に。私は、学校用の車で行きますから」

「生徒会なるものがそんなでいいのか?」

「はい、別に、わざわざ運動しないといけない意味が分からないので」

「太るぞ」

「失礼ですね、先輩は」

「そうだよ、春川。動かないのは、普通に太るぞ」

「冴河先輩もひどいですよ~、私こんなに可愛いのに~」

「いや、自覚してるのかよっ‼まあいい、そろそろ時間だ。行くか、修」

「ああ、乗り方はわかるよな?」

「当たり前だろ」

「じゃあ、今日も1日がんばろうかっ‼」

こうして俺たちの長い長い1日が始まった。










______________________________________

(あとがき)

皆さんこんにちは、汐風 波沙です。

久しぶりの更新なんですが、今回は、時間をかけてしまいました。

今後ももしかしたら、更新が遅くなる可能性があるのですが、その辺を許容していただけると、ありがたいです。

よかったら、作品のフォロー、応援、レビュー、星をいただけると、今後のモチベーションになるので、よかったらよろしくお願いします。

今後とも、自分の作品をよろしくお願いします。

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