異世界転移 5話目




こうして俺は異世界のマナルで生きることになり、15年が過ぎたのだった。




いきなり年が飛んだ?




うんまあ色々テンプレ通りの事が有ったんだけど、頑張って生きているうちに15年も経っちゃったんだよね……それと幾つか普通のテンプレと違うことが有ったんだ。


まずチートについてなのだが、スキルの平均が6のお薦め戦闘系スキルセットをくれた。


この世界の人々のスキルの上限は10なので、数十のスキルが最初から6のセットはチートだ! っと思ったのだが、勇者や英雄達は当たり前のようにいくつも10ランクのスキルを幾つか持っているし、高位の冒険者や騎士達に兵士達も、8~9ランクのスキルを持っていたのだ。


俺も頑張って鍛えたりしたんだけど、俺の持つ戦闘系スキルで1番高くなったのは気功法と槍術と身体強化の10で、他は8までしか上がらなかった。


つまり俺程度の奴は、この世界にゴロゴロ居たのだ……




それともう1つ、俺がこの世界で生きると決めて、思ってたのと違ったのが生産系スキルだった。


元々、後世に残るような建築物を残し、立派な宮大工になりたいとこの世界で生きることを決めた俺だったが、この世界では生産系、特に建築系の仕事は身元がかなりしっかりしてないと受けることが出来なかったのだ……


何故かと言うと邪神に攻撃を受けていたこの世界では、城壁や堅牢な建物は自分達の生命財産を守るために、建設に関わる者の身元の確認が重要視されていたからだった。


つまり町の人を守る城壁、そして自分や家族の生命財産を守る家等の建設に関わる人間に得体の知れない者を雇うわけにはいかないと、紹介状やギルドカード等の提出が大事だった。


この世界で生きていくためにドライトは、俺の身分証等を用意してくれてたのだが、滅んだ村の生き残りとして設定していた事が引っ掛かり、下働きとしても雇ってもらえなかったのだ。




何故滅んだ村の者だとダメなのか?




俺以外にも複数の生き残りや、それか村長や庄屋等の身分のしっかりとした者が生き残っていれば問題なかったそうなのだが、山奥でひっそりと少人数で隠れ住んでいた村の唯一の生き残り。 っと言う設定にしていたために、本当に俺が安全な人間なのか判断がつかないからと断られたのだ。


一応俺も技術も知識も有ると食い下がったのだが、建設ギルドの人に昔に邪神の手先になった人々等を雇ってしまい、滅んだ町が有ったり重要人物が家族ごと皆殺しにされた事が有るからダメだと言われては、それ以上はなにも言えなかった……




そんなこんなで俺はテンプレ通り冒険者になったのだが、ここでも予想外の事が有った。


まずソロで活動し始めたのだが、有力な冒険者の集団やまともそうなチームになればなるほど入団等を断られたのだ。


理由はやはり俺を知る人が居ないとの事で、身元がしっかりとしてないからだった。


ちなみに冒険者ギルド登録した最初の頃、同年齢のパーティーは同じ村の出身者などで固められていて、ギルドは斡旋や紹介すらしてくれなかった。


さらに依頼などでも商人の護衛や屋敷の警護等も、まず受けられなかった。


採集や討伐もソロということで信用度が低いからと、やはり事前に受けることが出来ず、常時依頼ばかり受けていた……


ちなみにドライトとは案内してくれた都市の近くで別れてからは、連絡が取れていない。


なんにしろ俺は生きていくためにソロの冒険者として活動し始めて、5年後にはBランクになれて、それから10年が経っていたのだった。


そしてこの世界で俺はケンという名を名乗り生きてきたが、今年でとうとう俺もこの世界でも数えで30代に突入したのだった。



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