「……ごめん」

「……いいよ。つかそんなに謝んな。どうしようもねぇんだから謝られたってどうしようもねぇ」

「じゃあ、」

「でも俺は怒っている」

「えぇ……」

 流石に面倒臭いと思ったのか、富未は眉間に皺を寄せオレのほうへしっかりと瞳を向けてきた。

 なんとなく目を合わすのが嫌で、視線を逸らし、頬を掻く。

 こうしてなんとなく答えを交わしても意味がないことぐらい、オレだって分かっているのだ。分かってはいるのだが、それの答えをすぐに出せと言われると、言葉に詰る。いや、もう答えは決まっているようなものなのだ。身体は。だが、体と心は一心同体ではない。

 富未はオレの答えをせかすわけでも無く、近くにあった椅子にすわり、優しい表情でオレのことを見つめていた。




 富未と話すのは確かに楽しい。それは事実だ。だがそれが恋人関係に昇格するとなると、何かが違うような気がする。オレが恋人というものを知らないせいかもしれない。だが、そんな不安定な状態で富未と付き合うのは、富未を傷つけているのと何が違うのだろう。

 近くのベッドから零れる電子音と、オレらの呼吸音だけが辺りに充満する。

「……真面目だね。閑野ちゃん」

 ふ、と息が零れる音と共に、富未の優しげな声がオレの耳を擽った。思わず顔を上げる。そこにはいつもと同じ顔をした富未が居た。

 「わかった。とりあえず関係は保留にしよう」

「え、でも……」

 オレは自分の身体に目を落とす。体液の交換をしてしまった以上、オレは富未が離れると死んでしまう。

 その心配を組んだのか、富未の細く柔らかい手がオレの頭を撫でた。



(穴埋め、続きは文学フリマでお会いしましょう)




題名:あいすくりぃむ

著者:黒咲 猫架

文字数:あらすじ含め 27665文字

金額:500円(来年出す予定の二巻購入が安くなる特典付きです)

表紙イラスト:あきらこまち様

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【東京文学フリマ出品】あいすくりぃむ 黒咲 猫架 @K_N_028

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