第4話 噂って恐ろしいと痛感した 授業前

週が明けて、月曜日になった。

僕は、この週末引っ越しをした。理由は簡単、今まで住んでた家では、家族四人で住むには、狭かったのだ。引っ越し先は、今までの家から、少し離れた高台にある住宅街の一角だった。この家に引っ越して驚いたことは2つだ。1つは、トイレが2つ、浴室が2つあること。もう1つは、地下も合わせて、4階建ての家で、さらに全部屋防音設備だということだ。だが、引っ越したことにより、交通費が二倍になってしまったのだ。親からは、

「気にしなくていいわよ、どうせ二人分払わなくちゃいけないから。」

と言われ、今まで通りバス通学になったのだ。

僕は、どうせ先輩のことだから、何か仕掛けてくるだろうと思っていたが、先輩は、何もしかけてこなかったのだ。どころか、家の中でも、チャットアプリを使用して話しかけたのだ。何かあるたびにスマホの通知音が鳴り、困っていた。

そんなことがあり、僕は、週明けである月曜日、教室でいつも通り趣味である読書をしていると、

「おい、そこの本読んでるやつ。ちょっと面貸せよ。」

なんとびっくり、8時前だというのに、3年生(少し顔が怖い)の先輩が、話しかけてきたのだ。

「すみません、先輩の名前を伺ってもいいでしょうか。」

と答えると、

「あとで教えるから、とりあえずついて来い。」

と言って、そのまま、1つ上のフロアの空き教室に連行されてしまった。

この空き教室は、いわゆる、生徒の因縁や、誰にも聞かれたくないこと相手に伝えるときに使用される部屋で、基本的に体、もしくは、心のどちらかに傷を負う部屋なのである。

「あの、そろそろ教えてもらえませんか、この部屋に連れてこられた理由と、先輩の名前を。」

「いいだろう。俺は、3年K組 坂下 さかした くるいという名のものや。ここに連れてきたのは、噂の真偽を確かめるためや。」

「その坂下先輩、噂って何ですか。」

「はあ?噂の張本人が噂を知らない。お前、コミュ障なのか。」

そこに関しては反論できないだよなー。とりあえず、

「僕、あまり友達つくらないんで。噂について教えてください、先輩。」

「しゃあねーな。噂っつーのは、お前が、あの雨沢 雪乃に告白して、OKもらって付き合ったっつー噂なんだよ。」

なんで知れ渡ってんの!?僕はあの時、周りに誰もいないことを確認していたはずなのに。なんでどうして、ていうか僕が最初に告白したわけじゃないから、事実じゃ無くないか。これは反論ができるぞ。

「先輩、少し違います。僕から告白したんじゃないんですよ。雨沢先輩が、先に告白して、返事をしただけです。」

と伝えると、先輩は、少し悪だくみをしてそうなにやつき方をしていた。

「ならさ、俺が告白してOKもらったら、俺が貰ってかまわねーっつうことだな。いいぜ、もう教室戻って。」

この時は、何を考えているのかわからなかった坂下先輩が、ものすごく怖く感じた。

「じゃあ、失礼しました」

と言って僕は空き教室を後にして、教室に戻った。

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