異世界転移 20話目
俺達は帝国への食料輸送を成功させ、城塞都市ロットリッヒに凱旋していた。
「ご主人様、お帰りなさいませ! ……お客様ですか?」
そして自宅に戻った俺をクリスが迎えてくれた、クリスの家族も家から出てきて迎えてくれたが、クリスだけが不審そうに俺の背後、1人の女性を見ていた。
「あー、クリス、この女性はそこの奴の女房だからな。」
「そうなのですね、いらっしゃいませ。 いたらないところもありますが、精一杯歓待させていただきます!」
俺がそう言ったとたんに、クリスは満面の笑みで頭を下げて言うのだった。
「お前、女房をもらったのか?」
「に、しては若すぎる気もするけど……。」
風の勇者、フェリクスが驚きながら質問してくる。
そしてその妻で、風の勇者のパーティーで回復役のパトリシアが不思議そうに俺とクリスを見比べていた。
「ハハハ! このバカは酔った勢いでこの子を買っちまったんだよ!
んで色香に負けて手を出しち、いでぇ!?」
「あなた、余計なことを言うんじゃないの!」
アルヴァーが余計なことを言ったので槍で刺そうと思ったが、フェリシーが殴って黙らせた。
「ケ、ケン、さすがにそれはどうかと思うぞ?」
「ケンってロリコンだったんだ?
道理で誰にもなびかないと思ったわ。」
「……15歳は、一応成人だろ。」
この世界では12歳より上は成人だ、そう、12歳より上は成人なのだ!
俺は心の中で何度もそう言いながらパトリシアに反論する。
「それをハッキリと言えない時点でアウトでしょう。」
「………………。」
パトリシアの言葉に反論出来ずにいると、クリスが助け船を出してくれる。
「私はご主人様に買われて幸せです。
離ればなれになると思ってた家族とも一緒に暮らせますし、豊かな生活も出来ています。
それに……何度も愛してもらえますし……。」
うん、助けてくれると思ったら、最後に特大の爆弾を落としてくれました!
クリスの発言にフェリシーとパトリシアにミラーナがクズを見る目で俺を見てくる。
アルヴァーとフェリクスに辺境伯はニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら俺を見てきた。
……ん?
「なんで辺境伯様とミラーナ様まで居るんですか……。」
俺達はロットリッヒに凱旋したが、戦勝パレード等は王都で行うと言うことでとりあえず解散となり、それぞれが家に帰ることになったはずだった。
だがロットリッヒに拠点を持たないフェリクス達は、俺の家に泊まると言うので連れてきていたのだ。
そしてアルヴァー達も一緒に泊まって飲み会をすると言うのでついて来ていたのだが、何故か辺境伯と孫のミラーナまで家の前にまで来ていたのだ。
「一度お主の家を見てみたくての?」
「すごいお風呂が有ると聞いてます!」
本当に何しに来たんだ。
なんにしろこのまま玄関に立っているわけにはいかず、中に入るとマックスに頼んで風呂を入れてもらう。
辺境伯とミラーナは何が面白いのかマックスについていってしまった。
「なんにしろ飯の前にサッパリしようや、女性陣に俺達の順で良いよな?」
「ああ、かまわないぞ、それより酒は有るのか?」
「……つまみも用意させるよ、それよりギルマス、オーガキラーは入れるなよ、入れるなら自分の分だけにしろよ。」
何故か居るギルマスにそう言うと、前回絞られたのが答えたようで「分かっとる!」っと直ぐに返事をしてくる。
その間にアルヴァー達が2階に上がろうとしたので、慌てて止める。
「アルヴァー、待て!
今日はすまんが部屋割りをしてもらうぞ。」
「あ? なんで……って、そうか、今日はフェリクス様達が居たのか……。」
アルヴァーはフェリクス達、勇者パーティーを見て納得すると、フェリクス達をうながしてから2階に上がっていく。
すると通路の向こうから辺境伯達がやって来た。
「ケン殿、噂には聞いていたが凄い風呂だな。」
「お爺様の家のお風呂よりも大きかったです!」
2人は興奮しながら話しかけてくる、そして周りが止めるのも聞かずに風呂に入っていくと言って聞かずに、急きょ屋敷から侍女や侍従を呼ぶことになったのだった。
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