第33話 新旧生徒会役員会議

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

6時限目の終了のチャイムが鳴り、俺はさっそうと荷物の整理をしていた。

「あれ、今日何かあるの?」

「あ、なんだ結衣か。今日は新旧生徒会役員会議があるんだよ。」

「あ、そっか、6月まで書記だったもんね、裕太。」

「なら、今日は裕太君と一緒に帰れないのかしら。」

「そうだな、毎年2~3時間くらいかかるからな。」

「そこでいろいろ決まったり、決まらなかったり、激しい議論をしたりしてるの。」

「そうなんですね。」

「でも、なんで今更?」

「今年は新旧の意見を聞きたいそうで、俺も呼ばれたんだよ。」

「でも、裕太の場合、生徒会にいた時よりもだいぶ雰囲気が変わったからね。」

「それもそうだな。でも、サボると学年主任からの罰則なんだよなぁ~……」

「ああ、それは……」

「なんというか……」

「……ご愁傷さまです。」

「3人そろってひどいなっ‼」

「まあ、頑張ってきなよ。」

「運が良ければ副会長になれるかもよ。」

「そうですね。でも、私としては、一般生徒の方がいいんですけど。」

「でも、俺は、今日で生徒会から手を引くつもりだから、しっかり断るつもりだよ。」

「それならいいんですけど……」

「それに、生徒会に入っていても、メリットは進学しやすくなるくらいだからな。」

「そうなんですね。」

「そうなんです。」

「裕太、それより、時間いいの?」

「あ、やばいっ‼会議は15:25までに集合だから行かないとっ‼じゃあな、3人ともっ‼」

「うん、じゃあね。」

「また明日~」

「また後で~」

三種三様の挨拶だな。

そんなことは気にしてる暇はなかったんだっ‼

俺は生徒会会議室に急いで向かった。










生徒会会議室は、この学校の最上階(屋上を除く)の4階にあった。

「はあ……はあ……はあ……、間に、合いましたか?」

「ああ、もちろんギリギリだけどな。」

「よかったぁ~‼」

「安堵しているところ悪いが、早く席についてくれないか、冴河。」

「すまない、会長。」

俺はしてされた席(春川のとなり)に、着席した。

「じゃあ、全員そろったことだし、始めようか。」

「「「「「よろしくお願いします‼」」」」」

「じゃあ、初めの議題だが、副会長についてだ。現在、この学校には、副会長は存在しない、というより、退学したため、不在なだけであるが……、この中の1,2年生の中で、やってくれるやつはいないか?」

全員沈黙だった。

「いない、か。なら、俺が推薦したいやつがいるのだが、いいか?」

「いいですよ、聞きましょうか、推薦したい人という奴を。」

「ありがとうございます、佐伯先輩」

あ、ちなみに、佐伯先輩は、旧生徒会長です。

「では、俺が推薦したい副会長候補は、冴河裕太です。」

「はぁ⁉」

「どうした、嬉しくないのか?」

「いや、俺はもう生徒会から身を引いた人間なのに、いいのか、本当に……」

「いいも何も、今この人数不足の現在で、何を言っているんだ、冴河。」

「そうですよ。先輩、この際、やっちゃいましょうよ、副会長を。」

「あの、ちょっとよろしいですか?」

「なんでしょうか、市之瀬さん。」

ちなみに市之瀬さんは、旧生徒会副会長です。

「なぜ、冴河君なのでしょうか。一般生徒から募集するという方法もあるのに。」

「俺が冴河を推薦する理由は、2つ。1つ目は、こいつは元生徒会役員だから。もう1つは……」

「もう一つは?」

「こいつには、生徒を正しい方向に向ける力がある。ダメなものはダメというし、無理なものも無理という。生徒会長を支える副会長には向いていると思うが、どうだろうか?」

「確かに、先輩、面倒見いいですし。」

「確かに冴河君なら一から仕事を教えなくても分かってるから、その手間が省けるわね。」

「でもっ、彼はもう生徒会じゃないのよっ‼」

「復帰してからすぐになじめるはずだ、こいつなら。」

「では、採決を取ります。冴河裕太が、生徒会副会長になることに賛成の者。」

そこにいた俺以外の人が手を挙げた。

「じゃあ、決まりだな。どうだ冴河、やってくれるか?」

「柊木、俺は、……もう少し考える時間をくれないか。」

「わかった。回答については、明日聞くとするよ。」

「ありがとうすまない。」

「ああ、気にすることないさ。では、会議に戻ろう。」

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