第18話 俺の夏休み ハーフタイムその③
愛莉とデートしてから、4日ばかりたった。
その間、ほぼ毎日俺の布団に愛莉は入り込んでいた。本人曰く、
「べ、別に潜り込むだけでそれ以外のことは、やろうとしたけどやってないから‼」
と言い張っているが、最近は、俺は上着を着ていない状態で目を覚ましている。
どうせ今朝もいるんだろうなー。
もう寝苦しいし、でもなんか、いつもと少し違うような気が……
俺意外にこの部屋に来るのは、愛莉くらいしかいないはず、だよな?とりあえず、目を開けよう。
『なんで今日に限って愛莉だけじゃないんだあああああ‼』
目を覚ますと夏那が、何と俺の左側に眠っていた。
「うう~ん、あれ、昨日私、トイレ行った後……、」
「あのー夏那さん、ちょっといいですか?」
「なんで私の隣に裕太さんがいるんですか?もしかして、ロリコンですか?」
「違う、俺はそっちの趣味はない。ここ、俺の部屋だよ。」
「あ、そうでした。昨日おねえちゃんがこそこそこの部屋に入っていいたのを付けていき、私もそのまま寝てしまったのですよ。」
「なるほど経緯は分かった。で、愛莉は何かごそごそしてたか?」
「いえ、特にはしていませんでしたが、昨日は「今日こそ覚悟を決めて、いや、でも……、ああもう‼嫌あ~。」なんてこの部屋に来る前は嘆いてましたが。」
『こいつはなかなかのやばい奴かもしれない。』
俺は愛莉を見ながらつくづく思った。
「ふわああ~。あれ、なんで夏奈がこの部屋にいるの?」
「その前にお前は服を着ろ。」
「そうですよ、男性の前ではしたない。」
「なんで二人がかりで責められるのよ~‼」
いつにもまして涙目になるのが早かった。
「ところで、裕太さんは明日お暇ですか?」
「今のところ予定はないけど……、なんで?」
「明日は家族みんなで海に行く予定なんですよ。」
なるほど。
「一緒に行きませんか?」
「そういう事なら、わかった。予定、開けておくよ。あ、それって……、」
俺は唾を飲み込み、
「十四文さんや吹雪さんも来るよね?」
「もちろんです‼」
やっぱりー。かなりハードになる。でも、愛莉がぐいぐい来ない分、まだましか。
「おねえちゃん、服、きましたね。じゃあ、朝ごはん行きますか?」
「そうだな。」
「そうね。」
俺たちは、大広間に向かった。でも、この日々は長くは続かない。俺は来週、この龍ケ原邸を出ていくのだから……。
「裕太君、今日暇かい?」
朝食後、吹雪さんが珍しく俺の前に座った。
「すみません、今日は予定が入っていまして……。」
「そうかい、残念だ。で、ところで予定って?」
「今日久しぶりに学校に行く予定が入ってまして。」
そう、苦しいとき、いつも助けてくれたアイツと久しぶり会える。そして、今まで逃げていたあの学校に行くことになる。
「そうか。今日は臨時登校日だったね。何時くらいに終わるかい?」
「そうですね、13時頃だったと思います。どうしてですか?」
「いや、君と一度腹を割って話をしたいと思って。じゃあ、13時半に迎えに行くよ。」
「わかり、ました。」
「あ、そうだ。運転手に送ってもらっていきなよ。君の学校、結構遠いでしょ。」
「ありがとうございます。急いで準備してきます。」
「うん、気を付けて行ってきなさい。」
こんな人がお父さんだったらどれだけよかっただろう、と思ったのは何回目だろう。
こうして俺はあの日以降初の登校をすることにした。
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