第28話 初めての料理と、手紙②
「あ、やっと目、覚ました。」
「何分くらい気絶してた?」
「5,6分くらいよ。たぶん」
「たぶん?」
「だって仕方ないでしょ!この部屋、、時計ないんだもんっ‼」
「スマホで見ればよくない?」
「部屋に忘れた。」
「なんというか……、ご愁傷さまです。ところで……」
「何かしら?」
「なんで膝枕してるんだ、お前。」
「……せめてもの、罪滅ぼしよ。」
「なら、存分に満喫させてもらおうか。」
「え……」
俺は、うつ伏せになった。
「ひゃっ⁉ちょっと何してるのよ‼」
「柔らけー、これが、彩雪の感触。」
「ちょっと‼何変なこと言ってるのよ。もう一発な……ダメ、なめるのはダメ~」
「なるほど、お前の弱点は、皮膚をなめられること、しかも、神経が集中しているところか。」
「はあ……ダメ、もう、私、限界‼もう許して~」
「わかったよ。」
俺は起き上がった。それと同時に、彩雪は、その場に倒れた。
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
「……お前、感じやすいの?」
「っん、うん、たぶん」
「なるほど、今後のために参考になったよ。」
「ま、まだ私にやましいことをするの⁉」
彩雪は、かなりのサイズの胸と、陰部を隠した。
「いや、また、チャンスがある時にでも、やる予定だ。」
「あなた、見かけによらず、結構グイグイ来るタイプの人間なのね。」
「俺は元々そういう奴だ。」
「知らなかった……、でも、あなたについて、また、新しく知ることができたわ。ウフフッ‼」
「はい、そうですか。じゃあ、昼飯、作るか。」
俺はスマホで時間を確認した。
12:10
そう表示されていた。
「バカかお前ぇぇぇぇぇぇ‼1時間以上も気絶してるじゃねぇーか‼」
「仕方ないじゃない‼あなたの寝顔、控えめに行って、可愛かったから……起こす気にならなかったのよ。」
「そ、そうか……」
なんか、いきなり怒鳴ってごめんなさい。
「じゃあ、気を取り直して、レッツクッキング‼」
何だかんだあったが、俺たちは、昼ご飯を作ることにした。
「ところで今日は何を作るの?」
「昼だし、暑いし、そうめんとかでどうだ?」
「あなた、麺類が好きなの?」
「麺は、米と同じくらいの料理のレパートリーがあるからな。俺は結構食うかもだけど、麺類嫌いだったか?」
「いえ、別に好きでも嫌いでもないけど、作るの楽よね。」
「まあ、料理なんてそんな物だよ。気にしたら負けだ。」
俺は、かなり表情を作って行った。
「……そう、なんだ。」
「ま、そういう事で、小葱、切ってみるか?」
俺は、まな板、包丁を取り出し、冷蔵庫から、まだ切ってない小葱を取り出した。
「そうね、やってみます。」
そう言って彩雪は、俺のとなりに来た。
「では、包丁を貸してください。」
「どうぞ。」
俺は手渡した。刃を自分の方に向けて。
「ありがとう。」
彼女は受け取り、包丁を握った。握り方は、まあ、普通なのだが、
「て、そのままだと切るよ。」
「どうすればいいの?」
俺は彼女の手を取り、猫の手のようにした。
「こんな感じに軽く握って、刃の側面を中指の第二関節に付けるようにして切ると、指を切らないよ。」
俺は、彼女の手を元に戻した。
「じゃあ、やってみるわ。」
彼女は、教えた通りに小葱を切り始めた。
「俺も、何かするか。」
俺は、戸棚からそうめんを取り出し、茹で時間や水の量を確認し、お湯を沸かした。
「切り終わったわよ。」
「ああ、じゃあ、次、麺茹でるか。」
「じゃあ、やってみようかしら。」
「ああ、まずこうやって封を外して……」
そんな調子で、俺たちはなんとか冷やしそうめんを作ることができた。
「じゃあ、食うか。」
「そうね。」
俺たちは、机の対面に座り、
「「いただきます」」
と言い、食べ始めた。
いつもよりも小葱が太いが、まあおいしいからいいとしよう。
「不思議ね。」
「何が?」
「料理って、誰が作っても同じ味に感じるんだけど……」
「それはそれで重症だな。」
「もうっ、そういう意味じゃなくて‼」
「じゃあ、どういう意味なんだ?」
「その、えっと……、自分で作ると、いつもよりおいしく感じるって話よ‼」
「そうか。でも、こんなことでそんなこと言ってたら、今後の言うセリフ、ほとんどが、おいしい‼一択になるぞ。」
「それはそうね。でも、おいしいっていう事は大事だと思うわ、私は。」
「その理由は?」
「だって、作ってくれた人への最高の恩返しの言葉じゃない。」
「それもそうか。でも、自分で作れるようになってくれよ、お嬢様。」
「あ、今お嬢様って言った‼私のことは名前で呼んでって言ったのにっ‼」
「ほら、そういう我儘で欲しがりなところがお嬢様なんだよ。」
「そんなこと、あるかも……」
「あるのかよ。」
「別にいいじゃない‼大切に思ってあげてる人にしか、私は我儘を言わないもの、欲しがるのも‼」
「……ッフ、ハハハ」
「何笑ってんのよ‼」
「いや、お前、その言い方だと、聞く人が聞いたらプロポーズだぞっ‼マジでおもしれ~‼録音しておけばよかったわ~。」
「もうっ‼なんでそんな風にすぐとらえるのよっ‼」
「悪い悪い。」
こんな日々は、すぐ過ぎ去るのだろう。
俺はこの時は、この時間が永遠に続いてほしいと思っていた。
_____________________________
(あとがき)
皆さんこんにちは、汐風 波沙です。
最近は、アップすることだけを考えていて、あとがきを書くことを忘れていました。
今回の話は、かなり、休憩の回になっています。
読む人が読めば、
この主人公、頭おかしいんじゃないの?
と思うような話です。
今後とも、この作品、そして、自分の書いている作品を、よろしくお願いします。
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