第29話 学校と弁当と人間関係

 俺たちの食事を作る会が始まり、約1週間の時間が経過した。

 月曜日、この日から、俺の高校2年の2学期が始まる予定なのだが……

「……」

 現在時刻、8時15分

 渋滞にはまり、バスが約20分くらい動いていない。

 学校の先生(学年主任)からは、

『渋滞なら仕方ないから、ゆっくりでもいいから、学校には来てね‼来なかったら、平常点全教科一律で、20点引くから、そこんとこよろしく☆』

 と言われたが、この渋滞、

「「いったいいつまで続くんだよ‼」」

 あっ

 俺は知ってる声と重なったのに気付いた。

「あなたもこのバスに乗っていらしたのですね。」

「俺は通学のためだ。そちらさんは?」

「私のほうも通学です。転校初日なのについていませんわ。」

「新学期初日ってこともついてない。これが普通に授業のある日だったらと思うと、どれだけ幸せか。」

「そうなのですか?」

「そうなんです。」

「そうなんですね~」

「「……」」

 ダメだ、会話が続かないっ‼

 どうしよう、何か話題を出さなきゃっ‼

「……あの、この道、いつも混むんですか?」

「あ、そ、そうだね、いや、混んでない日の方が多いけど、どうして?」

「明日からも使うことになりそうなので、今後の為にでもと思いまして。」

「そ、そうか……」

「ところで、冴河さんは、どこの学校なのですか? 」

「ああ、百日草高校だけど?」

「そ、そうなんですね。」

「どうかしたか?」

「いえ、何でもありません。」

「それならいいけど……」

『え~、ただいまより、こちらのバスは、終点の百日草高校前にのみ停車します。終点まで行かない客様は前のバスよりお降りください』

 そのアナウンスがなると、ぞろぞろと乗客は下りて行った。

「「……」」

 気づけば、俺と彩雪のみが乗っている、半貸し切り状態のバスになってしまった。

「彩雪は、降りなくてよかったのか?」

「私も今日から百日草高校に編入するのよっ。あれ、言ってなかったかしら?」

「ああ、聞いてない。」

「そうだったのね。」

「ところで、なんでそんなお嬢様口調なの?」

「いえ、別に気にしくて大丈夫ですよ?」

「いや、気になるから聞いているんだけど?」

「う……、分かりました。母から、おしとやかにするように言われているからです。」

「それでお嬢様口調なのかっ⁉」

「そ、そうよっ、悪いっ‼」

「いや、お前って結構バカなんだな。」

「あ~、今私をバカって言ったぁ~‼私そういうの絶対許さないタイプの人間だからねっ‼本当っ、覚悟しておきなさいよっ‼」

「はいはい、そろそろつくぞ、彩雪。」

「うん、わかった、裕太さん。」

「いきなり下の名前で呼ぶのかよっ‼」

『ドア開きます』

「いくよ、早くしないと、置いていきますよ、裕太さんっ‼」

 彼女の笑顔には、悪意はないことが、俺への唯一の救いだった。















「よく来たな、冴河‼」

「よく来たじゃないですよ‼いまもう10時ですよ、これもう始業式、間に合ってないじゃないですか‼」

「そうだな‼ キラッ」

「キラッ じゃないですよっ‼何が『キラッ』ですか‼」

「は~ああ、入学当初はあんなに可愛かったのに……」

「はいはい、そんな昔話しないでくださいよ~‼」

「そうだな、お前もこの夏で色々成長したんじゃないのか?」

「まあ、少しは。」

「でも、大切にしていた人を失くしたのは、最悪だったんだろ?」

「そうですね。」

「なら、今後はどう生きていくかは決めれたか?」

「はい、もう同じ思いはしたくないです。」

「そうか。よしっ‼ならクラスに行けっ‼」

「はいっ‼失礼しますっ‼」

 俺はその後、職員室から出た。


「あ、あいつに転校生きてる事言うの忘れてた。まあ、いいか。」

 この人たちは、いい先生なのだが、時々こういうことがあるっ‼














「よう、今日も相変わらず重役出勤だなっ‼」

「痛っ⁉おい、もう少し力弱めてくれよな、結衣」

「そうだね、私と付き合ってくれたらいいよっ‼」

「それは本当に無理だからごめんなさい。」

「そうだよね、私とはもう終わったんだもんね。そうだよね。……」

「な、泣くのはズルいって⁉」

「結衣、そのくらいにしておけよ、裕太が困ってるよ‼」

「チッ‼」

「た、助かったよ、氷雨。」

「いいって、親友だから、そのくらい。」

「ああ、助かってるよ、本当にお前だけは。」

「ところでクラスに転校生が来てるの知ってる?」

「ああ、本人から聞いてたからな。」

「はい?」

「そいつ、俺ん家のお隣さんなんだよ。」

「なるほど、そういう事ね。」

「どういうことだよっ‼」

「つまり、半同棲生活なんだろ?」

「なっ……」

 俺は今、これほど親友を裏切りたいと思った事は無い。

「いや、別にそういうことか、何にもないし、別に好きとかそういう感情はない……」

「なんか、ごめん、ここまで初心っぽい反応されるとは思ってなかったからさ。」

「いや、いいよ、俺なんて、初心でなんぼの人生しか送ってこれなかった陰キャだから……」

「お~い、そっちには行くな~‼」

「嘘、あんまり傷つけられると、自動的になるんだよ。あのモード。」

「そうだったんだ。」

「もうっ、やっと来たのね、裕太さんっ‼」

「うおっ⁉」

 俺はまさか、教室で会った瞬間抱きしめられるなんて知りもしなかった。





_____________________________

(あとがき)

 皆さんこんばんわ、汐風 波沙です。

 近況ノート通り、更新しました。

 久しぶりの本編です。

 今回はどうでしたか?

 感想は、近況ノートか、レビューでお願いします。

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 今後とも、この作品、そして、自分の書いている作品をよろしくお願いします。

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