第35話 俺はいつも失ってばかり
「ヤバいっ‼会議のせいでかなり遅くなってしまった。」
俺はいつものようにバス停に向かっていた。
「なあ、今日は豊作だったな。」
「そうだな。あの子がまさか……だったなんてっ‼あ~、今思い出してもあの感覚和忘れられねぇ~、ちゃんと撮ってるんだろうな?」
「ああ、もちろんだ。しかもバッチリ出すところもしっかり撮れてるぜ。しかも、このシーンから推測するに、この子、かなりの、いや、超絶美人だぜっ‼」
「お、マジだっ!。この制服、この辺の高校、いや、俺たちと同じ高校の子じゃない?」
「あ、マジだっ‼、明日問題なったらマズいな。」
「そうだな。でも、明日サボれば、今週3連休だぜ。」
「マジそれな。どうする、サボっちゃう?」
「サボろうぜっ、そのために今まで真面目演じて、生徒会を欺いていたんだしよ~。」
「じゃあ、今日は家来るか?俺一人暮らしだし、親の目とか関係なく鑑賞会出来るぜっ‼」
「そうだな、よし、1時間後お前の家なっ‼」
「じゃ、そういうことで~」
「じゃあ、また後でな~‼」
「俺はいつも通り、準備はしておくわ。」
「よろしく~‼」
どうやら今日は悪たちの先客がいたようだ。
「……でも、ちょっと聞き捨てならないことを言っていたな。」
そんなことを考えながら、俺は、バス停に到着し、いつものようにスマホをいじっていた。
プシューッ
10分後、俺の待っていたバスが来た。乗り込むと、そこは、ほとんどが学生という状況だった。
今日、何かイベントあったっけ?
俺はスマホで時間を確認した。
18:30
部活動をしている学生は、ちょうど下校時刻だ。
でも、この人数はおかしい。
この高校のバス通学者は、全校生徒の10分の1くらいなのだから、この人数は、通常じゃありえない。
やっぱり、何か事件が……
「今日、そういえば、バスケ部の練習試合だったな。冴河」
「おっ⁉って何だ、柊木が。」
「何だとなんだ、冴河。俺はれっきとしたバス通学者だぞっ‼」
「そういえばそうだったな。でもなんで今日はこっちのバス停なんだ?」
「正門のバス停は、17時のバスまでしかないからな。」
「へ~、そうだったんだ。知らなかった。」
「ならば、今後は覚えておくといい。だが、お前は知らなくても不便じゃないもんな。こっちのバス停しか使わないし。」
「人聞きの悪いこと言うなよ。ところで、バス通学者以外が下校の時ってバス使ってよかったか?」
「ああ、18時以降の下校の時だけは、別に使用しても構わないことになっている。」
「それは知らなかった。まあ、別にどうでもいいか。」
「それよりも、やっぱりお前は生徒会から離れるのか?」
「ああ、その予定だが、どうしてだ?」
「そんなの、決まってるだろ。お前に副会長をやってほしいからだ。」
「別に俺の代わりに、春川がいるだろ?俺より優秀だし。」
「確かに彼女はお前よりも優秀だが、」
「この生徒会長認めちゃったよっ‼ならなおさら俺いらないじゃん。」
「だがな、彼女はマニュアル通りにしか動けない。だから、お前のように何かを変えようと努力したりしようとしない。」
「俺、何も努力してないだろ?」
「いや、お前は陰でめちゃくちゃ努力してたろ?じゃないと、あんなにも完璧な資料とか、判断とかできてないだろ?」
「チッ‼ばれてたのかよ。」
「バレバレだったぞ。特に、佐伯先輩にはな。」
「あの人、人を見抜く力は昔から優れていたもんな。」
「確か中学も一緒だったな。」
「そうだな。正確には、俺たちのしていた活動に先輩が興味を惹かれて係わってきたって感じだけどな。」
「そうだったのか。てっきり、先輩がお前を生徒会に引き込んだんだと思っていたが……」
「高校に入ってからはそうだが、中学の時は、結衣や氷雨が大事だったから断ったんだよ。」
「坂本や藍澤か。お前、もともと坂本と付き合ってたそうだな。なんで別れたんだ?」
「何でお前まで知ってるんだよっ‼まあいいけど、過去のことだし。俺たちが分かれたのは、あいつがもういいよって言ったからだよ。」
「そうなのか?あの坂本なら、子供の一人や二人くらい作って永遠に縛り付けそうなのに。」
「お前、結衣をどんな奴だと思ってるんだよっ‼」
「頭のネジの外れたヤバい奴。」
「そこは否定しようにもできない一面があるから、否定できない。」
「というより、彼女には、助けてもらってばかりだ。いじめがこの学校でないのは彼女のおかげなんだよ。」
「そうなんだ。あいつには感謝しないといけないな。今度、何か奢ってやろう。」
「俺も出してやるよ、その時は。」
「ああ、助かるよ、柊木。」
「ところで、俺の下の名は知らんようだな。」
「あ、そういえばそうかも。出会ったころから、お前は柊木だからな。ところで下の名前、なんていうんだ?」
「俺は
「なら、今後は修って呼ぶことにするよ。」
「ああ、よろしく頼むぞ、裕太。」
「ああ、よろしく、修。」
「じゃあ、俺、ここだから、じゃあな。」
「ああ、また明日。」
なんだ、俺の住んでいる町の隣じゃん。
俺はその後、次のバス停でバスを降り、住んでいるマンションの部屋に帰った。
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