【番外編】疑惑と追跡と推し活と

現在、別サイトで長編を書いている関係でこちらの更新が止まっております…七月中には再開したいと思いますので、本編更新もう少々お待ちくださいませm(_ _)m


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カクヨムコンお題『推し活』


ある休日の朝、いつもならまだ寝ているはずの彼女が俺よりも先に起きて何やらゴソゴソと出かける準備をしていた。


「おっはよー!あれ?はるさん今日は休みなのに珍しく早起きだね~どこか行くの?」


『稜さん、おはようございます。私、今日は推し活をしようと思って準備してたの。ということだから、今日は別行動で!夕方には帰るから、稜さんもたまには一人でゆっくりしてよね?では、行ってきまーす♪』


え?今日は推し活をしようと思う?世間一般で言う推し活とは好きな芸能人やアニメ、ゲームのキャラクターグッズを集めたり見に行ったり動画で鑑賞したりすることの相称ではないのか?


確かにはるさんは、アニメ好きで夜中にハマって見ていたりする時もあるけれど、これといって”誰々が好きだ!”とか聞いた事もないし。まさか…俺以外の人間に興味が無さそうな彼女だが、知らぬ間に推しと呼べる芸能人でもできたというのか?


俺の頭の中がハテナでいっぱいになっている間に、彼女はいつの間にか出発してしまったようだ。んーーー!気になる!!


よし…こういう時のあれだ!

先日テレビで見て、二人でスマホに登録した位置情報共有アプリとやらを起動し彼女の足取りを掴むことにした。


なんか、俺…ストーカーみたいじゃん!!

でも気になるしな…

とりあえずはるさんが帰ってきたらアプリを使ったことは報告することにしよう。


そして開いたはるさんの位置情報は、電車にでも乗っているのか次々と移動し最終的に横浜駅へとたどり着いた。横浜??はるさんの友達がいるという話も聞いたことがない。まさか男がいるんじゃ…いや、はるさんに限ってそんなことは絶対にない!


でも、何故に横浜なのか…

暫くすると位置情報のはるさんはある地点から動かなくなってしまった。


んんんーよし、もう無理だ!

行ってしまおう!!横浜に!!

財布とスマホだけをポケットに

入れて愛車へと乗り込みいざ横浜へ。


はるさんの到着から遅れること二時間…

俺は横浜駅近くのコンビニに停車した。

よし、はるさんの位置はどうかな?

ん…あれ!?横浜にいな…い?

位置情報は既に、東京駅周辺をさしていた。


うそーーーん!!

なに、なにがどうなっているの?俺が運転で目を離していた間に、既に東京に戻ったということか?とにかく戻るしかない!!大急ぎで自宅へ戻るとはるさんは既に帰宅していた。


『あ、稜さんお帰り~

ドライブでも行ってたの?』


リビングに入ると、はるさんはダイニングテーブルに推し活でゲットしてきたらしき袋を並べて嬉しそうな顔をしていた。ん?推し活だよな?目の前に並べられた品物をみて、今まで我慢していた質問をしてみることにした。


「…はるさん?横浜で何してたのよ?」


『あれ?私、稜さんに横浜行くとか言いましたっけ?まぁいいけど。それよりも見て下さい!今日は自分の推しをどうしても決めたくてさ。稜さんと行ったら隣で色々言われて惑わされそうだから一人で買い出しに行きたかったのよ。』


ん?自分の推しを決める?

どういう事だ…?


「え?はるさん、

推し活してたんじゃないの?」


『うん、そうだよ?推し活って自分の好きな物を応援することでしょ?私、自分が一番好きな点心は何か?と昨日から悩んでたの。で、それを決定する為に横浜中華街に行って本場のやつを買ってきました!稜さんも一緒に食べようね~♪』


「あ、う、うんありがとう…」


まさか彼女の推し活が中華の点心を決めることだったとは誰が予想できただろうか?安心と同時に、俺は計り知れない彼女と一緒に過ごしていることを改めて感じたのであった。


『んー、餃子はやはりハズレがないわね。次は春巻き!あーこれは熱々も美味しいけど、冷めてしっとりとしたやつも美味しいし…焼売…餃子の影に隠れがちだけど、なんなのこの肉の旨みは!もーー、決められない!!そういえば稜さん、何故私が横浜にいるって知ってたの?』


しまった、忘れてた!!

「あー、この前さ二人でテレビでやってたお互いの位置情報分かるみたいなアプリ入れたでしょ?あれを初めて使ってみたのよ。そしたら横浜駅で止まっててさ?…ごめんね?なんかストーカーみたいなことして…はるさんが推し活なんていきなり言うから、好きな芸能人とかできたのかと思っちゃいましたよ!いやー安心しました!!まさか、食べ物とは思わなかったけどねー?」


『.........。』


こ、こいつ…人に質問しておいて俺が真剣に説明しているというのに全く聞いていない!


モグモグと口を動かしながら

点心を見つめ首を傾げてやがる!!

まぁ、こういうところも可愛いんだけどな。

こうして、二人の推し活騒動は俺にとっての

ダークホースである、春巻きが一番という結果で終了したのであった。


あ、言うまでもなく俺の推しは

はるさん唯一人!!

はるさんしか勝たん!!

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