異世界転移 8話目




「うああぁぁぁ……ちくしょう、腕もいてえが頭もいてえ……」




あの後、揉めるクランやパーティーをなだめたり脅したりして、上手いこと分散させるのに成功したのだが、その直後に商業ギルドや薬師ギルド、木工ギルトなんかのギルマスや幹部に、各商会の商会長がギルドに走り込んできて俺に土下座してきた。


今回の冒険者ギルドに対しての、不当な行いについて許して欲しいとのことだった。


「いや、俺に謝っても仕方がねえだろ?」


っと俺は言ったのだが、あいつ等「まずはケンさん、いやケン様に謝らして下さい!」っと言ってきやがった。


収拾がつかないから謝罪を受け入れて、他の冒険者や冒険者ギルドの職員にも謝らしてから帰らした。


そして全部が終わると、冒険者達と職員達が歓声をあげて飲み会に突入したのだが、そこでも逃げられずにさんざんと飲まされたことと、馴れない書類仕事をやらされた事で、俺は頭痛と肩や腕の痛みで目が覚めたのだった。


「……どうやって帰ってきたかも覚えてないな……毒消しポーションはどこいった? ……っちしゃーねえ、キュア、リフレッシュ! ヒール……ハイヒール!」


普段はしないのだが回復魔法でアルコールを抜き、体力回復させてから起き上がる。


どうやら普段から身に着けている鎧やショートソードなんかも着けたまま寝ていたようで、そのせいで余計に腕やら足の節々が痛かったようだ。


「槍は……アイテムボックスにちゃんと有るな、他も大丈夫か……」


俺は所持品を確認すると、ベッドから抜け出した。




……なんか居ねえか?




振り向いてベッドを見てみる。


うん、布団に一人分の盛り上がりが有るな、布団から出る時に、暖かい人肌に触れた気もする。


……絶対に布団の中に誰か居るよな?


……アルヴァーか?野郎だったらぶっ殺そう、ミルカかカウノ? うん、拷問の末に殺してやる!


ギルマスだったら……磔にしてやる!


俺はそんなこと考えながらそっと左手で布団をめくる、右手はどうした? もちろんショートソードを持ってるさ!


なんにしろ布団をめくり、中を確認してからそっと布団をかけ直す。


そして寝室から出てキッチンに向かうとコップを手に取り、ジャグチから水を出して入れると魔法で氷を入れて冷やし、一気に喉に流し込む。


キンキンに冷えた水で頭を覚醒させると、寝室に戻る。


ん? 魔法でなんかしてなかったか? 幻覚と幻聴だな、医者にかかることをお勧めする。




なんにしろ俺は寝室に戻ると再度慎重に、ユックリと布団をめくる。


そしてめくれた布団から現れたのは、14、5歳の美少女だった。


整った顔立ちでサラサラの黒髪をミディアムヘアーにしていて、胸のサイズは歳相応に有るようで眼福である。


手足は健康的にスラッとしているようだが、今は体育座りのようにして丸まって寝ていた。


あえて言うなら、艦◯れの黒潮に似た美少女だった。


それを確認した俺は再度布団をかけ直すと、寝室から廊下に出る。




「やっちまったー!」




え?どういうこと?どこから拐ってきたんだ俺!?


どうする?どうすれば良い!?




選択しなさい。


➡️監禁して性奴隷にする。


 性奴隷にするために監禁する。




選択肢出たけど内容は一緒じゃねえか!?


お、落ち着け俺!この後どうすれば良いか、考えるんだ!




よし、迷子かもしれない、衛兵さんを呼ぼう!


結果=逮捕される。


よし却下!他だ他!




アルヴァー達に助けを求める。


結果=盛大にバカにされる。そして盛大な殺し合いに。


そんな暇は今はない!




憲兵さんを呼ばれる。


結果=バカめ! この世界に憲兵さんは居ないわ!


い、いかん、さらに混乱してきた!


そ、そうだ幻覚と幻聴だったのかもしれない、もう一度確認してみよう!


俺は再度確認するために寝室のドアを開ける。


そして中を見てドアを閉める。




黒潮さんが起きてらっしゃるー!




ど、どうする?どうすれば良い!?




選択しなさい。


➡️押し倒す。


……1個しか選択肢がないやんか!?


せめて選択させてくれよ、誰だこの選択肢出してるの!? 俺だった!




うん? 中から物音が聞こえる、それに布団をめくった時に見間違いだと信じたかっけど、下着を着ただけの半裸だったな、今も確認したから間違いない!


ど、どうする?いや、とにかく会って話してみないと話が進まないか……!


俺は覚悟を決めると、寝室のドアを開けて中に入る。


そしてベッドに起き上がっている美少女を見る、半身を起こした少女はやはり服を着ておらず、今はシーツで体を隠していた。


だがそれよりも、俺の目を引いたのは彼女の首もとだった。


その首には小さな石の着いた、真っ黒なチョーカーを着けていたのだ。



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