【75】春香と夏子と女心と(前)
場所は変わって、ここはキャンプ場のコテージの一室である。私と夏子さんは交代でシャワーを浴びた後、広いソファーでゆっくりとテレビを見ながら夏子さんが男性陣から隠してくれていた、飲みごろに冷やされた白ワインを優雅に楽しんでいた。
「いや~、外で食べるご飯って何であんなに美味しいんでしょうね~!今日は太郎さんのキャンピングカーにも驚かされました!でもやっぱり快適な室内でのワインは最高です」
『快適な室内のフカフカベッドには勝てないけどね~たまにはアリでしょ?それにね、キャンピングカーは、災害とかあった時でも使えるのよ!避難所生活とか、色々なリスクあって大変そうだしね~。私たち近くに頼れる人も少ないから、ありかも?と思って思いきって買っちゃったのよ~。』
確かに近年、未曾有の災害だと言われる大規模災害が増えている。私たちも、二日分くらいの備えはしているつもりではあるが、長期間耐えうる自信は少しもない。
近くに頼れる身内もいないしな…
「夏子さんは、何で太郎さんと結婚しようと決意したんですか?あ、突然こんなこと聞いてすみません…でも太郎さんから聞いてますよね?私が怒涛のプロポーズ攻撃受けてること。勿論嬉しくは思ってるし、いつかはと思っているんですけどね~、何かまだまだ踏ん切りがつかないというか…。」
私は折角の機会なので、率直に太郎さんとの結婚の決め手について聞いてみることにした。夏子さんは、プロポーズという言葉を聞いて"待ってました!"と言わんばかりの笑顔を浮かべグラスを片手に私の隣へと移動してきた。う、な、なんか怖いぞ…
『いや~はるちゃんから、その言葉を聞くのを待ってましたよ~?稜くん、太郎に比べて見た目も悪くないし何で結婚できないんだろ?ってずっと思ってましたのでね~!ま、先に質問に答えますと私の結婚の決め手は…太郎といると気を使わなくていいし、何か癒されるんだよね~ほら、ゆるキャラみたいな体型してるでしょ?まぁ、はるちゃんが癒しを求めてるかは別として、食の好みとお酒好きなところは結構重要だと思うよ!彼氏彼女と夫婦って、似てるようだけど全然違うしね。慎重になってる、はるちゃんは若いのに偉いと思う!…何か理由でもあるの?』
ん~、理由…。
これを夏子さんに言ったら稜さんにも伝わっちゃうのかな?まぁ、でも自分の口から稜さんには言いたいしな~。当たり障りのない程度に伝えておくとしますかね。
そして私は、少しだけ自分の過去について
夏子さんに話すことにした。
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