【番外編】テレビと焼き鳥と旧友と
KAC20226 お題「焼き鳥が出てくる物語」
年下彼女にデレデレ彼氏の朝の時間。
何気なくテレビをみていたらそこには
見覚えのある人物が!
48回目のプロポーズ、番外編です。
本編更新七月後半予定です。
♪♪♪♪♪
”全国の皆さん、おはようございまーす!
日本列島の旬をお届けするこの番組、毎日日替わりで全国の今、注目すべき場所から、生放送をお届けするコーナーが、本日よりスタート致しました。
さて、記念すべき第一回目はここ!
テレビをご覧の皆さん~?ここがどこだか
おわかりになりますでしょうか?”
♪♪♪♪♪♪♪
「稜さん、おはようございま~す。
朝から何のテレビ見てるの?」
『あ、はるさんおはようございます!本日も美貌は衰えませんね~?朝イチのすっぴんというのに、この美しさ!とりあえずチューしてくれる?』
「ばーか。」
♪♪♪♪♪♪♪♪
”雄大な山並みにはまだ、残雪が見えます。澄んだ空気と綺麗な川、自然に囲まれたこの場所は一体どこでしょうか?皆さん…もうお分かりですね?私は今、長野県白馬村に来ています!いや~寒い!私がこの白馬村に早朝からお邪魔したのには理由がありまして…それをこれから皆様にご紹介したいと思います!それでは行きましょう!”
♪♪♪♪♪♪♪
『なんか適当にテレビ付けたんだけど、長野県って言うから松本城出ないかな?って気になりましてね!はるさん、朝ご飯は和食でよろしいかしら?味噌汁飲みたくなって作っておきました!』
「稜さん、最高~!今日は和食の
気分だったのよ~。いただきまーす♪」
♪♪♪♪♪♪♪♪
「さて松林の中を歩き、いよいよ目的地に到着致しました。この松の木も今日の職人さんに関係があるということで…それでは登場して頂きましょう!現在、長野県で話題沸騰中の焼き鳥屋”鳥のきもち”の店主、鳥谷さんです!」
「『……、ん??鳥谷!!?』」
♪♪♪♪♪♪♪
”お、おはようございます!只今ご紹介に預かりました焼き鳥屋"鳥のきもち"の店主、鳥谷です。鶏は私に語りかけてきます。"美味しく焼いてね"と。ですから私はですね…”
「り、稜さん!この人なんか見た事ある!」
『はるさん!!これ、三年前に会社辞めちゃった鳥谷さんだって!えーー??まじで!』
♪♪♪♪♪♪♪
「ちょっ鳥谷さん、ちょっと待ってもらえます?!先に話されると困ります!!さーて気を取り直しまして皆さん!このお喋り大好きな鳥谷さんの焼き鳥には、絶対に外せない二つの拘りがあるそうなんです。さて、その二つとは何でしょうか?テレビの前の皆さん!リモコンのdボタンからクイズにご参加出来ますよ~準備はいいですか?さぁこの鳥谷さんのこだわりとは?次の中から選んでボタンで回答お願いしま~す!
”わ、私のこだわり、それはですね!
一つはにわ、……”
ストップ!ストップ鳥谷さん!
視聴者の皆様がクイズの答えを考えている間に、いったんCM入りまーす。」
「ちょっと!これ絶対あの鳥谷さんじゃん!稜さんの師匠でしょ??」
『はるさん、師匠ってなによ!確かに鳥谷さんは入社時俺の教育係だったし、よく飲みにも連れて行ってもらってたけどさ~?俺ならもっと上手く喋ると思うよ~?そう言えば一緒に働いてる時から、焼き鳥は好きだったなー鳥谷さん。そうかー、田舎に帰るとは言ってたけどまさか焼き鳥屋をやってテレビにまで出るなんて人生わからないね~?』
♪♪♪♪♪♪♪
「ちょっと鳥谷さん?一人で先走らないで下さい、こちらにも都合があるんですよ!あ、す、すみません…お見苦しいところを見せてしまいました…気を取り直して…
さーて皆様、クイズの正解は…?
黄色ボタンの「炭を一から作る、鶏を自ら育てる」を選んだ貴方です!
いやー、凄い拘りですね、鳥谷さん。
”は、はい、やはり美味しい焼き鳥を作るからには素材と炭に拘る必要があると思いましてね、私が脱サラしたのは三年前でして――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――”
は、はい、鳥谷さんは大変な苦労をされて成功を掴まれたということですね、なるほど…本日は朝早くから貴重なお話をありがとうございました!最後に何か一言ございますか?
”おぉーーい、東京で一緒に働いてたみんなーー!元気かーー?西園寺!結婚できたかーー?美味しい焼き鳥喰わせてやるから今度遊びにこ―――”
お話の途中ではありますが以上、
長野県白馬村からお伝えしました!
スタジオにお返しします!!」
「ぶーーーーーーっ!」
『ぎゃっ!はるさんワカメが飛んできた!』
「あ、私としたことが味噌汁を吹き出すなんて…全部鳥谷さんのせいよ~!もう、あれ確実に放送事故でしょ!西園寺とか言うから我慢できなかったわよ~って、こらっ!ワカメ食べてるじゃん!もぉー汚いでしょ!」
『何をおっしゃるはるさん!はるさんから出てきた物が汚いわけないでしょ??喜んで食べちゃいます~♪いや~鳥谷さん、昔やってたお年寄りのビデオレターみたいで最高だったわ~!!月曜日の会社はこの話できっと持ちきりだな!』
思いもよらぬ人物の登場により、楽しい朝食を食べ終えた俺たちは、そのまま新幹線に飛び乗り長野県へと向かった。
完
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