第9話



デイルームの眼


デイルームは、患者や見舞いに来た人達が集う場だ。

夕方までは、見舞いに来た人や患者ばかりだが、夜になると、ベッドに寝てテレビを観るよりデイルームでコーヒーなんか飲みながら時間を過ごす人も、少なくない。

自分もそうだ。

それに大部屋に置かれたテレビは、カードで千円で買って10時間観れる。

すなわち有料だ。

デイルームは、もちろんタダ。

その日は、ラグビーのワールドカップの試合。それに、裏番組では、プロ野球の日本シリーズ。

患者は、どちらを観ようか話し合ってる。

1人で観るより、大人数でワイワイ観た方が楽しい。

試合が始まったら交互に観ましょう!

と話し合った。

18時、4人でデイルームに行った。

1人の60過ぎの男性がテレビの前で携帯電話で話をしてた。

そこには、18時のニュース番組が放送していた。

観てない感じだ。

「すみません。テレビのチャンネル変えてもいいですか?」


「駄目!観てる。」


「ごめんなさい…。」


ちなみに、その人、1日のほとんど、デイルームで過ごしていた。

そして、消灯の22時になったら、お部屋に帰って行った。

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