第4話
「え、まさか・・・・・・?」
「そう、そのまさかよ、このくらいの体勢で飛んでみなさい!」
新入生は全員驚いていた、がすぐにまた練習を再開させる。
「1,2、3!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
明らかに前よりちゃんと後ろに飛べるのが実感できてきているようだった。しかし・・・・・・・・
「うわっ!」
沈みすぎてそのまま後ろに倒れるものも当然現る。
「まあ実際は椅子に座るほど深くしゃがみ込む必要なんてないから感覚がわかってきたなら少しずつ浅く
していっても良いからね!」
「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ナイースゥウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」
始めて40分近く経った頃だろうか、ついに新入生の一人が補助なしでバク転を成功させた!
一人がそうなるとほかの子たちもそれに続けとどんどん補助なしでと頼み同じように自分の力のみで実施を試みようと始める。そうしてまだまだぎこちないけれどもできなかったことができるようになったという実感を得ていった。結局体操、いやどんなこともこういうことの積み重ねなのだろうなあ、と改めてしみじみ思う瞬間である。こうして1時間ほどで仮入部?という名の新入生のバク転体験会を終えたのであったのだった。
ここから何人がこっちに正式入部してくれるのであろうか・・・・・・・・!?
驚いた、昨日体験入部してバク転を覚えた5人だったが今日も全員来てくれたみたいだ・・・・・・。
大抵仮入部したうちの半分以上はバク転を教えたら次からは来ないことがほとんどだったのだが今年は全員
また来てくれたみたいだ(と言っても母数が5人しかいないわけだが)。これはけっこううれしい誤算である。
新入生の一人が言った。
「先生、今日はできればバク転の次のバク宙のやりかたを教えてほしいのですが!」
おそらくきっと他の新入生たちも同じことを考えていることなのだろう・・・・・・。
新入生は昨日のちょっと緊張していた面持ちとは違い、バク転を覚えたからかかなり余裕に満ちた楽しそうな表情をしている・・・・・・まあ良いか、新しい技を覚えたくなる衝動に駆られるのは体操に興味がある証拠なのは間違いない。
「わかったわ、部長今日も補助お願い!」
「ったく、いいんスか?」
「良いのよ、何事も経験なんだから、この子らぐらいの年にはね」
そしてまた昨日と同じような分厚いマットを引っ張り出して新入生たちを並ばせることにしたのだった。
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