番外編

第昔話 中学校の話

「新入生は、自分のクラスを確認したら、私についてきてください‼」

 4月14日、この日、私、坂本結衣は、最悪な小学校を卒業し、隣町の中学校に入学した。

 なぜ、隣町の中学校かというと、3月までいた小学校で、私を含め、女子生徒が5人、男子と男性教職員からのいじめ、いわゆるレイプまがいのことをされ、私は被害はあまりなかったが、他の子は、壊れるまで犯され、私以外の女子生徒は、精神障害が起き、入院し、私は、ひと月に一回のカウンセリングを受けることになった。

 『この学校では、うまくやって行けるだろうか。また、同じような被害を受けたら、どうしようか。』

 そんなことを思いながら、私は、クラスを確認し、案内役の生徒の方に向かった。

「おはよう、君、もしかしてこの辺の小学校の子じゃないよね。なんでこの学校なのか、俺、あててみてもいい?」

「えっ……」

 当時の私は、男子恐怖症とまではいかないが、男子のことはかなり苦手で、あまり関わりたくないと思っていた。

「で、どうなの?あててみてもいい?」

「……すみません、私、あまり人としゃべりたくないので、話しかけないでください。」

「そ、そうか、すまない……」

 その会話(?)が終わる頃に、この学校の生徒用の下足室に着いた。

「では、それぞれの下駄箱に入っているスリッパに履き替えてください。」

 そして、ぞろぞろと、新入生たちは、下足室に入って行った。私と言えば、他の生徒が吐き終わるのを待ちつつ、生徒たちを眺めていると、さっき私に話しかけてきた生徒が、友人らしき人物と一緒に楽しそうに話しながら、入って行った。

「……結局、まだ小学生気分が抜けきってないクソガキどもじゃない。」

 私はボソッとつぶやいた。

 そして、約二分後、私は、新入生のいなくなった下足室で、スリッパに履き替え、少し先にいた、集団の後ろについて、教室に向かった。








 1-4、私の教室はそこだった。教室に入ると、さっき私に話しかけてきた生徒、そう友人らしき人物、そして、学級カースト1位のような女子が2,3人、たぶん半分くらいは男子で、いかにも普通のクラスのような場所だった。

『こんな場所に私がいていいのだろうか。』

 教室を見た瞬間、私の全身に重いプレッシャーがかかった。

『早く自分の席に行かなきゃ。変な子だと思われる。』

 私は、黒板に貼ってある、座席表を見て、自分の席を確認し、私は、自分の席に着き、鞄から、文庫本を一冊取り出した。

 本は、『ライトノベル』と言われているジャンルの本で、インターネットサイトに投稿されていた小説を書籍化したもので、私は、インターネットの方で呼んでいた作品である。

 本を読んでいると、自然と周りの話声が聞こえて来るため、情報を収集するのにはうってつけである。

「なあ、昨日のあの番組見た~?」「この後どうする?部活見学しに行くか?」「ねぇねぇ、このクラスの男子どう?」「このクラス当たりだな‼女子が可愛い奴が多い‼」「裕太、お前部活何に入る?」「俺は家の手伝いしなきゃいけねーから、いいや。」

 そんなことがたくさん聞こえた。

 本に集中しよう。

 私は、物語の世界に逃げようとした瞬間、現実世界に引き戻された。

「あ、そういやさ、今日初めて見る女の子に話しかけたんだけどさ、なんか嫌われたかもしんない。(´・ω・`)」

“ドキッ‼”

「お前、ほんと女好きだよな。そんな感じの雰囲気出てんじゃないの?ていうか、お前でも知らない子がいるんだな。」

「たぶん親の仕事かなんかでこっちに来た子なんじゃないかな?」

「お前のセーフティゾーン抜けきってるじゃん。はいザマー‼」

「裕太、お前、ほんと性格腐ってるな。」

「俺はお前と違って、モテないからな。イケメンは羨ましいよ。だから、煽るのくらい許してくれよ。」

「お前の場合、煽るというより、自虐にしか聞こえない。」

「言ってくれるじゃねぇーかよ、氷雨さん。」

「僕だっていうときは言うよ。」

 私は立ち上がり、後ろを向いた。

「あ、あの……」

「え、あ、君、さっきの子⁉」

「え、この子がか?」

「さっきはすみませんでしたっ‼」

 教室が静まり返り、そして、どよめき始めた。

「なになに?」「あの子、誰?」「超可愛いじゃん」「あの子に電話番号とメアド、聞いて来いよ‼」「は、なんで‼」「何あの子、何いきなり氷雨君に謝ってるの?」「イケメンに謝ると、ご利益あるのかな?」「知らないわよ、そんなの。」

 そのざわざわは、収拾がつかないくらいだった。

「い、いやいいって。俺の方こそ、いきなり話しかけたりして、悪かったな。」

「なんだよ、そんだけかよ、つまんねーな。」

 そしてクラスの人たちは、それぞれの会話に戻った。

「何が何だかわからないけど、俺の友達が迷惑かけたな、えっと……、誰さんだっけ?」

「私は、坂本です。坂本結衣と言います。」

「ああ、坂本さんね。よろしく。僕は、これから一緒にクラスメイトになる、藍澤氷雨だよ。こっちは……」

「冴河裕太だ。よろしくな、坂本さん。」

「こちらこそ、これからよろしくお願いします。」

「なら……」

 冴河君は、地震の左手を新品の制服で拭いて、私に向かって突き出した。

「友達の握手、しようぜっ‼」

「友、達……、誰と誰がですか?」

「……ッ、俺と、氷雨と、坂本さん、こうやってあいさつを交わしたのも、何かの縁だしせっかくなら友達になりたいし、人間だからさ。仲良くしようぜっ‼」

「……ッ⁉」

 私は、今の一言で、少し、青ざめてしまった。

「「どうかしたか?」」

 二人は口をそろえていった。

「いえ、大丈夫です。それよりも……」

 私も、冴河君と同様に、新品の制服で左手をふき、彼の左手を握った。

「はい、これで、私たちは、友達です。」

「ああ、これからよろしくな、坂本さん。」

「こちらこそ、よろしくお願いします、冴河さん、藍澤さん。」

『新入生は、入学式が始まるので、体育館に集合してください。』

 そして、私たちは、体育館に向かった。








「……では皆さん、これで今日は終わりです。明日からは普通に授業もございますので、遅刻厳禁でよろしくお願いします。」

 私たちの担任の先生は女性で、とても良い先生のような顔だった。

「では、終わります。皆さん、気を付けて帰宅するように。」

 そして、教室からは、ぞろぞろと出て行った。

 私も帰宅の準備をしていると、

「坂本さん、一緒に帰らない?」

「えっ……」

 冴河さんが声をかけてきました。

「ちょっと君と話がしたくてさ。」

「そ、そう、別にいいけど。」

「よかったぁ~、こういうの、迷惑がられるかなぁ~と思ってたからさ。だから、一緒に帰れて、俺、嬉しいよっ‼」

「ああ、そ、そうです。」

 さすがにこんなハイテンションだと、誰でも、ちょっと引きますよね?

「私も、少しあなたに話があったので、ちょうどいいです。」

「じゃあ、帰ろうか。」

「そうですね。」

 そして、私たちは、昇降口に向かい、靴に履き替え、校門を出た。











「この店、入らない、奢るからさ。」

「はい?」

 そこは、いかにも、隠れ家的カフェだった。

「別に奢ってくれるのなら、私はいいですけど。」

「じゃあ、入ろうか‼」

 この人、スピーディー過ぎない?

 そしてそのまま店に入った。

「いらっしゃいませ~、どこに座ってもいいですよ~‼」

 そこの店は、店員さんに覇気がなかった。

「じゃあ、あそこの奥座ろうか。」

「わ、わかりました。」

 私たちは、一番奥で、入店しても、誰も気付きそうのない場所に座った。

「ご注文は?」

「コーヒーと、君は?」

「アイスティーお願いします。」

「了解しました。ごゆっくりどうぞ。」

 店員さんは、その場を後にした。

「じゃあ、話を聞きましょうか。」

「そうだな。俺がなぜ、君のことを知っているかというと、俺の知り合いの警察官に、君の精神状態を気にしてくれと言われていたからだ。」

「なぜ、精神状態を気にする世に言われたかを教えてください。いえ、こう聞くべきでした。あなたはどこまで知っているんですか?」

。言葉通りの意味でな。」

「えっ……」

「君に何があったのか、他の子が今どうしているかとか全て知っている。」

「それで、私をどうするつもり?」

「いや、?」

「はい?」

「そのままの意味だよ。俺と付き合えば、何かあった時に助けてやれるし、知られたとしても、そいつを、警察につい出すことも可能だ。」

「ちょ、ちょっと‼」

 彼は、私とキスしてしまいそうなくらいの距離まで顔を近づけた。

「どう、メッリとしかないだろ?」

「あ、あのっ‼私にも、考えさせてください。そういうのって度胸とか、覚悟とかがいるので……」

「そ、そうだよね……」

 彼は椅子に座った。

「じゃあ、改めて言うよ。俺と付き合ってください。」

「ストレートだね。ちょっと考える時間をください。」

「何分くらい?」

「分⁉日単位じゃダメなの?」

「気付かれてからじゃ遅いと思うからさ。」

「わかった、決めた。私あなたと付き合います。」

「え、本当に⁉」

「でも、3つ条件があります。」

「はい。」

「1つ目、私の秘密を洩らさないこと。」

「わかった。」

「2つ目、私がもういいというまでは付き合ってくれること。」

「それも分かっている。」

「3つ目、浮気したら、死刑。」

「重くないっ⁉」

「世のカップルなんてそんな物でしょ?」

「なんとアバウトな……でも、君を守るよ。俺は、今日から、君の彼氏だからな。」

「じゃあ、守ってくれる報酬として……」

 私は、口元を彼の耳元まで近づけ、

「彼女らしいこと、全部やってあげる。」

「なっ⁉」

「フフっ、照れてるね。そんなにうれしい、私と付き合えて。」

「ああ。最高にうれしい。こんなに可愛い女の子と付き合えて、俺は、幸せ者だよ。」

「だから、私は可愛くないってっ‼」

「照れてる顔も可愛いと思うよ。」

「もっー‼」

 こうして、私と、冴河君は、付き合い始めたのであった。











 __________________________________________________________

(あとがき)

 皆さんこんにちは、汐風 波沙です。

 今回は、かなり長い作品になったのですが、主人公と、女友達である、坂本結衣ちゃんの昔話の前半となっています。

 最近なぜこんなにも本編を進めないかは聞かないでください。

 よかったら作品のフォロー、レビューや星、そして、応援をいただけると、嬉しいです。

 今後とも、この作品、そして、自分の書いている作品をよろしくお願いします。

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