第昔話 中学校の話③

「……それにしても、どうしたらいじめってなくなるんでしょうか?」

「なぜ今その質問をするのかな、坂本さん。」

「だって、いじめを解決するには、学校の先生が協力してくれないといけないと思うのよ、私はね。」

「は、はあ……」

「だから、二者面談の時間を利用して、先生にお願いしようって考えなの。」

「そう、だね。」

今更だが、この少し弱気な人は、塩間しわい先生、うちの担任の先生である。

「ところで、お願いしていた、副担任の学年主任の先生は、来なかったんですね。」

「学年主任は忙しいですし、仕方ないですよ。」

「ところで、返事まだでしたよね、早く、お願いします。」

「……、僕の口からこんなことを言うのもなんだけどさ、もう少し証拠がないと、僕たちの方も対応しきれないっていうか、何っていうか……」

「……けんな」

「ど、どうしたの?」

「ふざけんなっ‼その子が助けを求めてるんだよっ‼助けないで何が教師だっ‼生徒助けないで、一人の少女救えないで、よく大人は平然としてられるよねっ‼そんなこと、普通じゃないっ‼」

「……」

「ほら、また黙り込む‼大人は、そうやって子供に向き合うことをしない、挙句の果てに、暴力へと走り、さらに子供を気付つけるっ‼そんな世の中間違ってるよ‼」

「……そうか、君たちは本気なんだね。実はね、僕も君のこと調べさせてもらったよ。もちろん、小学校で起きたあの一件も知ったよ。それから君は変わった、いや、変わろうとしているのかな。僕は君を尊敬するよ。僕だったら、二度と男子と関わろうともしないと思うしね。それに……」

先生は、ネクタイを緩め、さらに、ワイシャツの第一ボタンを開けた。

「僕だっていつも真面目ってわけじゃなかったし、でも僕は高校生時代に生徒会長で、いじめの問題を解決するために活動していた時期があって、たくさんの生徒を救って来れたと思う。でも救えなかった生徒が一人いて、その子は、。」

「……」

私は今、血の気が引いている。私がこれからやることは、全部が全部救済できるわけじゃないということが分かってしまったからである。

「セ、先生、その後は、どうなったんですか?」

「どうもこうも、第三者委員会が開かれ、結局はいじめで自殺したことになり、いじめていた生徒は退学、僕も生徒会長を解任されたよ。」

「なぜ、解任されたのですか?」

「決まっているだろ?。全員救ってみせると生徒会選挙のときに誓ったのに、救えなくて、生徒側から解任されたんだ。」

「そうだったんですか……」

「なあ坂本さん、生徒会に入らないか?」

「えっ……」

「生徒会に入れば、独自に活動できなくなるが、教師からのバックアップを全部利用できるんだ。そしてある程度の権限もあるからさ、生徒会、入らないか?」

「……」

確かに、生徒会に所属していれば、活動が表面化しても責められることは無い、だけど、裕太君や、藍澤君との活動ができなくなることになる。

「……誘っていただきありがとうございます。でも、私は、私の信じた人たちしか信じれない。だから、生徒会には所属しないです。」

「そうか、君たちは似ているね。藍澤を誘ったんだが、きっぱり断られ、冴河を誘えば、お前と同じようなことを言いやがったんだよ。」

「そうだったんですか。」

「本当っにそうだよ。お前たちが使用としていることは、生徒会じゃなかったら、世間からの評価が最悪になるかもしれないようなことなんだよ。」

「すみません、ちゃんと断ります。生徒会には入りません。ですが、一つ思いついたことがあります。」

「聞こうじゃないか。」

「私達が、?」

「確かに、生徒会からの依頼としてその活動をすれば問題はないな。」

「顧問を先生がしてくれれば、私たちは、4人いるので、部活動設立の違反にはなりませんよっ‼」

「そうか。なら、僕がその部活の顧問をしよう。部活名は?」

「問解部です。あ、正式名称は生徒間問題解決部です。」

「わかった。生徒会にはこっちから書類の提出はしといてやる。じゃあ、活動できるのは明日からでいいか?」

「はい、問題はないんですが、今日は、独自で動くことになりますね。」

「何かやるのか?」

「もちろん、親友の救済ですよっ‼」











放課後、私は加那ちゃんをいじめている奴らのほとんどを呼び出した。

「ごめんね~、呼び出したりして。」

「いや、これで私たちがあんたを呼び出す手間が省けたわ。」

「じゃあ、用件は先にどうぞ。」

「あんた、氷雨君から近づかないでくれる?」

「どうしてそれを私が聞き入れなくちゃいけないの?」

「あんたに選択肢はないんだよ、もし、ここで今後一切近づかないと誓わなければ……」

「ちょっとっ‼何するのよっ‼」

私は周りにいた奴らから、両腕両足を捕まえられた。

「あんたの裸の写真、ネット上に晒してやるわ‼」

「ふぅ~ん、君はそんな手口を使うんだね。」

「相手を押さえつけ、全裸の写真をネット上で晒すと脅す……これ、暴行罪と脅迫で現行犯だよ?」

「二人とも、ナイスタイミング‼」

「な、なんで氷雨君が、ここにいるのよ……」

「そんなの、友達が傷付いてるのに、それを見逃すことはできないからだよ。」

「でも、この場に冴河はいらないじゃないっ!」

「はぁ?お前ら、俺のに手ぇだすとはいい度胸してやがるじゃないかっ‼」

「「「「「「えっ⁉」」」」」」

まあ、それはそうなるでしょ。でも、藍澤君まで驚いていると、ものすごく、面白い状況。

「まあ、そういう事だ。おい、開放しねぇ―とお前らの、学校通さずに警察に届け出るぞ‼」

「わ、わかりました。」

彼女たちはすぐさま私を解放した。

「ありがとう裕太君。」

「こんなもん礼なんていらねぇ~よ、結衣」

主人公スマイルもできるんだ。でも、ちょっと格好良かったかも……

「じゃあ、今度は私の番だね。庵御加那をいじめること、いや、人をいじめるのをやめてっ‼」

「……断ったら?」

「警察に届け出る。」

「……私達にも選択肢はないというわけね。分かったわ。今後一切人をいじめないし、加那にはちゃんと謝罪する。」

「話は以上だ。忘れるなよ、破ったら、警察だからな。」

「なんであんたが警察チラつかせてんのよ。」

「そんなもん、この辺の管轄は、うちの母親の所の管轄だからだよ。」

「あ……」

「まあ、そういう事だ。あきらめて大人しく過ごしていけよ。」

こうして、私達の加那ちゃん救済作戦は、終わった。













帰り道、私と裕太君は、二人で手を繋いで帰っていた。

「ちゃんと助けてくれてありがとうね。」

「ああ。お前の昔の傷は、誰にも触れさせたくないからな。」

「もうっ、また格好つけちゃって。」

「へへっ‼」

こいつ、本当はものすごくお調子者なんじゃないのか?

「あのさ、ご褒美、あげるよ。」

「は?」

「いらない、ご褒美?」

「いや、いるけど……」

「なら、目を瞑って……」

彼は素直に目を閉じた。

その無防備な口元に、私は、自分の唇を当てた。

「……⁉」

あ、目が開いてる。気付かれちゃった。

でも、抵抗しないってことは、そういう事だ

よね?

「……っん、はぁ、んっぐっ⁉」

私が唇を話した瞬間、彼は、私よりも強引に私の唇を奪った。

数十秒間、私は彼に舌を入れられながら、私たちは熱烈なキスをしていた。

「……はぁ、もうっ、なんで終わろうとした瞬間に私よりもいいキスをするのよっ‼」

「そんなの、キスが可愛かったから……」

う~~~~~~、そんな反応されたら、私も恥ずかしくなっちゃうよっ‼

「じゃあ、帰ろうか?」

「そうだね、帰ろう。」

私たちはそのままそれぞれの自宅に帰宅した。







_____________________________

(あとがき)

皆さんこんにちは、汐風 波沙です。

今回の話で、一時的に番外編を切ろうと思います。

理由は、そろそろ本編を書こうと思うからです。

よかったら、星やレビュー、応援をいただけると幸いです。

今後とも、この作品、そして、自分の書いている作品をよろしくお願いします。

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