第32話 学校と弁当と人間関係④

「おはよう、冴川。」

俺は教室に入ろうとしたとき、一人の生徒に待ち伏せされていた。

「あの、誰ですっけ?」

「おいおい、俺のこと忘れちまったのかよ。」

「いや、まず知らないです。」

「まあいいや、じゃあ、自己紹介からな。俺は、川上賢太。お前と同じクラスのクラスメイトだよ。」

「よろしくお願いします、川上さん。」

「別にもっとフランクにいいよ。」

「じゃあ、よろしく、川上。」

「いきなり呼び捨てか。まあいい、とりあえず、ちょっと話そうぜ。」

「とりあえず、中に入れてくれよ。」

「俺の質問に答えてくれたらいいぜ。」

こいつ、金輪際かかわらないようにしよう。面倒くさい。

「で、質問って何?」

「今流れている噂についてだよ。お前ついに転校生にまで手を出しったって噂、本当か?」

「は?」

おいおい、またですか。

「それどういうことだよ、川上。」

「やっぱりお前の耳まで噂は届かないようになってるのかな。まあいいや、で、お前『氷結姫』の次は、『天然記念物』に手を出したのか?」

は、何その二つ名。

「ちょっと一つ聞いていいか?」

「なんだ?」

「その二つ名、お前がつけたのか?」

「いや、うわさでそう呼ばれてるけど……、でも、天然記念物、確かにそれには共感できるぜ。あのスタイルと容姿じゃ、まさに天然記念物だぜ、うへへへへ……」

「うわぁ……」

前々から思ってはいたが、こいつって、普通にキモイよな。

「ところで、どうなんだよ。使い心地は。」

「使い心地って……、俺たちは何もないよ。それに、向こうもそう思ってると思う。」

「なら、昨日のハグは何だったんだよ。日ごろからヤってる風なハグだったぞ。」

「それは……、きっと挨拶だよっ、たぶん……」

そこをつかれると弱いんだよなぁ~。

「なんだ、そうだったのか。ところで、早く教室入れよ。」

「ああ、そうだな。」

とりあえず、中に入ることはなんとかなった。









午前の授業が終わり、昼休みに入った。

「は~、疲れた。裕太、学食行こうよ。」

「悪い氷雨、今日は弁当だ。」

「お、ついに作り始めたか、ミスター不健康っ‼」

「なんだよ、人のことを不健康なんて言わないでもらえますかね、坂本さんっ‼」

「ごめんなさいね~、私、健康優良児だから~」

「クソッ‼その鍛え抜かれたボディーを見たら、否定はできない。」

「ちょっと、何言ってるのよ、この変態っ‼」

「痛っい‼」

俺は左頬にかなりの力でビンタを受けた。ちなみに吹っ飛ぶくらいの威力。

「もうっ、二人っきりの時ならいいんだけど、たくさん人がいる前で言うのは違うんだよっ‼」

「でも、もう少し加減してもらえないと、あと1年の間で、俺が死んじゃうよ~‼」

「それは裕太が悪いから、死ぬのは仕方がないのかもね。」

「いえ、裕太君は、悪くありませんよ。それに、自分のボディに自信がないのなら、言われて怒るのは当然ですけど、自信があるのに怒るのは違うと思いますけど?」

「へぇ~、なら、彩冬さんは、自分のボディーに自信がおありで?」

「はい、もちろん、私はこのボディーには自信がありますよ。そしていつか、裕太君を落とすためにも、日々、美を追求していますから。」

「私は、別にこの体に自信がないとかじゃないけど、私は、裕太以外に見せる気はないのよっ‼それに、私は、彼の彼女だった時期があるのよ?」

「クッ‼……、ですが私は、今じゃお部屋を共有しあう仲なのですよ。昔の女がどうこう言うことは無視していてもいいようですが?何か文句ありますか?」

「チッ、私、あなたと仲良くできそうにないです。」

「私も同意見ですよ。なので……、」

「うぉ⁉」

俺は彩雪に引っ張り上げられ、腕を組んだ状態になった。

ヤバい、胸当たってる。彩雪は、服越しにもわかる美巨乳だから、触ると、もう理性がほぼ意味ないくらいになる。

「裕太君は、私がもらっていきますね?じゃあ、行きましょうか、昼食を取りに。」

「ちょっと待ちなさいっ‼私は先に裕太を昼食に誘っていたのよっ‼それを無視するというのは違うのではないんですか?」

おいおい、二人で取り合いをするなっ‼この状況になると、どちらの胸も当たって、半分理性がぶっ飛びつつあるよっ‼

あと、教室の前方からの視線に殺意を感じる……

「……それもそうですね。では、……」

「「裕太(君)、どっちと昼ごはん食べたいの(んですか)⁉」」

「お、俺は……」

この時、どちらも選ばなくてよかったとのちに安堵する時が来るのだろうか。









13:15

いつもより、早く弁当を食べ終わり、俺は、暇なので前から買っていた本を読んでいた。

俺が読む本は、結衣と似ていてライトノベルと呼ばれる小説だ。

結衣は確か、異世界物が好きだったと思うが、俺は、結構ラブコメや学園頭脳バトル系が好きで、よく、MF文庫Jのライトノベルばかりを買う。

まあそんなことよりも、こうして本を読んでいると、自然と周りが声をかけてこないので、一人の時間を思う存分……

「その本、そんなに面白いんですか、先輩。」

「えっ⁉」

「何を豆鉄砲食らった鳩みたいな顔してるんですか。あなたの大好きな可愛い可愛い後輩ですよ?」

「えっと、春道さんだっけ?」

春川はるかわですっ‼生徒会書記の。」

「あ、そうだったね、春川さん。」

今、俺の一人時間を奪ってきたのは、1年生の春川 さくらさんで、俺がついこの間まで生徒会書記であったため、本当に後輩である。

なぜ生徒会をやめてしまったのかは、今後話すとして……

「どうして今日はここに来たのかな?」

「そんなの決まってるじゃないですか。今日の放課後、時間ありますよね。」

「まあ、あるっちゃあるけど……、どうして?」

「今日、新旧生徒会役員の集まりがあるんです。あ、ちなみにさぼると、学年主任が、『腕立て伏せ、腹筋、背筋30回の3セット』て言ってましたよ。」

「それは行かないといけないな。」

「じゃあそう言うことなんで、ほかの人、特に、噂の新しい彼女さんには、言っておいた方がいいですよ。」

「だからっ‼付き合ってないってばぁぁぁぁぁぁ‼」

「あはは、やっぱり先輩って面白いですね。生徒会戻ってきませんか?今、副会長の席しか空いてないですけど、どうですか?」

「それは一旦、保留で。」

「了解しました。いいご返事が来ることを期待しておきますね。」

「わかった、それだけか?」

「はい、じゃあ、私は私の教室に戻るので、失礼します。」

「ああ、じゃあな。」

俺は後輩を見送った。

「ところで、俺、副会長なれるのかな?」

まあ、まず持ってやる気ないけど。

そして、予冷が鳴り、俺は授業の準備をし、自分の席で待機した。







_____________________________

(あとがき)

皆さんこんにちは、汐風 波沙です。

今回の話は、後輩が出てきて、さらに、裕太君は生徒会にいた事実まで出てきました。

今後も展開はしっかり考えながら頑張っていこうと思っております。

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今後とも、この作品そして自分の書いている作品をよろしくお願いします。

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