第2話 大波乱の再婚話 下

僕と先輩は、僕の部屋に移動した。

「どうぞ、どこでもいいので、座ってください。」

とベットに座りながら、僕は、言った。

「じゃ、じゃあ、失礼します。」

と言って、僕の隣、しかも、ゼロ距離の位置に先輩は、座った。

「なんで、僕の隣なんですか。」

と僕が少し恥ずかしげに聞くと、

「君が、どこでもいいから座れと言うからだろ。だから、1度座ってみたかった君の隣に座ったんだよ。ダメ、だったかな?」

上目遣いは、ズルいって。やばい、距離が近いせいか、なんかいい匂いがする。落ち着け、とりあえず、何か、話さなくちゃ。

「ねえ、部屋、結構綺麗にしてるんだね。なんか、私の中の評価がかなり上がったような気がするよ。」

「僕、あんまりもの持ってないので、ちらからないというか、なんというか。とりあえず、あんまり服とかも持ってないので、今日は、制服なんです。」

「でも、私は、君の制服姿好きだよ。なんか、見栄を張ってる感じで。」

「喧嘩売ってます?買いますよ。いくらですか?」

「売ってないよ。冗談冗談。あのさ、ちょっと真剣な話してもいいかな。」

何!?このタイミングで切り出されるの。

「真剣な話ってなんですか。」

「私、実はね.......。」

なんでそんなに、間を開けるの?

「君のことが、好きすぎて、うちの親に結婚して欲しくないの。」

「はい?」

え?今、告白された?このタイミングで?僕が?

そんなことを考えている間に、

「だからさ、私と、結婚を前提に付き合ってくれない?それとも、私のこと、嫌いなの?」

「いや、嫌いとかないんですけど.......。」

「なら、既成事実を作ってしまえば、君は、私に反抗できないよね。」

と言って、先輩は、僕を押し倒してきた。ベットで良かった。頭打つと痛いから。ってそういう事じゃないだろ。まずいよこの状況。

「大丈夫、私が、全部やるから。心配しなくていいよ。」

この人マジだ。やばい、このままじゃ.......。

『コンコンコン』

と軽快な音が、部屋に、響いた。

「先輩、とりあえず1度離れて下さい。」

「あと少だったのに。」

先輩を、勉強机の椅子に座らせて、

「どうぞ」

と返事をした。

「裕太、入るわよ。」

と言って、母さんが、入ってきた。

「あ、雪乃ちゃん。お父さんが、帰るから、読んできて、って言ったから、呼びに来たら、ふたり、もう仲良くなったのね。」

「はい、話をして、仲良くなりました。じゃあ、行きますね。またね、裕太くん。」

と言いながら、小さく手を振って、彼女は、僕の部屋から出た。


先輩が、帰ったあと、僕と母さんは、晩御飯を食べて、僕は僕は、部屋に戻った。部屋で、考え込んでいた。どうして僕を、先輩が、好きになったのか。その理由を。


その晩、夢を見た。

2年が始まった4月のことだった。その日は、ちょうど、母さんの誕生日で、何を買ってあげようか悩んでいた。春休みを利用し、バイト代を貯めたんだ。何かいいものをプレゼントしたいと思っていた。

授業が終わり、僕は、教室を出ると、バス停に向かう方ではない方に、歩いていった。そこで、うちの学校の制服(多分ひとつ上の学年)の生徒が、ガラの悪い3人組に、捕まっていた。どうしようか悩んでいた。だが、僕の体は、頭で考えていたことと逆に動いた。

「すみません、この子、僕の彼女なんで、手、出さないでください。」

僕は、彼女の手を掴んで、その場から離れた。

「チッ、彼氏持ちかよ。」「ハズレだな。」「別の子探そうや。」

そんな声が聞こえてきていた。

数十メートル行ったあたりで、彼女の手を離した。

「ありがとうございます。」

「よくあるのかい。」

「いえ、今回が初めてです。」

「じゃあ、今後は、気をつけた方がいいよ。じゃあ、僕は、これで。」

僕は、その場を離れようとした。

「待ってください。なにかお礼をしたいのですが、なんでも言ってください。」

と彼女は、言った。

「じゃあ、今から、母親へのプレゼントをかいにいくから、それに付き合ってよ。それで、チャラでいいじゃん。」

「わかりました。では、行きましょうか。あぁっ、まだ自己紹介してませんでしたね。私の名前は、.......。」


そこで、僕は、目を覚ました。どうして僕は、忘れていたのだろうか。その時買ったスマホのカバーは、いまだに、母さんは、使っている。

「先輩、可愛かったなー。」

と、呟きながら、僕はまた、眠りについた。

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