第27話 初めての料理と、手紙①

彩雪が帰った後、俺は紙袋の中に入っていた手紙を読んでいた。

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拝啓

 私は彩冬彩雪の母、彩華あやかというものです。私は、何よりも、あなたが出会った彩冬彩雪は、雨沢嵐さんのもう一人の娘です。つまり、雨沢雪乃さんの腹違いの妹です。

 なぜ、このようなことを伝えているかというと、私は、娘にそのことを伝えられていないんです。

 なので、私の代わりに伝えていただけませんか?

 変なことを言っているのは私はわかっています。

 なので、もし、この手紙を読んで聞きたいことがあれば、こちらの番号に電話をください。

・・・-・・・・-・・・・

追伸

 私の旧姓は、冴河です。

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「………」

俺は、ベッドの上にのせていたスマホを手に取った。

そして、手紙に書いてある電話番号に電話をかけた。

『はいもしもし、彩冬です。』

「もしもし、冴河裕太です。」

『えっ……』

「お久しぶりです、伯母さん。」

『そうね、久しぶりね、裕太。』

「元気でしたか?」

『私はね。君は?私よりも、キツイ経験をしたんでしょ?』

「はい。結婚を約束した人と、母と、義父を亡くしました。」

『それで、私に何が言いたいの?』

「なんで、なんで今更、あの人の面影を俺のもとによこしたんだよ‼何考えてんだよアンタ‼」

『ごめんなさい。』

「謝れたところで許すつもりはない。」

『そう、よね。私をあなたは許さないわよね。』

「当たり前ですよ。あなたは、俺にやったことは、虐待と精神的ショックだけですよ。」

『過去のことは、私もとても悪いと思っています。でも、こんなことをお願いすること、図々しいことはわかっています。だから、お願いします。私の娘を攻めて、普通に生きていけるくらいになるまで育ててください。』

「断ればどうなる?」

『私は、娘を連れ帰るため、今からそちらへ向かいます。』

「あんたに会うよりはマシだ。一つ仮ってことでいいか?」

『もちろん。お金だって払います。なので、どうか、娘のことをよろしくお願いします。』

「わかった。でも、俺は今後二度と俺はあんたには電話もしないし、会うことは無い。」

『わかっています。』

「じゃあ、切るから。」

俺は、電話を切り、そのままベッドに寝っ転がった。

「ふーっ……」

今後どうするかは決まっている。

まずは、彩雪を、最低限料理をできるようにする。そして、そのあとは、今後考えよう。

「……とりあえず、風呂に入ろう。」

俺は風呂に入った後、眠りについた。考えるのを放棄したかったからである。















10:45スマホのロック画面を見て、俺は、現在時刻を確認した。

「……そろそろ起きないと彩雪が来るかもな。」

俺は起き上がろうと、上半身を動かそうとした。

だが、何か重さがあって動こうにも動けなかった。

不思議に思い、俺は掛け布団をめくった。

「何してんだよ、彩雪。」

そこには、俺の体を枕にしている彩雪がいた。

「……おはよう。ところで、冴河さんは、不用心ね。部屋の鍵、閉まってなかったわよ。もしかして、昨日は、ソロプレイ後、その快感のまま、眠りについたとか、そういうのなの?」

「違うよっ‼」

俺は少し事情を説明し、その後、やっと分かってもらい、

「ところで、なんで俺の布団にいたんだ?」

「私、男の人と寝たことないの。だから、私の初めて、あげちゃった♡」

「言い方に語弊がある‼」

「でも、初めてを上げたのは事実よ。」

「そういう事、ほんとにやってないよね⁉」

とても心配だ。

「でも、特にいやらしいことはしていないわ。それは、神に誓うわ。」

「やっぱり心配。寝てた位置が位置だもん。」

そういうと、彩雪は、顔を真っ赤にしながら、

「ば、バッカじゃないの‼私がそんなことするわないでしょっ‼ないいきなり言ってんのよ、この変態っ‼」

「うおっ‼」

俺は一発殴られた。そのおかげで、意識が飛び、また眠りについた。

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