【42】求婚と牛と楠の木と②
両側に土産物店が立ち並ぶ、石畳の道を
歩いて行くと石の大鳥居が見えてきた。
『稜さん、いよいよって感じがしてきましたね~。お土産屋さんもいっぱいあるし、帰りに何かお揃いのもの買って帰ろうよね!』
来月からは共同生活が始まる。
はるさん!有田焼の里に行ったというのに
何故その時に言わなかったんだ!
お揃いのお皿とか買えたはずなのに~!!!
と今さらながらに、思ったりもするが
前の日の晩に失態を犯し、話すチャンスを
与えなかった俺が悪い。
「何か…嬉しいですね♪」
繋いだ手を強く握ると彼女も
握り返してくれた。あ…幸せだ~!!
鳥居をくぐり、案内所を通り抜けると
何やら人だかりが見えてきた。
「はるさんなんだろうね~?あ、御神牛だって!触ったらいいことありますよ~ってやつだね!はるさんも触ります?」
『うーん、帰りにしましょ!(笑)子供ら頭を必死に触ってるし邪魔したら悪いよね。』
「了解でーす♪わたくしも後で頭触ろ~!」
『何?今さら頭よくなりたいの?(笑)』
「良くなるに越したことないでしょ?(笑)」
御神牛を後回しにして順路に従い先へと
進む。少し歩いて行くと俺の大好きな
朱色の太鼓橋が見えてきた。そういえば
松本城ではるさんの写真撮ったな~?
お願いしたらまた撮ってくれるかな…。
「はるさん?これと似た橋、覚えてます?」
『松本城でしょー?わけのわからないポーズ頼まれて写真撮った後に、何て言ったかまでは覚えていないけれどプロポーズしましたね?今回は橋芸写真撮りませんよ?(笑)』
言う前から断られるとは…エスパーか!
こやつ中々の手練れだな。
「……、何回も同じ事頼みませんよ~だ?
折角だしさ?一緒に撮ろうよ?」
そういえば、はるさんと二人で写真に
写ったことがない。彼女はあまり被写体に
されるのは好きではないようなので、彼女
単体で撮ることも滅多な時でないと許されないのだ。芸能人かよ!!と突っ込みたくもなるが、昔の人は魂抜かれると思ってたらしいし彼女にも何か理由があるのだろう。
『二人でですか?しょうがないな~。
高いですけどいいですか?』
「お金取るんかい!!」
スマホのカメラをインカメラにして
太鼓橋の横に立ち二人で初めての記念撮影。
本当、九州にきてよかった~!!
途中、太宰府天満宮にゆかりのある品物が
展示されているという、"宝物殿"へと入館し
知識を深めた後に順路を進むといよいよ
手水舎が現れる。ここまででも中々の道のりだ。手と口を洗い身を清めたらいよいよ
本殿前の入口である"楼門"へと到着。
さーて、道真にお願いしちゃいますかね♪
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