異世界転移 154話目

お久しぶりです、新型コロナで色々とあり書く気になりませんでした。

またチマチマと再開していきますので、よろしくお願いします。







『……おきなさい、おきなさい天槍のケン。』


『……あれ?ここはどこだ?』


ケンが目覚めるとそこは真っ白な世界だった、そこでケンは自分がフワフワと浮かんでいることに気がつく。


『ケンよ、こちらに来なさいケンよ……』


『……誰だ?』


『私の名はマリルルナ、この世界を管理する神です。』


『誰かと思ったら、マリルルナ様じゃねぇか! なんか半透明で白く輝いてるからわからんかったわ!』


『コホン、神聖な雰囲気を壊さないようにお願いします。』


『神聖な雰囲気って、あんたには元々無いだろ。』


『主従そろって失礼ね! まぁいいわ、あなたには2人だけで会いたかったのよ。 今から……おい、なんでズボンを脱ごうとしてる!』


『え? 2人っきりでってことは1発やろうってことだろ?』


『このエロクズ! 魂を消滅させるわよ!

んん、今回あなたと2人で話し合いたかったことは、ドライトさんの事についてなのです。』


ケンのあまりの言葉にマリルルナは怒鳴り付けたが、ハッとしてまたおすましモードで話しかけてくる。


『ドライトについて?』


『そうです、ケン、あなたはあなたの主であるドライトさんの事をどう思いますか?』


『俺はいつの間にあいつの子分になったんだ? なんにしろ俺はあいつの事は邪神だと思ってる、やることなすこと邪悪だからな!』


『そうですね、多分ですがあれは自分の事を龍だと勘違いした邪神でしょう。 何にしろそんなあなたに頼みがあります。』


『頼み?』


『はい、その頼みとは……ドライトさんを抹殺するか、せめてこの世界から追い出してください!』


『無理だ、諦めろ。』


『答えが早すぎる、ちったあ考えてよ!』


『考えてって、じゃああんたならドライトを討伐できるのか?』


『無理に決まってるでしょ!』


『自分にも無理なことを俺にやらせようとするなよ!』


『ッチ! 使えないやつね、まぁいいわ、追い出すだけで我慢してあげるわよ。』


あまりの言い様にケンはため息を吐こうとするが吐けずに不思議に重いながらも反論する。


『いやマリルルナ様よぅ、追い出せって言うならセレナ様辺りを説得するなりしてみるけどよぉ……いいのか? ドライトにあとでバレて報復されても。』


『へ? そんなのその時に何とかすればいいのよ、問題ないわ!』


『おーそりゃよかった、だそうだぞ?』


ケンがそう言ってマリルルナの後ろを見る、マリルルナはそれを見てまさかと恐る恐る振り返るとそこには、案の定ドライトがいた。


『なるほどなるほど、面白いことを考えていますね。 なら私も早速報復として……』


『や、やろうっての!? 勝負なら受けてたつわ!』


『ユノガンド様をここに呼びます。』


『それだけは勘弁してください!』


マリルルナは見たことがないほど美しいジャンピング土下座を決め、ドライトに平謝りになる。


『おいおい、ユノガンド様って言ったらこのマナルを創った創造神だろ? それがなんで来るのを嫌がるんだよ、呼べばいいじゃねぇか。 それにドライト、お前もなんか透けてねぇか?』


ケンは創造神がこの世界に戻ってくるのをマリルルナが何故こんなに嫌がるのが、だいたい事情を察してニヤニヤとマリルルナを見ながらそう言う。

ついでに何故か透けてるドライトを見ながら質問をすると、ドライトは平然と答えてきた。


『そりゃここは死後の世界ですからね? て言うか、ケンさんは気がついてないのですか、自分が死んだって。』


『……な、なんだとぉー!?』


ドライトに自分は死んでいると言われ、ケンは自分を見ると透けて光り輝く珠になっていることに気がつき、本当に死んでいることを知覚する。

そして愛する妻やまだ生まれていない子供に会えないことに絶望して叫ぶ、同時にドライトが『ヤバい!』と叫びマリルルナが『ちょっと私だけ置いて逃げ、いでえぇぇぇ!』と悲鳴をあげたところで全てがブラックアウトしてーーー




「せめて妻達全員と三日三晩乱交してから死にたかった!」


「うお!? ついに狂ったの!?」


「夫がアホに……あんまり変わってない気がするっちゃよ?」


「あ、あれ? 体がある……ゆ、夢か!」


泣きながらすがりついていたエルフリーデとリンカ、それを不思議そうにケンは見ながら今見た夢について話すと2人だけでなくフェリクスやアルヴァー達も真っ青になる。


「お前それあの世に旅立ちかけてたんじゃねぇか!」


「いやまあ普通は頭が吹っ飛んだ時点で即死なんだろうけど。」


「……はぁ? 俺の頭ならちゃんとあるじゃねぇか。」


フェリクスとアルヴァーの言葉にケンは自分の頭をペタペタとさわりながらそう言うと、エルフリーデが半泣きのまま言ってくる。


「バカね! あなた本当に頭が爆散したのよ!」


「頭が爆散!?」


「セレナ様が可愛い掛け声で可愛くチョップしたら爆発したのよ! 頭が!」


「いや、嘘だろ? えぇぇ……じゃ、じゃあマリルルナ様とドライトが夢に出てきたんじゃなく、死後の世界とかそういうところに来て俺と会ったって言うのか?」


「たぶん……だからほら。」


エルフリーデがそう言って指差した先にはマリルルナの顔面を掴み、左手で軽々と引きずるセレナがいた。


「ケン、お前の頭が吹っ飛んだらアンナちゃん達がガチ泣きしてな、慌ててセレナ様が頭を復活させたんだ。 それでそのあと直ぐに何もない空間に両手を突っ込んだと思ったら、マリルルナ様をつかんでいたんだ。」


「……そういや、いてぇって悲鳴あげてたな。」


「ドライト様は気がついて逃げ切ったんだろうな、セレナ様も「あら?」って言いながらも残念そうに右手を引き抜いてたし。」


フェリクスの言葉にそうなのか?っと聞き返していたケンだったが、ハッとするとフェリクスの胸ぐらをつかみオマケで腹パンしながら聞く。


「そんなことよりも頭が吹き飛んだのになんで俺は生きてるんだよ!?」


「いて、いてぇよこのバカが!

お前の頭が吹き飛んだのを見てアンナちゃんがガチ泣きしたって言ったろ? それを見て慌ててセレナ様が復活させたんだよ、アンナちゃん達の情操教育に良くないって。」


フェリクスはケンを殴り返して離れると殴られた腹をさすりながらそう説明をする。


「俺は情操教育のおかげで助かったのか……ってか、夢の中?死後の世界?になんでマリルルナ様やドライトはやって来たんだろう?」


「あなたマリルルナさんにドライトを殺すか追い出せてって頼まれなかった?」


「頼まれましたけどそれが?」


左手でマリルルナをつかんだままでセレナがたずねてきたので、正直に答えるとセレナは笑みを深めてマリルルナはビクンビクンと陸に打ち上げられ魚のようにのたうち回る。




「ううう、マリルルナ様ったら何でそんなことを!」


「テ、テルミス様、どう言うことなんですか?」


頭を抱えてしまったテルミスに、フェリクスが何が問題なのか質問をすると、テルミスが少し悩んでから説明をしてくれる。


「普通は加護や祝福は肉体に宿るの、だから現世で加護を持つものに誰か高位のものが接触すると与えた高位のもの達は察知出来るのよ、もちろん力に差がありすぎると無理だったりするんだけど……だけどね? マリルルナ様やドライト様のような高位の神や龍が本気で加護を与えると、魂に宿るのよ。」


「は、はぁ……」


フェリクスはもちろん俺達も理解できずに生返事しか出来ない、それを見たテルミスは周りの神と顔を見合わせると1つうなづきさらに説明してくれる。


「その違いはね短期か長期なの、肉体に宿っているとその肉体が滅びる、つまり死に至ればその加護は消滅するなり与えた者の元に戻るのよ。

でも魂に宿るとその者がたとえ死に肉体が滅びても次の転生先にも継がれていくのよ、だからよっぽどの事がなければ無くなることはないわ。」


「なるほど、それで今回の事と何か関係があるのですか?」


「ドライト様の加護なのよ? 魂に宿ってるはずなのになんでマリルルナ様は現世と死後の狭間で会おうとしたの、そんなところで会えば魂に宿っている加護が反応してすぐにバレるにきまってるでしょ?」


「あ!」


要するによりバレやすい場所でわざわざ会ったマリルルナがアホだっと言いたいのだろうが、テルミスの言葉にマリルルナが反論する、セレナにアイアンクローされたまま。


「違うのよ! ちゃんと確認したの、肉体に宿ってるかって聞いて!」


「ドライト様にでも聞いたんですか?」


テルミスが呆れてそう聞くと、マリルルナは手足をバタつかせて叫ぶ。


「そんなアホなことするか! アンジェさんに聞いたのよ!」


「それ騙されたんじゃ……」


テルミスが呆れてそう言うと、他の神々やケン達もだよなぁ?っと曖昧にうなづく、そんな面々の背後から突然に声がかけられる。




「……あなた達と違って……そんなに嘘はつかない……失礼な。」


それは壁にいつの間にか出来た扉から顔を出したアンジュラだった。



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