異世界転移 81話目
「パールです! パールが居ます!」
「チェルシー! 無事だったのね! アルマとポリーも!」
「良かった、本当に良かったわ!」
「みんな~、助かったのに泣いちゃダメだよ~、グスン。」
いぬっ子4人組は抱き合って再開を喜んでいる、ケンは後始末をアランに任せるとそんな4人組な合流する。
『やっぱ初風だよな……ドライトが何かしらしているのか?』
ケンがそう考えたように、パールは初風にそっくりだった。
だがケンはとんでもない事実に気がついてしまい、フラフラとパールに近づく。
「本当に……本当に良かった! 私はもうチェルシーとは会えないふわぁぁぁ!? ナデナデ気持ちいい……だ、誰なの私の頭をなでるのは! ってあなた!?」
パールはアルマかポリーが後ろから頭をなでていると思い振り向くと、なでていたのはケンだった。
「……ちょ、ちょっと! 初対面の女性の頭をいきなりなでるなんてアン! お、お尻を触らないハアン!?」
パールは散々頭を撫でられてからケンの手を振り払い文句を言うが、ケンは文句を無視して今度はお尻をなでてから揉んでしまう。
「パールが危ないです!」
「あんた何をしてるのよ!?」
「一斉攻撃だ~!」
チェルシー達は一斉に噛みつくがケンは一向に気にせずパールのお尻を揉みしだく。
すると地獄底からの声か? っと言うほど冷えきった声が聞こえたのだった。
「……ご主人様……何をなさっているのですか?」
「ク、クリス、違うんだ! 俺は偉いことに気がついてしまったんだ! その確認のために触ったんだ!」
「揉んでませんでしたか?」
「抜群のさわり心地だったのでつい揉んでしまったんだ、良い尻だった。」
「反省してないじゃないですか!」
「こ、こっわ~……あ、ミラーナ様が逃げた。」
「クリスは本気で怒ると怖いですからね。」
ケンは左右の腕をカリーナとシリヤに掴まれて逃げられなくなっていた。
そして目の前にはクリスとミラーナが仁王立ちしていた。
ちなみにチェルシー達はクリスのあまりの怒気に少し離れたところに有る馬車の陰に逃げ出していた。
「それで何に気がついてあんなことをしたんですか?」
「……正当な理由なら許してもらえますか?」
「内容によります。」
「彼女、パールを見てもらいたい。
チェルシー達とはとんでもない違いがあるんだ!」
「……?」
「チェルシーとパールは仲良しです!」
「違いなんて有るわけないじゃない!」
「そうだ~そうだ~!」
「き、気持ち良かった……はっ!? 私は何を言って!?」
クリスは違いなんて有るのかと4人組を見る、するとチェルシー、アルマ、ポリーはケンに文句を言い、パールは上の空で顔を赤らめながら変なことを言っている。
「違いってどこですか? 痴女っぽいことを言ってるとかは無しですよ?」
クリスは結構失礼な事を言いながらケンをにらむ。
「クリス、彼女をよぉ~く見てみろ? 彼女には……ケモミミも尻尾も無いんだ!」
「……はぁ?」
「……私はチェルシー達の一族の一員だけど、拾われっ子だから獣人族じゃあないわよ?」
「な、なんだと! そういうことだったのか! いや~疑問が解けたよ!」
ケンはクリスに連れられて少し離れたところで土下座をし続けている。
そのスキにミラーナは戻ってきてパールに話を聞き出す。
「それで、あなた達は全員無事なの?」
「ええ、今村長が確認してるけど、全員居るはずよ。
逃げ延びたのはアルマとポリーだけだったし、私達を商品にするためにあいつ等、怪我の治療はしたからね。」
「で、あなたは獣人じゃないって言うのわ?」
「まぁ良くある話なんだけどね、両親が行商人で私達の一族、エーコンの一族と商いをしていたらしいの。
で、まだ小さかった私を連れて行商に行く途中で魔物に襲われちゃって、私以外はみんな死んじゃったのよ。
その後にエーコンの戦士達が魔物を倒して箱に隠されていた私を見つけてくれてね、そのまま一族に育ててもらったって訳。」
「なるほどね……」
「ミラーナ様、総督閣下に話が有るのですが……」
ミラーナとパールがそんなことを話していると、アランがやって来てケンに話があると言ってくる。
アランも叱られているケンの元に行くのが嫌なのか、そっちを見ずにミラーナにそう聞いてくる。
「直接にケンに聞きなさいよ……な、何してるのよあの2人は!?」
今もケンはクリスに叱られていると思っていたら、2人は濃厚なキスをしていた。
「あなた達! 何をしているのよ!」
「……ふぅ、仲直りのキスだ。」
「……はぁ……わ、私は何を!?」
「全くもう! 正妻の私を差し置いて何してるのよ! ケン、私にもお願い……」
「痴女呼ばわりされたけど、彼女達の方がよっぽど痴女じゃあ……」
「否定はできないわね?」
パールは呆れながら、カリーナは頭を押さえながら肯定していると、シリヤがカリーナの手を取ってケンの方に向かう。
「カリーナ、私達も負けていられないわ!」
「い、いやちょっとま、わあ~!」
こうしてケンは4人と仲直りしたのだった。
「それでアラン、どうかしたのか?」
「はぁ、カルタサーラの奴等が10数人、逃げてしまったようでして……」
「ッチ! やっぱり逃げられたか、あの隊長格もそうだったが何人かかなりの腕前のが居たからな。」
「総督が追うわけにはいかないのですか?」
「……多分無理だな、明後日にはフェルデンロットに向かわなければならないし、特に隊長格は俺でも見つけるのは難しいと思うぞ?」
「やはり殲滅は厳しかったですね……」
「だがカルタサーラには思い知らすことができただろう、下手にレーベン王国の民に手を出せばどうなるか特にな?
そーいや指揮官が別にいただろ? そいつはどーした?」
「指揮官? 隊長ではなくですか?」
「ああ、ひときわ豪華な鎧を着ていたやつなんだが……居なかったか?」
「いえ、私は見てませんが? おい、お前らは見たか?」
「いえ、我々も見てません。
他のにも確認してみますか?」
「……そうだな、そうしてくれ。」
坊っちゃんと言われた男が気になったケンはそう頼む、だがすぐ隣から無駄だと声をかけられる。
「もうここには居ないから無駄ですよ、転移の魔道具で逃げちゃいましたから。」
「そんなもんまで持ってやがったのかよ! かなり値の張るもんだ……うお!? お、お前なんでここに!」
なんとケンに声をかけてきたのはドライトだった。
そしてケンはまずいと考える、解錠の魔道具はドライトがくれた魔法袋に10本だけ入っていたもので、最初はたいして気にしていなかっがケンもどうしても開けられなかったダンジョンの宝箱(罠付き)に冗談がてら差し込んだらアッサリと開けた(罠も解除して)物だった。
その後に色々と試して、アルヴァー等の意見も聞いて神器だろうから使用は控えると結論にいたったのだが、今回はチェルシー達に持たせて盛大に使いまくったので、ドライトが苦情を言いに来たのだと思いまずいと思ったのだ。
「あー、あのな? 今回は緊急事態ということでだな? この鍵を使った事は許してもらえないか?」
「? その鍵は冒険に役立つと思って入れておいたんですから、好きに使ってください?
そんなことよりもあなたの魔法袋に隠しておいたお肉が無くなってるんですが、どこにいったのか知りませんか?」
「魔法袋に入ってた……肉?」
最初は何の事を言っているのか分からなかったが、ケンは思い出す。
お仕置きが終わった時にチェルシーに食わせた謎の肉の事を、その時はかなり残ったのだがその後にアルマとポリーをスラムで拾った時に、全部きれいに食べきったはずだった。
その事を思い出したケンはチェルシー達を売って厄介事から逃げようとチェルシー達を見るが。
「長老様に呼ばれました!」
「私もだわ!」
「急いで行くよ~!」
「なんだか分からないけど私は関係ないわよ?」
チェルシー達3人は脱兎のごとく逃げ出しており、パールはいったい何事? っと驚いていた。
「ちょっとお話を聞かせてもらえませんかね?」
そしてそんなケンの肩をドライトが背後から掴む、その手の力は絶対に逃がさないぞ? っと力強かった。
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