第31話 学校と弁当と人間関係③

なんなんだこの状況っ‼

それよりも昨日から彩雪のアピールが強くなってるような気がしている……

「……まさかっ、昨日俺たち……」

「……つい」

「えっ?」

「暑い~っ‼」

「あ、すまない。」

俺はエアコンのリモコンを何とか見つけ出し、エアコンを入れた。

「涼し~いっ……おやすみ~」

「って寝るな~っ‼」

「何よ、ここは私の部屋なのよ?んんっ?なんで裕太君がここにいるのかしら?」

「ここ、俺の部屋なんだけど?」

「あ、本当だ。なんで私こんなところにいるのかしら。ねえ、私、何かしたかしら?何かしていたのなら教えてほしいのだけど?」

「いや、特に何もしてないと思うけど?」

「何か怪しい返事ね。」

お前が一番怪しいよ‼

「何か疑われたような気がしたわ。」

「……⁉たぶん気のせいだよ、たぶん……」

「それもそうね。」

よかった~、ばれてなくて。

「ところで今何時なの?」

「ああ、今確認するよ……」

俺は枕元で充電していたスマホの電源を入れ、時間を確認した。

05:24

何とも言えない時間だ。

この時間からなら、弁当作るのも悪くはないが、作るとなると、こいつの分も作らないといけないよな……

「まだ5時半前だから、部屋に戻って着替えたりしてきたら?」

「そうね、このままこの部屋でもうひと眠りすることにするから……、おやすみ~」

「ちょっと⁉まあいいか。別に要られて困るわけじゃないし。」

俺は寝室を出て、キッチンに向かった。








俺の住んでいる物件は、1LDKでオートロック、つまり、普通なら、学生が住むようなマンションではないのだ。

さすがは龍ケ原グループ、金に物を言わせている。

「まあ、愛莉を振ったことはいまだに心残りだが、今はそれもいい思い出だな。そんなことよりも、弁当作りますかっ‼」

俺は久しぶりに弁当を作ることにした。

おかずは、まあシンプルに鶏肉の唐揚げ、アスパラのベーコン巻き、卵焼きに、健康も考えて、プチトマトと、ブロッコリーを入れて、

「まあ、こんな物だろう。我ながらかなりの出来具合だ。」

「……何作ってるの?」

「あ、起きたのか、彩雪。顔洗って、服着替えて来い。さもないと弁当やらねーぞ。」

「それは困るっ‼すぐ行ってくるから、ちゃんと弁当残しておいてねっ‼」

「ああ。それもいいけど、朝飯は自分で準備しろよっ‼て、もういないし……、俺も着替えよう。」

俺もいつもの部屋着から制服に着替えるために、寝室に戻った。






寝室はいつもよりグチャグチャだった。

「あいつ、寝ているときにでも暴れてるのか?」

彩雪は思っていたよりも寝相が悪いようだ。

「制服は、あった。とりあえず電気つけないとな。」

俺はいつも通り部屋の電気をつけた。

「えっ⁉」

なんと布団には、少しシミができていた。

量的に俺のこぶし一つ分。

「まさか、な……」

やはり昨日、この部屋では何かがあった。

少なくとも、犯人は彩雪だろう。

「でも、これって、匂いとかしないし、たぶん……」

どちらかの唾液なのだが、寝ていた位置的に、彩雪なのが事実なのである。

「人の布団でよだれを垂らすほど熟睡してたのかよ……」

もしかして、あいつ、孤独恐怖症だったりするのかな?

「今後はある程度、やさしく接してやろう。」

そう心に決めた俺であった。










「裕太君、着替えてきたわ。今日の私も最高に可愛いでしょ?」

そこには、うちの高校の制服を着たとても可愛い彩雪がいた。

だが、ここで本人に向かって可愛いと興奮しながら言わない方がいいよな?

ここは片言で行こう。

「ソウダナ、カワイクテホレテシマイソウダ。」

「なんで片言なの?」

「知らん。」

「まあいいわ。お弁当っ、頂戴っ‼」

「今日は一段と機嫌がいいな。」

「そうね。今一番気になっていいる男子の作るお弁当を無償で食べられるなんて、至極の極まりじゃないかしら。」

「は、はあ……」

自分の気持ち隠したりしない子なんだね、この子。

「はい、弁当。ちゃんと味わって食べろよ。」

「わかってるわよ。大丈夫、食べるのがもったいなくて部屋で腐らせるようなことはしないから。でも、うれしいな~、私、男の人から弁当作ってもらうの初めてかも……、つまり、私の初めては、裕太君なんだね。」

「お前、その言い方だと、いろいろ語弊が生まれるよ。」

「何を言っているのかしら、でも、初めては裕太君が、いいな」

顔を赤くしながら言わないでもらえるかな……

「だから、いつでも襲っていいよっ‼」

「今日からはちゃんとカギ閉めますっ‼」

もとはといえば、昨日俺が戸締りを確認しなかったことが今回の原因だろう。

「とりあえず、そろそろ行かないと、バス来るぞ。」

「え、もうそんな時間なの?」

「今何時だと思っている。」

「何時?」

「もう7時20分だ。」

「学校行くには早くない?」

「早くいかないと、道が混むかもしれないだろ?」

「確かにそうかも……、じゃあ行こうっ‼」

「ああ、お前も戸締りして来いよ。」

「わかった。じゃあ、ロビーに10分後集合でっ‼」

「ああ。先行ってるかもだけど。」

「ひどいっ‼絶対待っててね?」

このタイミングの上目遣いはずるいよ……

「あ、ああ、気が向いたらな」

俺は目をそらしながら言った。

「じゃあ、絶対だからねっ‼」

そういうと、彼女は部屋から出て行った。

「さて、俺も戸締りしていきますかね。」

俺は窓の鍵を閉め、カーテンをレースだけ閉め、玄関の扉を開け、鍵を閉め、ロビーに向かうためのエレベーターに乗った。




_____________________________

(あとがき)

皆さんこんにちは、汐風 波沙です。

今回は、事件?が発生しましたね。

このヒロインは、結構行動力がある系のヒロインで行こうと思っています。

もし、こんなヒロインがいたら面白いんじゃないかというものがあれば、レビューや応援などで教えてもらえると嬉しいです。

床ったら、作品のフォロー、応援、レビューをいただけると、今後のモチベーションになるので、お願いします。

今後と、この作品、そして、自分の作っている作品をよろしくお願いします。

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