第22話 見張り台と望遠鏡

エリザベスがリタの元に戻り数日がした後に、新しい家宰としてサブリナ・マクリーンという女性がエリザベスから送られてきた。彼女はやや年配の女性で25前後くらいだと思う。算術や事全般について問題なくすることができた。 ジョスリンと仲良く家事や事務について仲良くやってもらいたい。


彼女は夜になると夜伽の仕事も範疇であると言い出した。最初のうちは自分も断っていたが、彼女にぴったりと体を寄せられて、しまいには抵抗できずことに至ってしまった。


「あああぁ……」

「そんなところまで……」


翌朝にはスッキリした顔をした俺がスイングを一心不乱にしていた。

だがこの事については非常に明確にプラスに働いた。女性陣が非常に安心したようだ。目に見えて彼女達との距離が変わってしまった。そして俺自身もやはり鬱憤が溜まっていたのかもしれない。


そういったものがなくなっていくという感覚はあった。結婚しているわけではないので、その辺は割り切っていきたいと思う。初めてということもあり翌日の俺の浮かれ様は他の人から見ても一発でわかったそうだ。恥ずかしい過去として早めに封印したいと思っている。


さて、見張り台についてだが、やっと1号が完成した。北側の林の中になる。モンスターが出やすいので、笛と狼煙を準備させた。望遠鏡については村の職人に頼んでいるがまだ試作品はできていない。完成次第配備させる予定である。発見したら狼煙をして上司に報告する。近距離だった場合は狼煙を避けて笛にて最速の行動を取るようにマニュアル化した。


見張り台は何時落ちても良いようなものなので、乾燥もさせずに作ってしまった。後日余裕があれば立て直ししたいと思う。乾燥させない生木なので、意外と目立たず いい塩梅なのかもしれない。 見張り台に立ってもらうのは賦役連中でも大丈夫だとは思ったが村人の中から男性を数人に交代制で出てもらうことにした。見張り台は当然敵からの侵入の警戒も必要だが囚人への見張りも兼ねている。


狼煙については3色の色が出るように準備してもらった。通常の白、危険の赤、注意の黄色の3種類である。赤が出た場合はすぐに領主の館に避難するように指示してある。黄色の場合は自宅に待機し様子を見る。通常の白は自分達で対処可能という事なので農民は気にしなくても大丈夫である。


この白色の狼煙が一番運用が難しかった。自分たちで対処できる内容というのは相手を発見して倒すことが可能。または救援があれば対処可能のいずれかの場合とした。狼煙が上がって1時間経過しても新たな情報が入らない場合は黄色に変更するように伝えた。


望遠鏡についてはまだ出来上がっていない。凹凸レンズというものの理解をしてもらうために頑張ってはいるが、試作品は思ったほど同じものにはなりにくかった。だが組み合わせることによって長距離の物が見やすくなる事は間違いがなかったのですぐすぐに試作品も使うように取り組んでいった。そして、これらの望遠鏡はこれからの軍の運営やエリザベスやリタにも使ってもらって運用について話し合っていきたい。我が軍の最高機密となる。


賦役をしている人々の進捗にもよるが、ひょっとしたら防壁の建設も考えていかないといけない。今は大八車を優先的に作ってもらい木材を運んでもらっている。いざという時は矢盾として使ってもらうようにラロに指導してもらっている。防衛戦の戦略はそれほどすごいものはなく、全員が領主の館に避難し、領主の俺が全滅させるだけだ。


俺が負けたら全ての金貨を与え逃げるようにしか指示できていない。圧倒的に従者が足りないので、こちらの狙った意図や計画通りに人を動かしてくれるリーダー的な人が村の中に3人囚人の中に一人それで全体を取り仕切るラロの命令系統にしようと思う。後で村の人たちと面会をして取り仕切る人を決めなければいけない。


こうして領主の仕事をしてみると日々大変でまた自分が若く年配の方を対象に話をしなければならないのでストレスはひどかった。そんなストレスを夜の営みが和らいでいたことは紛れもない事実であった。


数日以内にライトニング家の従者の選抜に取り組まなければならない。自分の方針ではライトニング家は武官であると思っている。なので従者は武力に通じているんじゃなければならない。あまりにも気が進まないが何人かを選択してダンジョンで鍛えるというのも一つの方法だと思う。


晴れ渡る白い空の中で、戦争は回避できないものかと考えていた。 でもきっとこの考え方は良くないのだろう。新参者の領主は周りに対して自分の力を示さなければ舐められっぱなしになってしまう。確実に勝てる相手を見つけ圧勝して領民に自信をつけるということも必要だ。空は綺麗だが俺の心の中はどす黒い何かになっていた。

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