第4話 お目覚めは洞窟?の中で 3

人間の本能だろうか。無駄だと思っても目をつぶり、両手で頭を守る。

 爆炎に包まれるの人生で2回目だ。今回は何が爆発したんだろう。また、ふき飛ばされて大怪我か。いや、今度は死んだかな。

 爆音が続く。

 よしこうなったらできることは何もない覚悟を決めてその時を待つだけだ…………

 あれ長くない?全然吹っ飛ばないんだけど。しかもなぜか熱くも痛くもない。

 恐る恐る目を開けてみる。

 爆炎はまだ上がり続けている。おそらくゴブリン達は燃え尽きてしまったのだろう。跡形もなく消えてしまっている。でもそんなことより、不思議なのは、自分の前にガラスの壁のような物ができていることだ。


「なんだこれ」


 このガラスの壁が自分を守っていることは確かなんだろう。でもこんなのどこから現れたんだ。さっき、ゴブリン達と話しているときは確実に無かった。

 俺はガラスに触れた。いや、触れようとしたらだ。ガラスは部屋全体に広がり燃え上がる炎を包みこみ消滅した。いったい何が起きたんだ?


「今の魔法を打ち消しましたか」


 そこには、ローブを着た男がたっていた。顔はフードを被っていてよくみることはできない。手には銀色に輝くものが握られている。あれは剣か、剣なのか。


「なら、これならどうですか」


 男は一気に距離を詰めてくる。


「えっ、ちょ」


 男は剣振るう。金属の乾いた音が響き渡る。俺は持っていたナイフで男の剣を受け止めた。

 と、止めれたーー、こえーー絶対すこしちびってる。ていうかなんで、なんで俺おそわれてるの。

 男は少し距離をとり、続けざまに剣戟を振るう。その度に金属の音がする。剣戟の全てを俺はナイフで受け止め続けていた。ていうか、自分で自分にびっくりだ。格闘経験もないのに、どうして俺はこんなことができるだ。


「これも止めますか」


 男は今度は大きく距離をとる。剣を大きく振りかぶり、そのままふりおろした。剣から斬撃が放たれる。飛ぶ斬撃ってなんだよそれ、マンガかよ。

 今日になって何回目だろうか、死を覚悟したのは。

 斬撃が近づいて来る。でも、それは俺に当たることは無かった。また俺の前できたガラスの壁が斬撃を弾いていた。

 もしかして、この壁は俺が身を守ろうとするとできるものなのか。


「かなり硬い防御結界ですね」


 男は斬撃を飛ばし続ける。それをガラスの壁が全て弾いてくれる。なんかわからんが、すごいぞ壁。

 男とは距離が離れている。もしかして今チャンスなんじゃないか。

 俺は膝をつき、両手を地面につけ思いっきり頭を下げる構えを取った。


「どうか、どうか命だけは助けてください!」


 全力命乞い。

 あ、斬撃が止んだ。ダメ元だったけどもしかして効果あったのか。


「もしかして、会話できるんですか?」

「え、あ、はいできます」


 俺は下げていた頭をあげる。

 男は被っていたフードを脱いだ。中から金髪の整った顔立ちの美青年が出てきた。本当に海外の映画に出てきそうなほどのイケメンだ。その長い耳を除けば。えっ耳なが。

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