【27】ちゃんぽんと教会と求婚?(前)
私たちが向かった【四海楼】は、ちゃんぽん発祥の店ということもあり普段から行列が絶えない店らしいのだが、夏休みのハイシーズンということもあり店内は凄い混雑だった。空港を出る前に予約をしておいた私達は名前を言うと人混みをかきわけて店内へと案内される。
「はるさん、さすがだね~!
いつの間に予約してたの?」
『稜さん到着するまでの間にだよ?この時期だし、お昼は混むのわかってるしね。さーて、稜さんの奢りで何食べようかな~♪』
「何でも好きなの食べてよね~♪って!!はるさん、ちゃんぽん結構高価じゃないの!わたくし本場を甘くみてましたわ…。」
『ま、こんなものじゃないの?魚介とかもたくさん入って野菜もたっぷりとれるみたいだしさ!あ、すみませーん注文お願いします!』
"ノンアルコールビール二本にちゃんぽん二つと餃子一人前、エビチリと杏仁豆腐にごま団子以上でよろしいですか?"
『ん~、稜さん足りると思う?』
「いやいや、はるさんどちらかというと
頼みすぎな部類ですよ!」
『じゃ、とりあえずそれでお願いします♪』
ざっと諭吉半分くらいの注文をすませると先にきたノンアルコールビールを飲みながら今後の予定を伝える。
『稜さん、食べ終わったら歩いてすぐだし大浦天主堂に行きますね。後は海沿いの高所から軍艦島が見える場所あるみたいだから少しだけ見て、明日に備えて佐世保の方へと移動します。異論はありますか?』
「はるさん、飛行機に怯えていた俺にそんなことを考える余裕があると思います?軍艦島、遠くからでも見てみたかったし完璧な計画です!」
"お待たせしました~!ご注文の商品をお持ち致しました。ごゆっくりどうぞ~"
中華料理だけあって料理の上がりも速い。幸せそうな表情を浮かべて偽物ビールを飲みながらつまみを食べている彼を見ていると、たまにはこういう時間を過ごすのもいいものだなと改めて思う。先ほど私が大浦天主堂と言った時に彼が眼を輝かせてニヤリとした表情をしていたのが気になるが、あえて触れないでおこう。
『稜さんごちそうさまでした~♪
あ、ごま団子お持ち帰りで!!』
「いや~美味しかったね!!さーて、国宝でもあり世界遺産にも含まれている大浦天主堂へと早速向かいますか~♪」
『ん?何でそんなにテンション高いの?』
「そんなことないって~!気にしないの♪」
足早に歩く彼に手を引かれ目的地を目指す。数分歩いたところで、回りを木々に囲まれた真っ白な教会が見えてきた。左右対称のその建物の入口には訪れた観光客を招き入れるように佇む聖母マリア像。
絶対にあれをやる気だな…
一層早歩きになった彼が心配で仕方ない…。
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